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4、伯爵家の家族

 奥様から、夕食に誘われてしまった。

伯爵家の皆様との夕食か・・・。ちょっと心配かな。

でも次男さんも奥様も優しかったし、セバスさんもニコニコしていたし。

コックさんのお料理は、洋食だけどとても美味しい!

この世界に来てから美味しいものばっかり食べているような・・・。

もうちょっとここにいてもいいよね♪



***********************************



 フルサル伯爵家。現在の伯爵は婿養子で、元は公爵家の三男だった。

奥様に一目惚れをして、貧乏伯爵家の一人娘だった奥様の押しかけ婿になり、

アツアツ夫婦で有名だ。

 公爵家の母は元王女だったので、王家と血が近く、現国王と王妃とは幼馴染。

何故か人の心の中が読めるような能力を持ち、諜報部長官。

彼が知らないことはない、心を読まれると恐れられているため、人が寄ってこない。

 貴族にはつきものの、政略結婚も伯爵家の恐ろしさで言い出す人間がいない。

アツアツ夫婦はもちろん恋愛結婚主義で、子息2人は見た目もいいので言い寄りたいが、秘密をバラされ、恥をかいた女性は少なくない。

 長男は幼馴染で王宮の女官だった男爵令嬢と結婚したばかりだ。

心の読める父と、口から生まれて来たんじゃないかというような兄に慣らされたのか、無表情・無口な次男は騎士団にいる。


妻が好きすぎて、家にいることの多い父。部下はもうちょっと仕事してくれと泣いている。

おっとりと天然な母は、もうちょっとかわいい子供が欲しかったと周りを振り回している。

弟好きな口達者の兄は、もうちょっと黙っててと新婚の嫁に怒られている。

長男嫁は、しっかりした普通の常識人。伯爵家は安泰だと使用人は安心した。

次男は、無口で無表情ゆえに、周りからもうちょっと会話をしろよと言われている。


そんな、もうちょっとばかりな伯爵家だった。


********************************



 夕食の時間になった。

呼び出された奥様に、ドレスやら髪やらといじられたあと、次男さんと(なぜか)手をつないで食堂へいった。


「ようこそ!伯爵家へ、お嬢さん!」


にこやかな伯爵様に挨拶をされた。

慌てて先ほどと同じ挨拶をすると、皆様がニコニコと微笑んでいる。


「緊張しないでいいのよ。チェリーは、我が家の一員になったのですもの!」

「そうとも!私が当主のドーンレイン・フルサルだ。こちらが長男夫婦で、こいつは次男。全員で君を歓迎するよ。」

「長男のセイジュルスだ。こちらが我が麗しの嫁のナオリーヌ。かわいいお嬢さんと家族になれるなんて、今日はいい日だ!本邸の修理という偶然に感謝しなくてはいけないね。クローとは、もう仲良くしてくれているんだね?私も兄と思ってなんでも相談してくれたまえ!」

「ちょっとあなた、少し黙っててくださらない? 

私のことも姉と思って仲良くしてくださいね!」

「クローは、挨拶は終わっているわね。あら、してないの?

仲良くしているのにダメねえ。」

「・・・・・クローディアスだ。」


 食事中でも、ふた組の夫婦は、旦那さんが奥さんにくっつくように、ラブラブな感じになっている。

伯爵様と次男さんが黒髪に緑の眼、奥様と長男さんが、茶色の髪に碧の眼。

容姿が整っていて、笑い合う皆様に家族のつながりを感じる。

仲のいい家族なんだなぁと遠い目をしつつも、自分の家族を想う。

心配してくれているんだろうな。兄は大丈夫かな。

もうちょっと親孝行しておけばよかった。

 そういえば、なくなっていた手荷物は自宅に届いたのかしら。

食事をしながら、考え込んでしまった。



************************************



 チラチラと彼女を気にしながら食事をしている次男を眺めている家族は、驚きと安堵の表情だった。


(ねえ、あなた。可愛いでしょう!クローの嫁でいいかしら?)

(うん、裏表のない性格の子のようだし、所作も綺麗でマナーもできている。

 ん・・?成人しているようだね?クローが気に入っているようだしいいだろう!)

(クローには、守ってあげたくなるような子がいいと思っていたんだ!貴族女性は肉食すぎる。)

(小さくてかわいい!お世話してあげたいわ!)

((((それにしても、クローにはびっくりだ!無口はともかく表情が少し出ているようだ。でも・・・もうちょっと彼女と会話をしようよ・・・!))))

 小声で話し合う4人は、同じことを思っていた・・・。


****************************



 食事のあとのお茶の時間に、皆様から質問攻めにあった。

異国の迷子なんて、やっぱり珍しいそうだ。

男の人には、日本について聞かれ、女性には、ファッションについて聞かれる。

何故か次男さんは、横にぴったりくっついて頭を撫でているけど。

またもや、お菓子をくれる。珍獣の餌付けなのか?

子供に思われているようだけど、まあいいか。


「部屋は、客間に来て欲しいの!部屋も空いているし!ね!?」

「でも、使用人扱いでいいんです。・・・・・もうちょっとで帰れそうな気もするし・・・。」


次男さんがピクっと動作が止まった。


「「「「え!帰らないでずっといてよ! お菓子あるよ?

                  ドレスも買ってあげるよ!?」」」」


なんでこんなに歓迎されているのだろう?珍しい話がもっと聞きたいのかな。

断るのも面倒だし、もうちょっとここにいてもいいか・・・。


「ありがとうございます。じゃあ・・、もうちょっとお世話になりますね。」


 皆様がニコニコ笑ってくれる。

こっちは、優しい人ばかりだな。なんだかいいことばかりある気がする。

まるで、もうちょっと幸せになってもいいともうちょっとの神様が言っているみたい。

あきらめないで、もうちょっと色々頑張ってみよう!


今日もありがとうございます!

安定の「もうちょっと」をお送りしております!

今日の「もうちょっと」はいくつあったでしょう!数えても何もないですが。

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