3、伯爵家の奥様
今日もよろしくお願いします。
伯爵家の応接間?居間?お茶をしているのは、素敵な部屋だ。
柔らかい日差しの入る大きな窓からは、南の庭がよく見える。
奥様は、わたしと次男さんを座らせ、三人分のお茶の用意をさせた。
セバスさんからいただいたのは紅茶で、とても美味しい!
次男さんが無言でくれたお菓子は、クッキーみたいなもので、こちらもとても美味しい!
え、もっとくれるの?ありがとう!遠慮なくいただきます!
奥様とセバスさんから、なにやら生暖かい目線を感じるけど・・・。
面倒になったわたしは、ありのままを話すことにした。
穴に落ちてここに来たなんて、不思議な話信じてくれるかしら。
「あら!不思議な話ね~。落ちたところが、うちの庭なのね。
異国の迷子さんだわ!初めて会ったけど、たまにあるみたい。
本なんかにもなっていたと思うわ。今度探してみるわね。」
「ありがとうございます!
使用人さんたちがとても優しくしてくださって、お手伝いをさせていただいていました。
あのう、このまま置いていただいてもいいでしょうか?」
「もちろんよ!いくらでも部屋は空いているし、客間を用意するわね!
ねえねえ、うちの子にならない?女の子が欲しかったのよ~!」
次男さんが、首を振っている。嫌なのかな。
でもやっぱり子供だと思っているな。はぁ、もうちょっとしたら帰れるかもしれないし、諦めよう。
気軽なお手伝いのままでいいよー。ありがとね、奥様。
それにしても、お菓子が美味しい!
「いいえ!とんでもない!お手伝い扱いで充分です。」
「そんなこと言わないで!・・・クローも気に入っているんでしょう?」
(あら、うふふ。妹じゃ嫌なのね?嫁ならいいのかしら?)
(・・・・。)
(でも、彼女がもうちょっと大人にならないと嫁は無理だわ~。)
奥様は、次男さんと内緒話をしている。
「じゃあ、話し相手になってちょうだい?それくらいならいいでしょう?」
「もちろんです!よろしくお願いします。」
よかったー。置いてもらえそうだ!もうちょっといい子にしてようっと。
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エントランスに行くと、早くも母が到着している。
セバスと話をしていたようだが、こちらを見てニコニコしているようだ。
そして、彼女は、チェリーと名乗った。
不思議な名前だがファミリーネームもあるなら、平民ではないのか。
ちょっと恥ずかしそうにしているのが、見ていてムズムズする。
母とお茶をするようだが、当然俺も行く。
なぜなら、まだ彼女と手を繋いでいるのだから。
また、危ない目にあってはいけない。そう、それで一緒に行くのだ・・・、多分。
きれいな立ち居振る舞い・マナーで、彼女はお茶を飲んでいる。
セバスや母も、彼女をさりげなく観察しているようだ。
お茶が美味しいと、彼女はキラキラした目でセバスを見上げている。
俺は、こっちをむいてくれるように、お菓子を勧めた。
美味しそうに食べている・・・。食べれば、もうちょっと大きくなるのか?
母がキラキラしながらこっちを見ているが、彼女から目を離せない。
俺はどうしたんだろう。こんな気持ちになったのは初めてだ。
彼女は、異国の迷子のようだ。おとぎ話のような不思議な話として、多くの人が知っている。
俺は驚いたが(きっと顔にはでていない)、母はどんどん話を進めていく。
うちの子って、養子にするのか?ということは妹だ。結婚したら家から出てしまうじゃないか。
離れてしまっては、彼女を危険から守れない。
そう思ったとき、自然と首を振っている俺に、母とセバスが驚いている。
あわてて、断っている彼女にホッとしながら、お菓子を勧める。
母は、俺に小声で話をしてきた。
嫁?嫁ってなんだ?俺と結婚するってことか?
まだ少女の彼女と?でも近くで彼女をずっと守れるのか。
夕食には家族が揃うので、紹介をするからいらっしゃいと母が彼女に言って、
お茶の時間は終わった。
俺は彼女を庭師のじいさんのところまで、手をつないで送っていった。
一話中に何回「もうちょっと」が出てくるでしょう?(ΦωΦ)フフフ…