黒い番外編 トリップの裏側 上
また!一話で終わらなかった!なぜ?なぜなのーーーー!!
本日、フルサル伯爵家次男夫人の誘拐未遂事件が起こり、犯人が捕まっている。
上座の段の上に、国王陛下・王太子・フルサル伯爵がおり、すぐ段下にクローディアス・フルサル、ホール中央に犯人のサヴァノーチェ・ブルーノ侯爵令嬢が、騎士に抑えられている。その横にお付らしい女性と護衛らしい男が縄で締められ転がされている。
そして、下手には公爵家以下の貴族当主が揃っており、緊張した雰囲気が漂っている。
先程まで、当人のフルサル伯爵家次男夫人も居たが、体調不良で他室へ下がっていた。
「突然ですが、会議でお集まりの皆さんに、急遽起こった事件の真相究明に立ち会っていただきたいと思います。
本日、陛下との面談に来たフルサル伯爵家次男夫人が、応接室より無理やり連れだされ、馬車に乗せられそうになりました。拉致しようとしたのは、サヴァノーチェ・ブルーノ侯爵令嬢と他2名、暴れたため取り押さえてあります。
・・・何か、言うことはありますか、サヴァノーチェ嬢。」
「私にこんな手荒な真似をして!失礼だわ!許しません、フルサル伯爵!」
「あなたに許していただかなくて結構。あなたは罪人なのですよ?わかっているんですかねぇ。」
「畏れながら、国王陛下!将来国母になるかもしれない私にこんな事があっていいのですか!?ひどい侮辱です!
王太子様、やっとお会いできたのに、ひどいですわ!助けて下さいまし!」
「・・・国母?たかだか侯爵家の令嬢が、婚約もないのに、何を言ってるんだい?」
「あなたこそ!どの王子でもいいから、婚姻して子供を産めば、国母になるとお約束を頂いている私を知らないのですか!?」
「知らないね。そんな約束なんてあるんですか、国王陛下?」
「いや、知らないね。どこでそんなデタラメを聞いてきたんだか。」
「そんな!お手紙をいただいたのをずっと持っております!」
「そんなものは知らないな。第一、王子たちには正妃がいるしな。ああ、跡継ぎはまだだから、自分がなれると思い込んでいるのかな。」
「現在の王子妃に子がなく、公爵家の令嬢もいい年頃の方は、嫁に行っている・・・それなら次は自分の番というわけですか。短慮な。
・・・何か言い分はありますか、ブルーノ侯爵。」
青い顔で脂汗を垂らしているブルーノ侯爵が、貴族の中からよろけつつ出てきた。
「お父様!私が王子妃になるのは、決まっているとおっしゃっていましたよね!?なぜ?なぜこんな屈辱を味わわなければなりませんの!?あの、お手紙は何なのですか!?」
「サヴァノーチェ、領地に帰っていたのではないのか?王都から離れていればなんとかなると思ったのに、なぜ王宮にいるのだ・・・?こ、これは夢なのか?な、なんという悪夢なんだ・・・。」
床に崩れ落ちるブルーノ侯爵。
シラけた目で見つめる、上座の面々。クローディアス・フルサルが、無表情なのに目だけがギラギラと輝いている。
「まったく、勘違い令嬢の騒動に巻き込まれた、我が家の次男嫁も迷惑だ。わかっているだろうが、誘拐は重罪ですよ。侯爵家も同罪、なんだか余罪もありそうですし、諜報部でしっかり取り調べさせていただきます。降格は間違いないでしょうね。」
「うそ、うそよ!王太子様!私はあなたをお慕いしており・・・」
「迷惑だ。王太子妃に嫌味ばかり言ってきたことを知らないと思ったら大間違いだ。私の執務中に突然訪ねてきたり、非常識にも程がある。」
「騎士やメイドが逆らえないのをいいことに、王宮でもやりたい放題の挙句、うちの次男嫁のうわさを立ち聞きして、連れて行こうなんて、ひどい話だ。なぁ、クローディアス。」
「・・・。」
無言のまま、ギラギラと睨みつけているクローディアスに気がついた令嬢が、
「ヒッ・・・!」と驚き、ガタガタ震えだした。
「もういいよ、みんなまとめて、諜報部に連れて行っちゃって。」
フルサル伯爵の発言で、事件の決着がついた。
シンと静まる、広間の上段で、ため息が聞こえた。
「折角の王宮会議にこんな事件が重なるとは、思わなかった。
ここ何代も争いがなく、平和でいられるのも、王家の努力と神の加護だというのに、貴族の中で何か勘違いでもあるのではないのか、フルサル伯爵。」
国王陛下のお言葉が、広間の端まで響き渡る。
ブルブルと震えだす者、青い顔の者、うなづき・したり顔をする者、キラキラと目を輝かせる者(?)、貴族たちをじっと見つめる、フルサル伯爵が陛下に応える。
「そうですね・・・。今は、席を外している宰相と今後の方針をよく話し合っておきますよ。色々わかったことも多いですし・・・ね。」
「父上、私も次期後継者として、是非ともお話にいれてください。
・・・それとこんな場でいうことでもないと思うのですが・・・、我が妃に妊娠の兆候があります。私は弟もおりますし、もし子が居なくとも妃以外を娶る予定はありません。
勘違いした輩にまとわりつかれるのは、迷惑です。父上にも、知っておいていただきたい。」
「おお!孫が出来るのか!?なんて良いニュースだ。わかっている、わかっている。
こんなこともあったし、今日集まっている貴族の者達にも、変な気を起こすものなどいないだろう。・・・どうだ?」
急に元気になった貴族の者たちが、口々にお祝いの言葉を述べたり、王家のご機嫌をとったり、広間が騒がしくなった。
「皆の者、祝いの言葉ありがとう。では、本日はこれまで。王太子妃の懐妊が決定になったら、改めて祝をしようと思う。」
そして、陛下と王太子が侍従や護衛をつれて、出て行った。
・・・ふう、やれやれ、とんだ茶番劇だった。
公爵家を継いだばかりの私でも、事件と会議が重なるなんて偶然なんかあるわけ無いとわかる。勘違い令嬢に苛々していた王太子や、きな臭さを感じていた貴族連中を静かにさせたい宰相たちが考えたんだろう。
陛下も知らないわけがない。
ざわざわと情報収集に励んでいる、他の貴族連中を薄笑いで眺めていると、上段近くで次男といるフルサル伯爵と目があった。
ニコリと微笑まれ、私は背筋がゾッとした。
ちっ、あの伯爵だけは私の頭のなかを覗かれているようで苦手だ。相手にしたくない。
王女との婚約の時に情報等で世話になったが、私より何枚も上手なオヤジだ。
次世代達・王太子や伯爵家の嫡男とは、うまくやっていけそうだが、伯爵だけは逆らってはいけない相手だと思っている。
その男に向かっていった、勇敢なる侯爵家令嬢に哀れみを込めて、黙祷を捧げた。
誰の視点か解りました?
名前もないあの人ですが、セリフは1つあった人ですよ!!
まだトリップについての真相にたどり着けてないので、もう1話あります。
1話のはずです・・・、多分。
まだ書いてないんですね~~~(゜∀゜)す、すみません!
連日のアスセス数とランキングに、浮かれて踊っているわけじゃアリマセンヨ。
黒い話で嫌だわと思った方は、活動報告に甘めの小話ありますのでどうぞ。




