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番外編 その3  お兄さんの話 上

チェリー(桜子)の兄さんの話です!

 私は、花園はなぞの光輝こうき、34歳、花園コーポレーション専務、独身。

花園家の長男として生まれ、祖父が作り、父が大きくした会社を継ぐものとして生きてきた。

可愛げのないめた子供だったと思う。

勉強も人付き合いも軽くこなし、御曹司として将来を楽しみにされていた。


 7歳の時に、妹ができた。

喜怒哀楽のはっきりした女の子で、わがままに母が振り回されていた。負けず嫌いで、私にも対抗心があるようだった。


 父は、仕事人間で家にいることが少ないのに夫婦仲は良かったらしい。寡黙で真面目な人だ。母は、お嬢様育ちでおっとりしているが、明るい人だ。上の妹・百合香ゆりかは、だいぶわがままは落ち着いたが活発な子だ。その他、お手伝いさん2人と父の秘書が2人、会社の運転手が我が家に出入りしている。


 10歳の時に、また妹ができた。

活発な百合香に振り回されていたので母は大変だなとしか思わなかったが、その下の妹を、一目見た時に私の運命が変わった・・・!

次女の桜子は、赤ちゃんなのに大きめの黒い瞳で私をじっと見つめていた。

なんて可愛いんだろう!と衝撃を受けた。

 長女と違って、大人しくよく寝る子で、幼児になっても絵本を静かに読んでいるような子供だった。一歩引いて考えてから動き出すような性格で、長女と正反対なイメージだ。

 初等科でどんどん頭角を現し、女王のようになっていく百合香と比べ、そこそこ出来るのに控えめで目立たない桜子。大人は2人を比べてばかりだ。

この子は、私が守ってやらなくてはと感じていた。



 桜子を理解しようと、同じ本を読み、なるべく一緒の時間を過ごせるようにした。

大人たちの比較に気がついていた桜子は、徐々にあきらめを覚えていった。私にだけは甘えてくる様子に、ますます庇護欲が湧いた。


 桜子が、中学校を百合香と違うところに行きたいと言ったので、大学までストレートの女子校を勧めた。今までよりは程度は落ちるが、変な虫がつかないように見守りやすいだろう。同級生の一人をバイトに雇って、桜子の様子をレポートさせていた。

 私も、順調に父の会社に入り、次期社長としてのキャリアをつけていた。


 桜子が、一般の会社に入り(うちと取引をさせている)、落ち着いた頃、私は半年の海外出張になった。秘書の一人(私の幼馴染で桜子に面識がある)を桜子の見張りにして泣く泣く出張に出た私だった。


 そして、三ヶ月後、秘書からの連絡に持っていたスマホを落としそうになった。

かわいい桜子に、虫がついたのだ。

大至急で調査をさせて、資料がまとまった頃、第二弾の緊急連絡が来た。

結婚をしたいと秘書が相談を受けたというのだ!

まとまりかけの資料を見ても、まともな男ではないようだ。とにかく桜子をなだめて、邪魔をするようにと指示を出した。

 秘書の毎日の報告に、歯ぎしりをしながら帰国を待つしか出来なかったが、虫の浮気相手に子ができ、桜子との話が無くなったようだ。

話が無くなったことは安心したが、桜子のことを思うと、虫を踏みつぶしてやりたいと怒りがわいた。

やっと桜子と電話で話をした(結婚を切りだされるのが怖くて電話してなかった)が、落ち込んでもいないようだし、いつもどおりのかわいい妹に癒され、翌日の仕事がとても捗った。


 そして今日の夜、秘書から、桜子があの虫けらの結婚式に出て、そのまま帰宅していないと連絡があったのだ!携帯もつながらず、探すように指示は出したが、遠い外国ではどうにも出来ず、夜中だったので眠れないながらもベッドで横になっていた。




 はっ!と気が付くと、コスプレの西洋人の多くいる白い部屋の隅に立っていた。

その中に、桜子に似た女性がいる・・・?


「・・・桜子か?・・・ここはどこだ?」


 やっぱり桜子だった。ウェディングドレスのような衣装を着て、とてもかわいい!

なに?結婚? 何を言っているんだ、お兄ちゃんは許しません!


 背の高い男と結婚したいと強く主張をする桜子に、とてもびっくりした。

かれこれ十年以上、そんな強い桜子を見ていない・・・。

泣かれるのはとても困るし、・・・ダメなら私のところに戻ってくればいいのだし・・・。

桜子に、結婚を許し(可愛く喜んだ!お兄ちゃん嬉しい)、この状況の説明を求めた。


 なんだって!?異世界トリップ?

桜子の読む本の中にそんな話があったが、信じられない!

もう桜子と会えなくなってしまうのか!?いや、そんなことは許せない!

桜子は大事な大事な妹だ。ここまで私が守ってきた役目を、桜子に出会って数ヶ月のこの男に全部渡すわけにはいかない。

 ベッドに横になっていた私はリラックスウェアだったのに、今はなぜかスーツ姿で、ポケットにはスマホがあった。

スマホで二人の写真を撮り、桜子に「ありがとう」と言われ、返事をした途端、めまいと共に仮私室のベッドの上に戻っていた。



 ・・・夢だったのか?私はリラックスウェアにスマホを持ち、ベッドの上で呆然としていた。

でも、桜子と背の高い男の写真が、ホルダーの中に残っている!


・・・明日にでも、秘書に調べさせなくては。

現実と夢と妄想の入り混じった頭を動かすために、今夜は寝ておこう。

この謎は、絶対に解き明かす!桜子は私が守ってやらなくては!!

異世界にだってきっと行ってみせる!兄の愛はとっても深いのだ!フハハハ!




もうちょっとで危ない人な、桜子のお兄さんでした・・・。


遅くなってすみません!

とりあえず書いたところまで、アップしました!

どこまで続くのか未定なのが素人・・・。

が、がんばります~(・∀・)


アルファポリスのファンタジー大賞を記念にエントリーしてみました!

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