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10、わたしとダンス

 やっとのことで、彼女をダンス・・・じゃなく、夜会に誘うことができた。

うまく話すことができず、あわててしまった。

でもこれで、練習も夜会も、ずっと彼女の一番近くにいられるだろう。


 ダンスの練習には、何故か兄以外の家族が揃っていた。

父と母が見本に踊ってくれたが、2人寄り添い楽しそうにくるくる回る。

俺は、ダンスを楽しいと思ったことが今まで一回もなかった。

そうか、自分が望んだ相手と踊ることは楽しいことなんだ。

彼女にも楽しいと思って欲しい。

俺がリードして彼女を楽しませなくては!


彼女のほっそりとした手が、差し出した俺の手に乗った。

いつもつないでいるように軽くにぎる。

そっと彼女の腰に手を添える。彼女はもう一方の手を俺の肩にのせた。

そっと引き寄せ、お互いの距離を縮める・・・。

兄嫁のピアノでワルツが始まる。

彼女のふわっと甘い香りが近づき、俺の胸の鼓動が跳ねた。

このドキドキは、彼女に伝わってしまうかもしれない。

足元を見ていた彼女が不意に顔を上げた。

妖精のように軽い彼女をくるりと回しながら、暖かい気持ちになった。

急に頬を赤くした彼女は、また俯いてしまった。

彼女のかわいい顔をもっとずっと見ていたい。

腰に添えた手に力が入って、彼女を引き寄せたくなる。

落ち着け、落ち着け。心と同じにそっと寄り添わないといけないと王子に言われていたのだ。


 たった一曲だったが、大丈夫と母に言われて練習が終わることになった。

彼女を庭に誘いながら、もうちょっと踊っていたかったとちょっとがっかりする。

二人で黙って散歩をしていると、彼女がニコニコして言った。


「いつもありがとう。あなたって本当に優しい人ね。ダンスとっても楽しかった!」


ふるふる首を横に振る。俺が嬉しくてやっているんだ。


「その夜会は、なんの夜会なの?」

「・・・王子の誕生日。」

「まぁ、お祝いにプレゼントを贈らないといけないかしら。」


ぶんぶん首を横に振る。俺でも彼女からもらったことないのに(怒)。


「いらないのね?そうなの・・・。」

「・・・俺とずっと一緒にいて欲しい。」

「あら・・・!わかったわ。王女様を避けるためね!迷子になっても困るしね。

よろしくお願いします!」


 ・・・『この先』が、抜けてしまった。

もうちょっと言葉が足りないだけで、意味が違ってしまう。

伝わらなかったことにがっかりしたが、彼女は楽しそうに笑ってくれた。

それだけで、胸が暖かくなり嬉しいと感じる。

彼女といると嬉しいことが多い。

彼女は、庭師のじいさんを見つけ、さらに嬉しそうに笑った。

じいさんと三人で会話をすると、ニコニコした彼女が俺を見上げる。

穏やかな・・・彼女と笑い合うこんな毎日が送れるようにと俺は願った。


***********************************



そして夜会の日、昼過ぎからメイドさんと奥様たちにもみくちゃにされて準備をした。

異世界すごいね!魔法ないのに魔法のようにビフォーアフターなわたしになったよ!もうちょっとじゃないよ、完璧!

鏡を見て、綺麗にされた自分にびっくりした。

でも、これをいつもやっている、お姫様って大変なんだなー。


伯爵家から馬車で王宮へ、クロー様のエスコートで大広間についた。

おおー。これぞ異世界の舞踏会!絵本の中のお姫様・王子様の世界だ。

金髪・銀髪・茶髪・黒髪・・・。色彩にあまり違和感はないけど、みんな背は大きい。

もうちょっとじゃなくて!すっごく背が高くなりたい!!


王様・王妃様・三人の王子・王女と並んだひな壇は、ゴージャスな空間だった。

そして王様のお言葉のあと、賑やかに夜会が始まった。

まずは、周りの挨拶から・・・なのかなと思ったら、まとまって立つ伯爵家に人が寄ってこない。

どうしてだろう?いいのかなー?

伯爵様と奥様はにこやかにお話をしているし、

長男さんも若奥様といちゃいちゃしている。

そして・・・クロー様は、わたしにくっついて離れない。

わたしと目があったクロー様は・・・、


「チェリー・・・きれいだ。」

「あ、ありがとう・・・。」


真顔で言ったよ、この人!タラシ?タラシなの?

顔が赤くなるからもうちょっと控えめにほめて。あ、しっぽはやっぱり元気に振っているのね。


 わたしは、クロー様から夜会に出ていたお菓子をもらった!

美味しい!やっぱりお城の食べ物なだけあるわ!

伯爵家のコックさんもすごいけど、さすが王宮、侮れない!

あ、クロー様、いつもお菓子ありがとう。

餌付けでも、給餌行動でもいいです。ゴチソウサマ。

成人していますし、アルコールもいいですよね?

んん、美味しい!あっちのシャンパンみたい。えー、もうちょっと飲ませてください、クロー様。

もうダメですか。そうですか。しょんぼり。

そういえば、王女様はメガネの似合うイケメンと一緒にいて、不機嫌そうだけど、こっちには来ないみたい。


 やっと、ダンスの時間になった。

練習の通りに、クロー様にお任せして、ワルツをくるくると踊る。

わたしが絵本の中のお姫様になるなんて、マンホールに落ちるよりありえないと思っていた。

みんなキラキラしていて、王子様みたいなイケメンと手をつないで・・・夢じゃないのよね。

 それにしても・・・なんか見られてない?

クロー様がかっこいいからかな。

注目を浴びているような・・・。やっぱり下手なの、わたし。

もうちょっと練習すればよかったかしら・・・。

アルファポリスのタグつけてみましたー。

初心者、いろいろやってみてます!生温かい目で見てネ♪

活動報告もかいてますよー。

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