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幼女、遭難する

さて、綺麗な花があったのでひとつ摘んでみた。

俺は有言実行できるデキル幼女なのだ。

ふふん、何とも良い香りではありませんか。

ねえ、ねこ?あなたもそう思わなくて?


う〜ん、甘い良い香り、心地が良い。

なんかもう寝ちゃおうかな。

眠たい。

ZZz…



おはようございます。

分かっています。俺は至って冷静です。

既に日は落ち夜になっているのは承知のうえです。

「おはよう」というのは起きたときの挨拶ということで。

どうかひとつ納得いただきたい。


では、改めて。


ナニコレ?!

どういう状況?

なぜ夜になっている?

WHY?!ほわぁい?!


「みゃー」


「うん?」


ねこが前足で一輪の花を指す。

花?そういえば昼間に摘んだ記憶がある。

で、確か、そうだ!匂いを…

分かったぞ。


「犯人はお前だ!!」(小声で絶叫)


ズビシッ


俺は真っ直ぐに指を向けた。

これはキケンな花だった。

綺麗な花には毒があるってわけか。

なるほど。やってくれる!


後ろからそっと近寄り、口元を覆うように嗅がせる。

そういった用途が想定される。

なかなかに即効性が高かった。

犯人たちの御用達だろうね。



現実逃避の時間は終わりです。

どんなに逃げたって現実はすぐに俺を捕まえる。

擬人化するならば黒メガネにスーツな感じだろう。

直視するしかないんだ。

逃げちゃだめだ。


では、これが現実です。


幼女また遭難。


ついこの間まで森で過ごしてきましたがここはそのときとは違う。

嗅いだだけで眠ってしまう花が生えるような場所。

幼女の生息域ではない。断じてない。

もっと優しさに包まれた場所のはずだ。

無い物ねだりしても仕方ない。

商隊はすでに行ってしまったのだ。

ここには幼女()幼獣(ねこ)しかいない。


どこか安全な場所を探さなくてはいけない。

このままではキケンだ。

この装備たちを身に着けていれば余程のことがない限り大丈夫だとは思う。

けど、絶対かは分からない。

街道に出てみようか?


あれ?商隊、護衛、街道?

あれあれ?これはもしかして?

トンデモナイことを見落としていた……

盗賊とかでるのかも…。


あーこれはまずいですねー。

ウサギに遭遇するよりなお悪いですねー。

捕まったらどうなるか分かりません。

いや、分かるよ。

碌でもないことが起こるんでしょ?

知ってる。



「……うだ?……か」


背筋が凍るってこういう状態を言うんだろうか?

人の声がした。

当然、幽霊だなんて思っているわけじゃない。

もっと現実的な脅威だ。


松明の炎が見える。

ねこに視線を向け、静かに草陰に隠れる。

幸い相手がこちらに気が付いている様子はない。


見回りでもしているのかな。

盗賊がやっているんだ。碌なことではないはずだ。

なぜ盗賊と思ったかは風貌だ。

もし違ったらラッキー。

違わなかったら最悪なので、隠れることにしたのだ。


だが、運命は俺に味方してくれない。

幼女なのに。

現実が厳しすぎてツラい。


こちらに近づいて来る。

息を潜めろ。

心臓の音が五月蝿い。

静かにしろ。

バレたら終わりだぞ。



ガサッ


ガサガサ


枝葉の音が聞こえた。

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