思い出
「ねえ」
少女が話し掛けてきた。
「ひとりなの?」
「…うん。みんなとあそぶのにがてなんだ」
「わたしも…ひとりでゆっくりあそぶのがすきだなあ」
「そうだ!いっしょにあそぼうよ」
「…いっしょに?」
「そう。きっとたのしいよ!」
「…わかった」
それから、毎日のように俺とアイツ…二人で遊ぶようになった。
「ねえ、カナタの家ってどんな感じ?大きい?」
「え…?」
「…別に。普通の家だよ」
「へえ~!今度遊びに行ってもいい?」
「…それは駄目だ。親が厳しいし、そもそも家の場所がえらい遠いから」
「…そっか…大人になったら遊びに行ける?」
「…多分」
俺はなんとか自分の正体を悟られぬように誤魔化した。
でもある日…
「…カナタ…それってどういうこと…?」
「そのままの意味だ…俺は妖怪。お前は人間。ここで生きることは許されない」
「…嫌だよ…折角初めて友達ができたと思ったのに…!!」
「現実ってのは本当に無慈悲だ。こうやって別れを強いられることだってある…それを受け入れて、強く生きないといけないんだ…俺達は」
「…精々、何かやらかして俺のとこに来るのはやめてくれよ?」
「…え…何か…いる…?」
「…嫌だ…こっち来ないで……誰か…助け…」
ヒュンッ
ザクザクッ
「…!!カナタ…」
「…勘違いするなよ…お前がいなくなるといろいろ困るからってだけだ」
「…それでも嬉しい。ありがと」
「…ほれ、ナイフやるよ。ソイツでそこらのバケモン斬れるからよ」
数十分後。
「…なんてこった…」
「どうしたの?」
「…いや、何でもない」
(…これは…人間か?しかも中学生くらいの…)
…予感は的中した…