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良からぬ気配
「わわわっ!!カナタさん、一体何が!?」
状況が理解できないショウイチはひたすらカナタに問い質した。
「…やっぱり何でもない。連れ回しちまって悪かったな」
カナタはそれだけ言うと、また歩き出した。
「…さっきの人…妖怪だったんですかね」
ショウイチは青空を見上げながら呟いた。
「…昔会ったことがある」
「…え?」
予想外の言葉に、思わず首をかしげる。
「しかも、あの場所…あの公園のブランコで、だ」
「…そんなぁ!カナタさん!きっと疲れてるんですよ!人間界なんて子供の時から行けるもんじゃないんですよ」
「嘘じゃない。あそこでアイツとよく遊んだ。名前はもう覚えてねえが」
カナタはキッパリと言い切った。
過去の記憶は曖昧だが、彼女と過ごした時間は鮮明に残っている。それが正しいと信じたのだろう。
「…カナタさん?」
急に俯いたカナタに、ショウイチは歩み寄る。
「…クソッ…アイツ等のこと、どう伝えれば…」