財閥後継ぎ事件 事件前編
これはSFです、絶対真似しないように
ストーカー事件から2ヶ月位たったころ
黒猫探偵事務所も、賑やかな程お客様(動物連れ)が来るようになった
一応、動物管理許可も取り合えず取った事もあり
探偵事務所というより動物相談所になりつつあった
『ゴシュジヨニイッテヨ、ウルサイハコ、ナントカシテ』
血統証付きの猫
連れてきたのは、いかにもブルジョワ御婦人
「この子、何時躾てもだめなんです」
成程、言葉が返せないというのも大変だなぁと
「御婦人、テレビかオーディオを聞いて、いらっしゃいますか?」
「まぁ、良くご存じで。最新のホームシアターなのですよ」
「それが原因ですね。小動物は人間の耳より数倍良いと言われています。大音量で聴かれると、猫などにはストレスとして溜ってしまうのです。なので、毛づくろいや、爪研きをストレス発散のためにすることが多いのです。ジャンルとしてアクションやSFがこのみではありませんか?」
「まぁまぁ、その通りですわ」
「小動物は、高い音に敏感なのです。御資金が御ありなら防音室でご覧になると良いと思います」
『彼方も、大変ね』
膝元にいる黒猫が、その猫に言う
『ホントダヨ、ナニイッテルカ、ワカラナイケド、カイゼンサレルカナ?』
『私のご主人は、天才だから。大丈夫だよ』
この娘、マイは私の言語イメージを毎日のように教えていたかいがあり、いまでは日常会話程度なら普通にかいせる「まぁまぁ、わかりましたわ。主人に、相談しますわ」
「それが良いかと思います」
「助かりましたわ、これが、相談料ですわ」
渡された料金は指定した料金より桁が多かった
「これは、多すぎです」
「これでも、少ない方ですわ。どうでしょう、私の邸でお食事でも」
まぁ、そのぐらいなら
「わかりました」
「良かったわ、お待ちしておりますわ」
それから、数日後
御婦人邸へと赴いた
所長は何か用があるといい(私の生体部品やらを闇で受け取りにいくらしい)
今回は、私一人だけだった、いや私と一匹が正しいかな
「ようこそ、いらっしゃいました。奥さまから申し聞いております、私執事の上月ともうします」
紳士らしく挨拶をする執事さん
「高間 真夏です、この度は、お招き頂きこうえいです」
短いスカートの裾を少しだけ上げる
「ご丁寧に、さぁ奥さまがお待ちです」
中へと歩み入る
外見だけで、相当なホームセキュリティだとわかる
庭を見渡せるベランダの角には赤外線暗視カメラ塀の上には赤外線侵入探知センサー、地面に何やらケーブルも出ている、振動センサーかな
(かなり、厳重ね)
何かに恐れているような、もしくは、何かを守っている?
そんなことを、思っていた
「どうぞ、お靴はそちらに」
和風の住宅なため、靴を脱いでしまう
しかし、気になった。
和風なのに、何故中庭にはファンタジーにでてくるような【竜】があるのだろうか
しかも、口からは火の代わりに水が吹き出ている噴水噴水の所には台座があったが気にせずに立ち去った
玄関の下駄箱までも一個一個に鍵まである始末には呆れた
(こりゃ、異常だわ)
『どうしたの?主人』
(ちょっとね)
戸惑う私を気遣う猫もどうかと
苦笑しながら中へと入っていったマイも何か様子が変
(マイ?どうしたの)
『ここ、何か嫌』
動物の感だろうか、一応警戒しておこう
私の視界下に【警戒】と言う文字が表示した
ダイニングルームには、知らない面子が二人ほどいた
男女二人ずつ
「また、探偵か?暇だなあんたも」
「そうよ、いい加減にしてほしいわ」
なにやら、結構な数の探偵を呼んでいるみたい
目的は知らないが
その時、奥から御婦人が入ってきた
「ようこそ、お越しくださいました。」
あの後、この御婦人の事を調べた
コンピュータ社会万歳である
この御婦人 高宮雅子42歳 高宮財閥の奥さまである
高宮財閥の創立者である高宮民蔵はウインドウズを作ったビル・ゲイツに並ぶ富を得たと言われている
悪名も高いらしい
この、奥さまは謂わば玉の輿 に乗った一人だろう
しかし、最近民蔵は姿をくらましたと
椅子に座った私の前にいる二人
右にいるのは、高宮財閥御曹司 高宮 真人27歳 御曹司なのだが未だに高宮財閥を継いでいない
理由は知らないが、というか知りたくない。多分、この雰囲気だと知ることも遅くないだろう
その隣にいる女性は、真人の嫁である 愛美24歳
経歴等不明な一人だ
旧姓 宮城とあるが、住基ネットワークにも宮城 愛美と言う女性は日本に2人しかいないが、二人ともここには居ない
居たら奇跡だ。二人とも県外に在住している。
裏付けもとっている
だから、目の前にいる人物は。
「そう、お暇でしたらこちらをご覧になってくださらない」
なにも食べて居ないんだけど、というかテーブルにさえ置いていない
(何しに来たんだか)
持ってきたのは、窪みがある一枚の鉄板だった
もちろん持ってきたのは執事の上月さんだった
「これは?」
「夫が、失踪したとき書斎にあったものです」
見た目は、鉄
触らないと、物質鑑定はできない
私の目からは、X線による鑑定や放射線物質の鑑定はできるが、放射線物質ではないことは確かであり、X線には真っ黒な物体、放射線を通さない物だというだけだ
しかし、窪みの表面だけはなぜか、「端だけなら構いませんわ」
端だけ触って物質が解るのは相当なマニアか私ぐらいだろう
私は、端を少しだけ触る
[鑑定完了、鋼鉄、メッキン処理によりシアン化ナトリウムを感知、表面はチタン合金、中は不明]
また、妙なトリックね
触った手で舐めたら死ぬじゃない
「これに、触れた人で死んだ人多かったんじゃ?」
皆が驚愕な顔をした
「執事さん、その白手使い終わったら捨てるか、漂白剤に浸せば普通に使えますよ」
ガタッと御曹司が立ち上がり
「なぜ、謎を解くことを頼んだ者たちが死んだことをしっている!」
「まぁ、追い追いわかりますよ」しかし、何故このような仕掛けを
この窪みも気になるが、何か填るのかしら
角には、何かに填めこむような筋がある
ん!
窪みの中にも穴が無数に開いていた
その中からは、鏡のような反射盤が見える
成程
その窪みから、読める文字が浮かんだ
普通の目では見えない光を当てて
「この家に、デジタルビデオカメラはありますか?」執事さんに聞くと
「はい、あります」
皆、私の推理劇にドキドキのようで誰も私から目をはなさなかった、いや、何か不審な動きがあったら、と言う意味かもしれない
「今、お持ち致します」
慌てたように部屋を出た
「何が分かった!教えろ」フフと笑う私
「何がおかしい!」
「いや、貴方のような人が御曹司だと思うと、なんだかね」
「何だと!」
こう言う、男は単純でいい
私みたいな女性だと油断するから、手を挙げれば黙るだろうと思うのだろう
その証拠に男の拳は私の大きく無い小さなてに収まっていた
「なっ」
「それが答えです・か!」【か】の瞬間、大の大人でも出せないほどの握力で拳を掴み捻あげ、男の腕は関節の仕組みに従い、前につんのめり、大きな音を立て顔面からテーブルに落ちた。
そのまま、男の肘を曲げ細い腕が首元を絞めつけた。普通の女性なら振りほどけるだろうが、普通ではない彼女の腕は工業用ロボットアームに巻かれた状態に等しい
「女性でも過小評価しないことよ、いい勉強になったわね。おぼっちゃま」
皮肉を言うが、痛みと苦しさで反論出来ないでいる
つまらなくなった私は、捨てるように男を放った
「ゲホ、女じゃねぇ、こいつ」
「失礼ね!私は女よ」
(人間じゃないけど)
一悶着あった後、執事さんが戻ってきた
「どうなさいましたか?」現状が把握出来ないでいる執事さんに
「そのカメラをナイトビジョンにして、その鉄板を見てみなさい。」
「は、はい」
執事がカメラを操作し、鉄板に向けた瞬間
「こ、これは!」
驚く声に反応したのは、御曹司君だった
「なんだ、どうした!なっ」
そっちも驚いているけど
皆が、画面に写っていたものを見た
〔皆の諸君、これを見つけたと言う事は、私が仕掛けた罠を見事通過したということだ。おめでとう。しかし、これを見つけただけでは私の欲求は満たされない。また、謎解きを伝える。解いて見たまえ。これが説けた時、皆のまえに姿を現すとしよう。諸君の健闘を祈る。〕
「な、何故」
御曹司君が私に問う
「アットシールド・クリア」
私がいきなり言う言葉に皆が止まった
「赤外線反射溶剤、うす緑色をした微粒子の固まり。貴方の車に着いてるじゃない。ナンバープレートに、今では条約によって各地使えない所があるけど、皆このアットシールドを使ってるのよ。文字の所だけ、その溶液を使えば黒く浮き上がる仕組みね。よく考えたわ、感心を越えて呆れちゃうわ(-.-)」
その後には、まだ言葉があった
〔我は、信じる。強く、逞しい力を持ち、穏やかで優しい心、誰にも立ち向かう勇気、そして、気高き希望。そう、あの竜のように。竜は、何かを見ていた。
我は、解らない何をそんなに見つめている。
何故、悲しそうな目をしている
そうか、希望の玉が欲しいのだな。だが我はそれを持ってはいない
我は願う、希望の星を竜に送って欲しい。その為なら我の全てを捧げよう〕
また、謎ね。謎解きは好きだけど、この人は人物を試しているみたい
でも、なんとなくだけど見えてきた。この、謎解き
この人達はきっと命がけね。この分だと食事にありつけないと分かった私は、家路に帰る為立ち上がった
「真夏様どちらに」
それに気付いた執事は、私に問掛けた
「帰るんですよ」
「え!」
「私は、騙されてここに来て、後継ぎ騒ぎに巻き込まれただけですので、この辺でお暇いたします」
しかし、ここまで来て帰らせる人達じゃない事は分かっていた
「待て!」
御曹司が持っていた物を私に向けた
「ふむ、なるほど悪名高いとは噂を聞いていましたが。ここまでとは、でも古くないですか?TT-33ロシア純正トカレフとは」
「そうかい、なら最後までいな!」
そうは、いかないんですよ近くにあった日本刀を手に取った
それを、スッと鞘から抜いた
「上杉謙信ですか、たしか寒山刀剣美術館から盗まれたと聞いてるけど、いい機会だわ。切味試してみましょう」
「か、刀と銃て勝てると思うなよ」
刀を舐めちゃこまるよ
「知ってる?あなたが持っている銃はどこかからの貰い物でしょ?銃の構造を知ってる人なら解ると思うけど、多分弾はフルメタルジャケット。鉛をメタル鉄て覆っただけの代物に金属より堅い歯をも斬る刀に勝てるとおもって?」
完全に切れた
「地獄で、懺悔しやがれ」乾いた発砲音と共に、弾が飛び出したのが見えた
人間の肉眼では目視できないが、私は人間じゃないから超高感度アイカメラと数ミクロン単位まで動ける体がある
今の私に、勝てる武器は核兵器ぐらいだろう
たから
(負ける気がしない)
回転しながら来る弾丸を舐める用に弾丸と刀を当てると、綺麗に切れていく
甲高い音と、ほぼ同時だが壁には2つ穴が開いた
刀には全く傷がない
「流石名刀、刃こぼれもないわ」
全員弾丸を斬った私を見つめていた
「まだやる?」
「うぁー」
恐怖と錯乱でマガジンにある弾全て撃ち尽しスライドが後方で動かなくなり、空薬きょうが散らばっていた
「撃ち終り?次、私でいいかしら?」
私は、一瞬の間に男のトカレフを斬り飛ばし背後に周り首に刀をつきつけた
斬れたトカレフは、部品を巻き散らした
「ヒッ」
「切腹をしたものを、苦しまず首を切り取るそうです。その場所は、背骨の第3骨位らしいです、それがここ。試してみます?」
「あ、あ」
泡を吹き、白眼を向いて気絶した
(度胸ないね)
「話を戻しますが、後継ぎ騒ぎに私を巻き込まないでいただきたい。探偵を初めて日は長くないですが。あなたたちと居ると、不愉快です。失礼、また仔猫が具合悪くなったら何時でもどうぞ」
刀を納め嫁さんに渡した
「貴方の正体が誰なのかがわからなかった。それが心残です」嫁さんは目を見開き、ピクリと動いたが
「また、会うこともあるでしょう。それでは」
皆を背にして門を出た
「食事しそこねたなぁ」
まっ、食べなくても死なないけどね
その数日後、吉田警部補が私に何故か白い紙を持ってきた
「高間真夏、殺人の容疑で貴方を逮捕します」
「はぁ?」
今までは、この騒の序章にすぎなかった
疲れました。殺人容疑で逮捕された、真夏。事件内容が明らかに!?なる?