ストーカー対策
ストーカーというものは、私には理解できません
薄暗い部屋の中は、フィギュア等が本棚に陳列してあった
「ヘヘ、真夏ちゃん」
その男が見ていたモニタには『黒猫探偵事務所』のブログが写っていた
「真夏ちゃんは、僕のモノ。えへへへ」
夜7時、日テレ系で放送される『名探偵コ○ン』を見ていた私は
ふと、こんなことを思っていた。
(こんな毎回毎回、殺人事件に遭遇する人物って、宝くじを当ててる
ような不幸な人だよね)
ここ20年間で全国で発生する殺人事件は
年間1200から1300件といわれている
それを、毎週のようにめぐり合うこの少年(工藤)って
「・・・ギネスに載ってもいいぐらいよね」
年365日、毎週となると約52回
この少年が、殺人事件を解決する数値は約5%近く
だから、すごいもんだ
「なんだか、有る意味すごい・・・」
そのつぶやきに気づいたカイムが
「何がすごいんですか?」
「いやね、コナ○君が日本の殺人事件を解決してるのが
全体の5%ってのがすごいなぁって」
「そりゃぁ、アニメですからね」
元もこも無い、それを言われると
「でも、私から見れば単純明快なトリックばっかりですけどね」
「そうなんですか?」
私から見れば、すごいなぁと昔は思っていたけど
「情報をある程度規制すれば、簡単なことも難事件になるんですよ
たとえば」
水が入ったコップを持つ
「これを、逆さまにしたら中にあるものはどうなります?」
「そりゃー、こぼれるでしょ?水だもの」
「そこなんですよね。私は、『この中にあるもの』しか言っていないのですよ
だれも、『水』だとは言っていない。いわゆる、これも思い込み
という、人間の心理に基づいた行動なんです。たとえば、
これが氷だったら、落ちます?」
「そりゃー落ちないわ。凍ってるんだもん!あ、そっか」
「解りましたね?そういうことなんです。情報をいかに相手に伝えずに
『推理』することを、目的にしたのがこのアニメなんでしょうね。
徹底的なことを言わなければ、解るものの難事件になりうるんです」
「へ〜、なんか、本当に探偵所長みたい」
感心してしまうが
「あの、一応本物なんですよ?」
と、その時
私の警戒プログラムが警報を放つ
[警告:この建物の中に盗聴器電波を受信しました]
え!盗聴器?!いつの間にそんなものを
この建物には、防犯カメラなどの物は設置していはいない
元々、盗むものもないし個人情報はカイムのパソコンには入っていない
私の脳内に記録されているからだ
にしても、だれが?
すぐに、カイムのパソコンにアクセスして表示する
【事務所内に、盗聴器が有る。どうする? by真夏】
ふむ、とため息ついでに
カタカタとキーを打つ
【何も、聞かれても支障が無いですから。ほっといてもいいと思いますよ by所長】
【いいの?私、最近なんか誰かに見られてる気がするんだけど by美女的秘書♪】
ん!と、苦顔をする
【まぁ、綺麗ですからファンクラブでも出来たのでは?】
背筋がゾッとする
男がナイスガイないいが、この容姿ては、半々だろう常識のある人間ならいが、やはり、逸脱するやからもいる
【ガングロにでもしようかしら】
その言葉に、強く反応した所長
パソコンを打つのをやめて、立ち上がり
「駄目です!せったい、許しません!なぜなら、――」
ウダウダと、論ずる所長を置いといて、対策を考えていた
こっちも、プロだハンターがハンターに狩られるなんて前代未聞だ
「さて、どうしよう」
その後ぐらいからだ、無言電話やよくわからないメールなどが来るようになった
対策はほとんど講じているので被害は無い
無言電話のほとんどが、公衆電話からのものだ
この事務所には逆探知機能も設置してある
電話番号なら、すぐに割り出せるし
数億もの電話番号一覧も記録してある
場所的には、もう絞り込んでいるのだが
まだ、半径13kmもあるので
どうしようもない
メールも、WEBメールで送信しているために、本人を特定することが
困難だった。
しかも、ほとんどが漫画喫茶からの送信
こればかりは参ったけど、私に掛かれば一発だ。
特定した、漫画喫茶に入店してLANケーブルに私の体に有る
端子に接続し、顧客管理サーバーにアクセスして
発信時のログを回収、また、違うところに行って
回収を繰り返し、ある一人の男を特定した
本当は、ストーカー規正法で裁いてほしいけど
証拠が無い限り検挙は無理に近い
しかも、私が獲得したデータは
不正なものばかりなため、証拠能力は無い
「やっぱり、自分でしないとだめかな」
つぶやきながら、電車に乗っていた
[注意:尾行されている可能性があります。第3車両、7A 男性 20代後半
黒のニット帽、灰色のジャンバー、青のジーンズ、白のスニーカー]
私は、周りをきょろきょろ見るようにする瞬間
高性能光学式レンズである瞳が、その男を激写する
(こいつかな?)
降りる予定の無い、ひとつ前の駅で降りる
その男もあわてて降りた
(BINGO!)
あとは、どのように説得するかよねぇ
説得はむりかなぁ、やっぱり
実力行使も、何かと厄介だし
(警察庁犯罪データベースにアクセス)
[ようこそ、日本国警察庁へ]
ここの、システムは中々高度のようだ
(この人知ってる?)
[使用許可IDを提示してください]
やっぱりそうくるか
(お手を拝借)
彼女?の手を握る
ハッキング開始
ID発行、確認
(これでいいかな?)
[はい、確かに。タカマ様、こちらの方のデータは
今現在登録されておりません。重要人物等に指定しますか?]
(いや、まだいいよ。ストーカーまがいのことしてるだけだから)
[それは!女性としての敵ですわ!すぐに、逮捕状の請求を!
公安が動くよう手配しますか!]
(あー、いいよまだ)
[そうですか、何かあったらいつでもご相談ください!]
(うん、そうするね。ありがとう)
[どういたしまして!]
手を振る彼女、こうしてると電子の精霊ってのも悪くない
やつの経歴に、泥はついていなかった
初犯行か、それとも、巧みに捜査の目をくらましているのか
何しても厄介よね
(まだ尾行してる?)
[後方34mにいます]
アーもー
ブチノメシタイ
でも、今の日本国法律刑法にも、最初に手を出した方が加害者になってしまう
ヤツに、ストーカーをしていると言う徹底的な証拠がないのが実情だ
「ほんと、困ったなぁ」
取り合えず、話し合いからよね
向かった先は、人気のない小さな公園
ふぅ、
ベンチに腰を下ろす
やはり、背後から近寄ってくる
「真夏ちゃんは僕のものだ!」
スタンガン式警棒で私を殴った
が
金属同士叩くような音が響いた
「私に、何か用かな?宮田くん」
首筋に当たっていたスタンガンを素手で掴む
身体中が青白く放電しているのが見て分かる
「ば―化け物」
「その、言葉聞き捨てならないわね」
撃ち殺すような鋭い目線を射つ
「ヒィ、ギャッ」
放電していた、からだの一部を、その男の腕を掴んだ
一発て昇天してくれた
一応、住所などの個人情報を取得してベンチに捨ててきた
その後、某掲示板に私は化け物だというスレッドが立ったが、即座に消し、ヤツのパソコンを使えなくしたのは言うまでもなかった
ストーカー対策としては、夜道一人で歩かない。無言電話が来たなら、番号を変えて料金通知欄の電話番号を消して貰う(NTTで出来ます) 郵便物を近くの郵便局止まりにするのも手です