焼死体(解決編)
「これは他殺です!間違いない、絞殺か何かを
してその後灯油などで焼き殺したのでしょう!」
自信満々でいう、あの白男
私は、揚げ足を取るように
「灯油なら、可燃性のにおいが着くはずでしょ?
なーんにも、匂わなかったわ」
安全衛生法により、可燃性の有る溶液には
匂いが無いものにはにおいを、色が無いものには色をつけることを
義務付けられている
その、『匂い』がないのだから、それは否定される
「そ、それは時間がたっていたからで!」
ほんと、何もしらないのね
「時間もなにも、私がさっき触ったときも、まだ暖かかったわよ?御遺体見たんじゃないの?」
私の返事に驚く白男(もういいや、白男で)
こいつ、触っても居ないでそんな推理をしていたのね、ばっからしぃ
「さ、触ったのかい!あの・・・あれを」
白男の返答には、私の理性が止められなかった
「遺体を、物扱いするなんて信じられない!
確かに、死体は死亡証明が成立すれば確かに『物』になるわよ?
でも、まだ死んだかどうかという正式な書類が出ていない限り!
まだ、人なのよ!解ってるの?!Are you OK?!」
「す・・・すまん」
私は、追い討ちをかけるようにしてまくし立てる
「それに、鑑識の結果で被害者以外、足跡が無いって言ってるじゃない!
それに、ここら辺探せば
そこの抜けたスプレー式の芳香剤の缶が落ちてるかと思うわ。死因は事故死よ、旧式の電池式携帯電話充電器は、長時間充電すると内部溶液がもれ出るほどの高熱が発するの
その熱と、ホッカイロの熱で膨張してボン!火などの高温じゃなくても、
熱膨張を長時間すると、破裂するわ。ただ破裂するだけならいいんだけど、
運が悪かったのね、ウールのセーターなんて着ていたものだから、静電気でそれに引火、一瞬の火だったろうけどフラッシュオーバーをして焼死って感じね」吉田警部補が頭の上に『?』をつけた
「あの、よろしいでしょうか?フラッシュオーバーとは?」
あー、専門用語だったわね
「フラッシュオーバーってね、毛などの荒い繊維で出来ている洋服に火が引火すると
そのケバケバに火が一瞬で燃え移ることを言うの。セーターやあとは、綿。しられていないだろうけど、エプロンは殆ど麻かポリエステル製のものよ、麻は燃えにくいし石油製品は溶けるだけだからねそれに、それに、引火したこともあまり気づかないのが一番の難点」
「気づかない?」
「そう、表面を燃えていくから炎が見えないの。青白い炎よ。太陽がギンギンならなおさら見えない。たぶん、それが原因ね」
そのとき、奥の方で鑑識官が叫ぶ
「ありました!そこの抜けたスプレー缶です!」
「はい、事件終了。事故に見せかけた他殺っていうのもありえるけど、そこまで念密にする必要も無い人みたいだし、まぁ事故死でしょうね、他殺だと、信じている方がいるようだけど」しかし、その結果を信じられないやつが居た
「そんなこと!ありえない!俺は信じないぞ!絶対に他殺だ!!」
「まぁ、他殺なら証拠見つけなさい。私は、事故死だと思う。ただそういっただけよ
現状の証拠、彼の金融関係、仕事の評価、などなど、調べればすぐにわかるわ」
一応、裏づけはこの間につけていた
金融関係は、借金0、貯金も数百万程度しかないし、仕事の評価も『並』とあった
家族も居ない独身貴族、恨みを買うようなことも無いみたいだから
間違いなく事故死
「私は帰るわね、吉田警部補。派遣料は、このカードで振り込んでください」
UFI銀行の振込みカードを渡す
「これで?ふりこめるのですか?」
「そ、キャッシュカードを差し入れるところに入れればいいわ。あとは、振り込み金額を入れて、入金してね。手数料は、うち持ちだから」
「解りました」
「じゃね、それと、くっさ〜いキザ男さん。もうすこし、男磨きなさい」
私は、捨て台詞を言い残して事務所へと帰った
帰ると、そこには動物を連れて列をなす
行列の出来る法律相談所じゃなく、動物相談所になり
部屋では
「まなつさぁ〜〜〜ん!早く帰ってきてくださぁい!」
はぁ、とため息をつき
「はいはい、今帰りますよ・・・」
そういって、事務所へと帰るのだった