ライバル同業者
三毛猫ホームズ曰く、『クロネコ・ホームズ』になった私たちは、事務所の名前も『黒猫探偵事務所』として改名した
最近の依頼は猫や犬の捜索依頼が多い
本業は人間相手の捜索とかなんだけど
まぁ仕方がないか
口コミで広まった噂で
最近は、犬の躾や育成法とかも相談に乗ることもある
しかしながら、獣医やトレーナーの資格がないために相談だけに止まっている
「真夏さん、動物の毛で一杯ですよ。なんとかしてください」
カイムの要望で仕方がなく事務所の一画にスペースを陣取り『動物相談所』として、開いた
しかし、それが大きな問題に発展してしまうなんて、思いもよらなかった
のんびりと、寛いでいたとき
男ら、数人が入ってきた
「法務局ですが、動物愛護管理法違反の疑いで家宅捜索いたします」
はぁ?動物愛護管理法で家宅捜索ですか?
これは、何かあると思い
彼等を直視する
「法務局直々のおいでですか、おかしいですね。日本の捜査権があるのは、特別な事がない限り、法務局が動くとは思いません」
カイムが淡々と言うと
私も、付け加え
「しかも、法務局には拳銃所持許可は与えられていないはずではありませんか?」
そのとき、男達が動いた
右肩が下がっていたため
左脇に重い物があると悟っていた私は、近くにいたヤツの顔に上段蹴りを入れ、半回転させた後、膝裏を蹴り膝つかせ左脇にあった拳銃を奪い取った。
すぐに首を羽交い締めにし、男を盾にして数人の男達に銃口を向ける
その時、何か違和感を感じた
なん世代先を行くアンドロイドの手にある拳銃
私の脳にある、各種の兵器データと照合し照らし合わせる
(この銃軽い)
片手でスライドを引き薬室にあるたまをみる
その弾を見てから、男を解放した
「まったく、手が込んでるわね」
マガシンを取りカイムに投げる
「空砲ですか、僕たちに何か御用なのですか?看板は渡せませんよ?」
道場破りかよ
そんな、ツッコミをする雰囲気でないのは分かっていたので黙っていた
スライドスイッチを押し台座とスライドをはずし男達に投げつけた
これで、この銃は組み立てない限り使えないし
あわてて組み立てても、正常動作する保障は無くなった
だんまりを続ける男達
「用がないなら、お帰りを」
その言葉に反応し、臨戦体制になり身構える
「有りますわ」
凛とした声に
男達が道を開ける
「突然のご無礼申し訳ございませんわ」
若いだろう17・8のお嬢様が御臨場した
私は、毅然とした態度で丁重に非難した
「無礼も程々にして頂きたい。所長も忙しいのです。御用なら、アポイトメントを取ってから、もう一度お越しくださいませ」
こちらも、警戒しつつモードは『秘書』に切り替えた
「それは、申し訳ございませんわ。気が利かなくて、今日はご挨拶に参ったの。私、綾乃宮財閥グループ『綾乃宮探偵事務所』所長をしております。綾乃宮 美那子と申します。以後、御見知りおきを」
「これは、ご丁寧に。『黒猫探偵事務所』所長の カイム・セルフィです。一応、日本国籍をとっていますので、日本人ですよ?それと、何か御用があれば何時でもどうぞ。失礼な、ご令嬢でも承りますよ」( ̄▽ ̄)
皮肉な言葉で、彼女に返した
唇をかむようにして、「失礼」と言って帰って行ってしまった
これこそ、ことわざ?の「負け犬」っていうやつなのだろうか
と、ふと思ってしまい脳内にある『第5版広辞苑』で調べた
負け犬→けんかに負けて、しっぽをまいて逃げる犬。
比喩的に、勝負に負けてすごすごと引き下がる者。
彼女にピッタシだ、と思ってしまい笑ってしまった
しかし、これが私たちに降りかかる最初の序章に過ぎなかった
とりあえず、建前終了