黒猫探偵事務所誕生?!
ネットで公開してから数日後にお客様第一号が来た
彼は、少し憂鬱らしい
まぁ、依頼主が小学生なから仕方がない
私はモードを、『臨床心理士』にする
彼女、依頼主の女の子と対話して悩みを聞く
余り、思いたくないが、小さい子ほど言いたくない事は、虚偽をして誤魔化す事が多い
彼女もその一人だった
彼女から聞いてはいないが、経過はこうだろう
親に黙って仔猫を飼っていたら、気付いた時には何時もの場所に居なかったと言うことだろう
「わかった、私たちが探してみる。でも、みつからなかっかたら、御免ね」
優しく、彼女と同じ目線まで腰を下ろし話しかける
小さい子に対しては、下から見下ろす様な行為をしてはならない。相手と同等に扱う事が重要なのだ
彼女が頷くと、私に貯金箱を渡してきたが
「それは、成功報酬として受けとるわ。それまで、持ってなさい」
また、頷く
そして、彼女が帰った後
「見込みあるのかい」
カイムが訪ねるが
「探偵業は、小さな事からの積み重ねで大きくなるのよ」
「誰の、言葉?」
「シャーロック・ホームズ」
ニコリ( ̄ー ̄)と笑うわたし
「仮想人物じゃんか」
苦笑するカイムだった
とりあえず、まず行ったところは市役所だった
『見付からなかったら』
と言うのが、いわゆる事故による死骸として処分されている可能性だ
猫などの小動物は基本的に『物』扱いになる
飼い主のいる小動物を殺しても、罪状は『器物損害』になり実刑は零に近い
余程、残酷に殺さないかぎり罰金で済んでしまう
事故ならなおさら、飼い主が分からない場合はそのまま処分される
あまり、期待はしたくないが確認のために訪れた
でも、ここ1ヶ月そのような報告は受けていないらしい
まだ、期待は持てそうだ
仔猫を育てていたと言う付近を捜索する、『捜索は足でするものだ』(元警視庁捜索一課長)
私は、疲れを抑止しつつ、ペットを飼っている家や散歩中の人達に聞き込みをする
ペットにも
最近売り出された『ペット翻訳器』発声される声質で感情を計り表示するもの
わたしのメモリには、その機能に彼等の頭を触れば言葉のように聞ける。
尚且、簡易暗示も施せるため数秒で主従関係になれる『サイキンミテナイ』
散歩中のダックスフンド
「可愛いですね」
「ありがとうございます」
(^ー^)
「最近こちらに、黒い仔猫を見掛けませんでしたか」
「いいえ、みませんね」
「そうですか」
こっちは情報なし
『アンタダレダ』
(私は、貴方の主の補佐よ)『オレヨリエライノカ』
(えぇ、あなたより格は上よ)
『ソウカ、ワカッタ』
小動物は素直でいい
(また、来るから、仔猫にこの臭いがしたら教えて)
彼の脳に臭いイメージを送る
『ワカッタ』
(主に何か言いたいことは?)
『モウスコシアルクノオソクシテホシイ』
(わかったわ、伝える)
『カンシャスル』
彼の頭から手をはなし
「ありがとうございました。あ、それと、歩くスピード遅くした方がいいかもしれません。ダックスフンドは、胴体が長い分歩くスピードも落ちるんです。この子が少し前に行く程度で歩くといいですよ」
驚いた顔をして
「本当ですか!だから、散歩渋ってたのね」
彼の顔をみると肯定という顔をしていた
「みたいですね、それでは」
「はい、また」
結局、十数匹の犬猫を主従関係にしただけで終わってしまった
「何してるんだろう。私は」
事務所に帰るとき、犬の遠吠えが聞こえた
「ワォーン」
しかし、わたしの耳には
『コネコハッケン』
と訳される
近くにいる犬猫を探すと、わたしの方に近寄ってくる野良犬がいた
『ワレアンナイスル』
(感謝するわ)
私は野良についていくと、工事が休止した場所にその子はいた
(貴方が、サナちゃんの仔猫?)
『アナタハ』
弱々しい声にわたしの心が痛む
(彼女に依頼されて来たの)
『ワタシハモウ、ナガクナイワ』
(どうして、そんなこと言うの?触診したけど軽い栄養失調よ?)
『ナンデ、ソンナコトワカルノ』
彼女を抱き地面に座った膝の上に置いた
優しく撫でる
『キモチイイ』
瞼を細めて
「ナ〜」
と鳴いた
私は彼女の記憶を少しだけよんだ
依頼主は、普通の牛乳を飲ませていたようだ
そりゃ、栄養失調になるね、少しだけ脱水症状なのは嘔吐したからね
(大丈夫、元気になるわ)
『アナタハ、ワタシノハハミタイ』
(嬉しいわね、ありがとう、少しだけ、眠りなさい)そう脳に直接心地好いイメージを送ると直ぐに彼女は寝てしまった
起こさないよう静かに立ち上がり、道案内をしてくるたペチに
(褒美をあげるから、3日後ここに来なさい。時間は5時の知らせに)
『アリガタキシアワセ』
このペチ、かなり紳士に育てられたみたい
その後、帰りに薬局で粉ミルクや栄養剤を買い事務所に帰った後、彼女に飲ませた。栄養剤はカプセル型の物で1/8にしたのを飲ませている
これで数日後には元気になるだろう
「その子元気ないね」
ツンツンと肉きゅうをつっつくカイムを、止めさせ
「彼女起きちゃうでしょ」
「気持ちいいんですよ」
止めさせてもつつく彼に諦めながら
「ナッ」
と鳴いた彼女
『カマイません』
(あら、起きてたの?)
『足の裏は敏感なんです』私は、なにか違和感を感じた
(貴方、言葉が)
『あなた様がイメージを送って来ていたのヲ記憶したんです。少しだけ、変二なりますけど』
(凄いよ!これは、予期しない事態だわ)
この子、異端の天才なのかも
その後、飼えないと知っていたが依頼主に連絡をし、一応事情を聞いた後、彼女(仔猫)は、わたしが飼う事になった
依頼主には何時でも遊びに来ていいと伝えたら
おお喜びして帰っていったもちろん、報酬も貰った
報酬金額:941円
新しい貯金箱をあげたので赤字になってしまったけど
そして、小動物を駆使する探偵兼ボディガードが、ここに誕生した
私は、三毛猫より黒猫派です。
郵パックより、クロネコヤマトを使う派です(笑)