嵐の訪れは突然に
入学式から一ヶ月が経った。
オレはクラスに馴染んではいなかった。
今は昼休み。弁当を食べる時間。
校門前の売店で買う360円のカツ丼だが、結構うまい。
話す人は限られていた。
一ヶ月前に怒られた4人。
それ以外はオレを怖がっているのか、関わりたくないとでも思ってるのか。
誰も話しかけてくる気配はない。
「どうしたー?もりさん。暗い顔して。」
4人の内の1人、大島が話しかけてきた。呼称はいつの間にか「もりさん」に定着していた。
「なんでもねえよ。それと、暗いのは元からだ。」
「いつもより暗いんだよー。」
「お前にはオレの顔の明暗が分かるのか?」
大森は気だるそうに聞く。
「うん。なんとなく。」
なら、こちらからも言わせてもらうけど。と言わんばかりに大森は
「・・・・・。お前、最近元気ないな。」
と言った。
「い、いーや!そんな事はない!アタイはいつでも元気100倍!」
そんな事を言いながら、目を斜め右下、左下とキョロキョロさせている。
「(こいつは嘘をつくのが本当に下手だな・・・。)」
長年の付き合いからか、それとも単に大島の嘘が下手なだけか。大森は目を細めて見つめる。
「それ、私も思ってた。」
オレと話せる4人の1人、金成も話に加わってきた。
「なんかあったのか?」
三浦はいつになく真面目に尋ねる。
「なんでもない!あ。あたし飲み物買ってくるね。」
大島は席を外した。
三浦と金成が会議を始める。
議題内容は[大島園花の人間関係]。