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いつか、呼べる名  作者: 塩治房智
第一幕 第一部
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第六・五話 伝言

 ルカ・アルフェリオへ


 手紙なんてお前に書くのは、初めてだな。

 これは、全員宛に書いてることなんだが。


 いなくなったやつがいたら、帰ってきた時に渡してくれ。

 でも、もしそいつが死んでたら──その手紙は、もういらねえ。焼いてくれ。

 

 

 こんなもの、柄にもねえし、本当は送るつもりはなかったんだが、俺が、死ぬって可能性もあるから、書き起こす。


 まずは、この手紙を読んでるってことは、間違いなく、何か起きたってことだな。

 俺は、なにかあるって予感しながらも、父としてなのか、兵士としてなのか、お前らのことを、蒼羽の巣に残しちまった。

 すまねえ。

 俺の力だけでは、たぶん解決するのは難しい。そう思っちまった。頼りにしちまった。

 謝っても許されねえことだと、思う。

 けど、俺はお前らの力を、勝手ながら信じさせてもらった。

 それが、親ってもん、なのかはわからねえが、そういうことだ。

 

 なにを書いてるか、自分でもわからなくなっちまった。

 

 でもな、お前は、優しい子だ。

 だから、自分を後回しにする。

 それは悪いことじゃねえ。

 けどな、それは、最善じゃねえ。

 自分を守ってこそ、他人を守れる。

 覚えときやがれ。


 お前が初めて来たとき、言ったことを覚えているか?


 俺たちがお前と家族になった日の話だ。

 結局お前は、俺のことを親父とは呼ばなかった。


 けどな、俺はお前のことを息子だと思っている。


 これはコーネルへの手紙にも書いたことだが、お前には、もう一つ家族がいる。

 俺たちだ。忘れるんじゃねえぞ。


 お前は、自分と、家族を守れる男になれる。


 それがお前だ。

 そう、信じている。

 

 それじゃあ、またな。


                        アズル・プリュミノー

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