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さびれたレンタル道具屋の転生おっさん、道具の使い方を教えまくる。~客のS級冒険者が俺を歴戦の英雄と勘違いして弟子入りを求めてくるんだが~  作者: 遥風 かずら
第三章 レンタル道具を指導するおっさん

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第31話 アルゾス共和国の使者 2

「アクセルさま!」

「ちょっと、アクセル。なんかいきなり誰かが来てアライアンス冒険者たちを一掃しちゃってたんだけど、誰なの?」


 アルゾスの使者の男がシャンテたちがいるところに向かってからすぐのこと、それまで冒険者を相手にしていたシャンテとクレアが、表情変えて俺のところに戻ってきた。


 無理もない話だ。突如として現れた男が、俺たちの代わりにいとも簡単に敵勢力を撃退しているのだからな。


 俺としては道具を借りていた冒険者の相手さえ済めば、他の冒険者パーティーの相手などする義理はないのだが。


「アクセル。仲間がここに戻ってきたし、さっさとアルゾス共和国に行こうぜ?」


 アルマはそう言ってるが。


「お前の仲間、いや、共和国の使者なんだろ? 置いて行くのか?」

「放っておいていいんだよ。戦士は戦士でも、あいつは狂戦士だから暴れさせとけばいいんだ」


 狂戦士か、話に聞いたことがあるが実在していたとはな。


 狂戦士はともかく、アルゾスにとっては使者の男よりも俺への頼みの方が重要という意味ってことだろう多分。


「そういうことなら案内してくれ。それが聖女の願いなんだろ?」

「そうこなくっちゃ! じゃあ行こうぜ!」


 砦のボスや砦の冒険者たちは使者の男に加勢して動いているようで、俺の近くには戻ってきていない。


 シャンテたちもそれを気にしているようだが。


「砦のボスたちも放置して行くのか?」

「アクセルの義理は果たしたろ? それに、あんただって目的は自分の道具で迷惑をかけている者に仕置きをするだけのはず。違うか?」


 などと、聖女らしからぬ言葉遣いで俺を諭してくるが、返す言葉がない。


 俺としてもレンタル道具を使っていた冒険者にはレクチャーをしてやったし、この場に残る義理はすでになくなった。


 それだけに気にする必要はないとはいえ。


 なるべく顔に出さないようにしていたが、戦線に向けて様子を窺っているとアルマは俺に向かって笑顔を見せる。


「案外義理堅いおっさんなんだね、あんた。本気で惚れそうになりそうだよ」

「からかうなよ」

「ふふ、それとも聖女としてお話した方がよろしいかしら?」

「……共和国に案内を頼む。それと、からかうのは大概にな」


 してやったりといった表情を見せるアルマは、シャンテとクレアを近くに歩かせながら、先へと歩みを始める。


 俺はミリアをおんぶして、アルマたちの後ろをついて歩くことにした。


「あれれ、ここから移動なのにぁ?」

「聖女の国に移動だ。ミリアは眠ってていいぞ。しばらく危険はないだろうしな」

「そうにぁの?」

「安心していい」


 賢者として活躍させずにいるミリアをおんぶしていると、ミリアはすぐに寝息を立てていた。


 聖女の国の使者に戦線を丸投げすることになったが、砦のボスや他の冒険者もいる。俺のレクチャーも終えた以上、行けるうちに聖女の国に向かうのが正しいはずだ。


 先頭を歩くアルマたちに追いつくと、シャンテが俺に話しかけてくる。


「アクセルさま。その、レンタル道具のレクチャーを受けた冒険者は改心されましたか?」

「改心?」

「ええ。アクセルさまのお店から借りて行った冒険者の多くは、ロクな説明も聞かずに借りて行った者たちです。その者たちが店主であるアクセルさまから直接指導を受けているのですから、心を入れ替え反省しなければおかしな話です」


 レクチャーはしてるが、改心したかどうかは何とも言えないんだがな。


 レンタル道具の正しい扱い方をしてくれるだけで俺は満足するわけだし、強制的に返してもらおうとも思っていない。


 それなのに、レクチャーし終わった途端に道具を放り出して逃げていく奴らばかりだから、改心したかどうかなんて分かるはずもないのが現実だ。


「とぼけっぷりがアクセルらしいけれど、あなたとしては道具をちゃんと使ってくれたらそれで満足するんでしょ?」


 シャンテと違いクレアは冷静に俺のことを分かっているようだが。


「そうなるな。俺は改心してもらうつもりではなく、きちんと使ってもらいたいだけだ。それがこの旅の目的だからな」

「――だって。貴女もアクセルの弟子なら、師匠の考えについていくようじゃないとこの先厳しいと思うんだけど?」


 クレアは俺の昔を知ってる王女だからな。客観的に俺のことを見れるというか、これでシャンテの思い込みも少しは解消されればいいのだが。


「……なるほど。アクセルさまのお考えは改心ではなく、あくまで教えにこだわるというのですね! そのお考えでしたら、わたくしもならうしかありません!」


 ……シャンテは俺を偉大な人間だと勘違いしているようだが、思い込みの激しいダークエルフならその考えになるのも無理はない。


 考えを改めさせる資格もないし、彼女にはそう思わせた方がよさそうだ。


「アクセル。ここから先は過酷な環境だぜ! 出せるんなら、耐氷装備でも何でもいいから出して!」


 耐氷?


 まさかアルゾス共和国は氷河の先にあるんじゃないだろうな?

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