第4話「敗者と妹。」
つい勢いであんなことを言ってしまったがどうしたもんか…。クソッ…。バンドなんてもう見たくもねぇしやりたくもねぇってのによ…。
「おにいどうしたの?そんな苦しそうな顔して。ヨシヨシしてあげよっか?」
「いらんわ!全く…そんなこと他の男の子にもしてるんだろ?…本当にお前はもう少し警戒心ってもんをだな…。」
「おにい以外にはこんなこと言わないよ…?」
「グハッ!!」
う、上目遣いでいってくるとは…!!さすが我が妹、可愛すぎでは?!?やっぱりうちの妹世界一可愛いかもしれん。何この可愛すぎる生物。ほんとに同じ哺乳類か!?
「ところでおにい、さっきはなんであんなに苦い顔してたの?」
「ん?あぁ、実はな…」
その後俺は妹にさっき起こった出来事を話した。ちなみに妹の紫音と俺は血が繋がっていない。というかそもそも両親とも血はつながってないし。
「おにい本気で言ってるの!?前にあんなことがあったのに!?しかも女!?私は絶対認めないから!その女絶対なにか裏があるに違いないよ!私の勘がそう告げてる!」
「ちょっと落ち着けって…俺もまだ入ると決めたわけじゃねぇよ。」
そうだ。俺はバンドになんか入りたくない。ただ…初めて自分の歌詞を褒められて…少し…嬉しかったんだ。単純っていわれるかもしれねぇが…過去にあんなことがあった俺はそんな言葉を聞くとどうしても…嬉しくなっちまう。我ながら単純だなぁと思うぜ。
「とにかく!私は絶対反対!!!」
「そう怒るなよ紫音…。ほら、今日はお前の好きなもんでも作ってやっからさ。」
「…………オムライスがいい………。ケチャップでハートもかいてね………?」
「わかったわかった……。そうと決まれば早く帰って買い出し行くぞ!」
「うん!!」
全く……。うちの妹は昔から単純だなぁ……。