第2話「今日も敗者は端に座る。」
高校生になって早1ヶ月がたち、他のクラスメイトたちはクラスに馴染み始め、仲良しグループができてきているなか、俺は相変わらず端に座り、オタク友達とソシャゲに勤しんでいる。
「もうすぐ周年イベくるそうやし今のうちに石貯めとかなやなぁ。」
「なんてたって今年の周年イベは俺の最推しの雪乃ちゃんがピックアップらしいからな!!!今のうちに数集めとかねぇとっ…!!!!」
俺達が今やっているゲームは「グルグル!ギャルズモンスターズっ!」、通称「ギャルモン」である。このゲームは様々な美少女化された妖怪やモンスターたちを集め、彼女たちと親密度を高めていくゲームである。ちなみに雪乃というのは俺の最推しキャラで、白髪の雪女である。
「この間のサマーフェスではとんでもねぇ目にあったからな……。今回は天井までは課金したくないね…。」
「ほんまそやなぁ。根音くんは前回十万円も課金したのに出ぇへんかったもんなぁ。」
「サマーフェスのことを思い出させないでくれ…トラウマなんだよっ…!!」
いま会話している茶髪で関西弁のこいつは俺のオタ友の一人である稲荷犬人。こいつはかなり犬っぽい見た目をしているが親からの遺伝らしい。こいつとも中等部からの腐れ縁だが、こいつと久遠は面識はほぼ無い。久遠はまだしも稲荷はかなりの人見知りだからな……。喋れさえすればきがあうとおもうんだけどなぁ…。そんなことを思っていると、二人の生徒が同時にドアを開けた。その瞬間、クラスのすべての生徒がドアに振り返った。雪のような綺麗な白い髪を腰まで伸ばし、人形とも思えるような完璧な顔。誰もが憧れるようなその女性は、いつも通り俺の前の席に座った。彼女の名は八雲輝空。うちの学年一の美人らしい。ただ…かなり性格に難があるらしい。そしてもう一人は…青空の様に澄んだ青色の髪を肩の辺りまでのばした、女性のようの中性的な顔立ちをした、うちの王子様こと俺の親友、望月久遠。
「おはよう根音。今日も相変わらずだるそうな顔してるね〜。僕がキスして起こしてあげようか?」
「野郎にキスされてもなんも嬉しくないわ!キスされるなら雪乃ちゃんみたいな可愛い子にしてもらいたいなぁ…」
「雪乃ちゃんは二次元じゃないか……。でも……ふ〜ん……。やっぱりそういうのが好きなんだ……。」
こいつは朝から何を言ってやがるんだ……。俺がモテないからってからかいやがって……!!でもこいつ女の子だったら結構俺の好みどストライクなんだよなぁ、………。
「………………………。」
…………。やっぱり前から後ろから視線を感じる……。気の所為じゃ……ない……よな…?そう思い後ろを振り返ってみたが、こっちを見ている人は誰もいなかった。
「やっぱり気の所為かね……。」
気の所為だと思うことにした。