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第三十話.銃は便利ですよね

大蛇を仕留めた帰り道、ルシアは気になったことを聞いてみることにした。例の拳銃のことだ。


「びっくりですよ、まさか拳銃が出てくるなんて」

「ふふん」


なぜか得意げな表情を見せるマヤ。どうやら褒められていると思っているようだ。


「冒険者の人たちって、剣とか魔法のイメージでした。拳銃も使われるんですね」

「うーん」

「まぁ銃はなぁ、あんまり流行ってはないな。マヤはレアケースだと思うぞ。あんまり使わない」


鉄砲などの武器を使っているのは、帝都でいうと正規軍や狩人くらいのものだ。一般人はもとより、冒険者や旅人なんかはあまり取り扱っているイメージはない。


「なぜ流行ってないんでしょうか。警官は銃の装備が多いですよね。それに軍隊では鉄砲を使うと聞きましたけど」

「うん鉄砲のいいところは、まず誰が使っても威力を発揮することだな。剣なんかよりもずっと短い練習時間で扱える。それに、飛び道具だから遠くから狙い撃ちできるっていうのも利点だよな」

「はい」

「欠点は?」

「弾がいるとかでしょうか」

「そうだな。それに扱いやすいっていうのは戦う時の話で、それ以外の扱いは難しいんだ。水の中や土の中、いろんなところを旅する冒険者稼業ではな。錆びさせてもいけないし、メンテナンスしていないと肝心なところで弾が発射できないってこともある。もちろん、銃弾がどこでも手に入るわけじゃないっていうのもある」


なるほど。ちゃんと使うには知識とメンテナンスが必要なのだ。


「それに、鉄砲っていうのは人間を殺すための道具だろ。魔物なんかには効き目が薄いものもいる」


確かに巨大蛇やゴーレムなんかを倒そうと思ったら何発撃てばいいのかわからない。リュックにいっぱい詰めても足りなさそうだ。


「じゃあなぜマヤさんは拳銃を?」

「たまは魔法でふやせるからね」

「ああ」


銃弾を直接魔法で増やすのか。ずーっと無制限に撃てるとなると、まさに数の暴力だ。


「それに回転式、リボルバーは構造がシンプルだから壊れにくいよな。引き金をひけば弾がでる。雑に扱うマヤにはピッタリだぜ」

「ちゃんとていれしてるよ」


自分の武器に、案外愛着を持っているマヤなのであった。

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