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1回目の人生【修正】

僕の名前は、柳亮一(やなぎりょういち)年齢は、29歳だ。


僕には、今婚約中の彼女がいる。

名前は、美坂愛理(みさかあいり)

同い年の29歳だ。


交際期間は、8年。

なかなか言い出せなかったプロポーズの言葉をやっと伝えられたのは昨年末だった。

愛理は、すごく喜んでくれて……。

僕も幸せで……。

このまま、順調に日々が続いて行くんだろうなって漠然と思っていた。

なのに……。


「柳、健康診断の結果の事だけど……」

「はい」

「再検査を受けるように連絡がきていましたよね?明日には、休みをとって検査に行きなさい」

「わかりました」


健康診断で、【要再検査】がやってきていたけれど……。

僕は、忙しくて【2ヶ月】ほど無視をしていた。

それを上司から注意されてしまったのだ。

別に行かなくてもいいんだけど……。

僕は、仕方なく明日の休みをとる。

そして、仕方なく病院に行った。


「……癌ですね」

「はい?」

「ですから、全身癌です」


僕は、お医者さんの言葉に固まっていた。


「もう少し早ければよかったのですが、今の柳さんに出来る治療はありません」

「そうですか……」

「どうされますか?入院して……」

「出来る治療がないのなら、僕はその日まで僕らしく過ごしたいです。先生、僕はあとどれくらい生きられますか?」

「そうですね。もって3か月でしょうか……」


先生の言葉に「わかりました」と明るく答えて僕は診察室を出た。

生きていくうえで、【命】にタイムリミットをつけられるとは思っていなくて驚いた。

まさか【余命】ってものをきられるとは……。

告げられると、もっと大袈裟に動揺するものだと思っていた。

だけど、不思議と僕は冷静で……。

会計を終えて、家に帰る道を歩いてく。

最近は、酷く体力がなくなったのを感じて車を使用する頻度が増えていた。

だけど、今日は久々に歩いている。

息切れや体力が減ったのは、老化現象ではなく【癌】のせいだとわかった。


「こんな所に花屋さんが出来たんだ」


ずっと空き店舗だった家の近くの路地に……。

【エンジェル】という花屋が出来ていた。

別に記念日でもないし、やましい事だってしていない。

なのに、僕は導かれるように店内に入った。


「いらっしゃいませ」

「あの、花束を作ってもらいたいんですが……」

「どんなお色味がよろしいですか?」

「とにかく、カラフルにしてください。色とりどりの花を入れてください。それで、イメージは明るく元気になれる感じで」

「かしこまりました」


接客してくれる男の店員さんは、綺麗なブルーの瞳をしている。

もう一人は、真っ白な髪が腰まである女の人。

まるで、海外にでも来たのではないかと思わせてくれる店内の雰囲気と店員さん。

開け放たれた窓から、生暖かい風が吹く。

もうすぐ、秋がやってくる。


【もって、3か月……】

僕の命は、年内で終わるのか……。

二人の記念日には、生きれている。

どうか、愛理が幸せに笑ってくれればいい。


「お待たせしました」

「あっ、ありがとうございます」


両腕から零れそうな程、大きな花束を差し出されるとは思わなかった。


「あっ、いくらですか。えっと、三万しかないから……。カード使えないんですね。足りるかな?すぐ、おろしてきます」

「いえいえ。お代は結構ですよ」

「えっ?それは、駄目ですよ。ちゃんと払わないと」

「いえいえ。またいつか払っていただければ結構ですよ。あっ、この花束に入っている青い花はブルーローズって言うんです」

「ブルーローズ?」

「はい。花言葉は、【奇跡】【夢叶う】お客さんにも奇跡が訪れるように12本入れておきました。多すぎましたか?」

「いえ。すごく綺麗です」

「ですよね。私も大好きなんですよ。この花が……」

「必ず、お金を払いにきますから」

「いつかで大丈夫ですよ」


僕は、頭を深々と下げて店を出た。

【奇跡……】そんなものは起きるはずがない。

【もって、三ヶ月】なんだから……。


「ただいまーー」

「お帰りなさい。うわ、凄い花束」

「通りすがりに花屋さんが出てきて、思わず入っちゃって」

「えーー。凄い。だけど、こんな花束って高いんでしょ?お金足りた?」

「あっ、いや。お代はいらないって」

「こんなに凄い花束なのに?」

「うん」

「凄いね。私も、今度寄ってみよう」


愛理は、嬉しそうに花を飾ってる。

俺は、愛理の嬉しそうな笑顔を見ていた。

余命を告げられた日に花束を持って帰るやつなんて世の中に俺ぐらいだよな。


でも、何か愛理に渡したかったんだ。

色とりどりの花束を……。




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