ボニーの覚悟
結局ナジーラと連れ立って宿まで行った。というかここ……宿じゃなくて別荘? すっごく豪華で落ち着かないんだけどぉぉ!
淡々と室内に立ち入り、流れるようにナジーラをお風呂に投げ込む。そ、そりゃあ、そのうち結婚するんだから一緒に入ったっていいんだけど……あいつだって温もりが欲しいとか言ってたし……で、でもまだ、早いよね!?
だから私は服を脱いでない……恥ずかしいし……こんな細い体で……
「おい、ひどいではないか。もっと優しく扱ってくれてもいいだろう? さっきまで死にかけていたんだぞ?」
「し、知らないよぉ! ナジーラがは、破廉恥なこと言うから……」
「死にかけていた男に生の温もりをくれてもいいだろう? 我らは将来を契るのだから。」
せ、性のぬくもり!? は、破廉恥よ! ナジーラは破廉恥なんだから! や、やっぱり王族って早々とそっちの教育も受けてるものなのかしら……えっちはメイドさんとかに……
「わ、私出てるから! 外で待ってるから!」
で、出てきちゃった……あいつ震えてたのに……
で、でも、さっきは放っておけないって思ったのにあいつが破廉恥なこと言うから!
あっ! で、でも、お風呂で溺れたら? ど、どうしよう! 今ここって私達しかいないんだよね!? さっきの今だし……もしかしたらお風呂で震えてるかも……
あぁあぁ……ど、どうしたらいいのぉ!? わ、私が助けるしか……
よ、よし……
ふぅーー……
「ん? どうしたボニー? やはり温めてくれる気になったか。」
「ぴっ、ぴぎゃあーーぅーー! ナジーラの破廉恥ナジーラぁぁーー!」
何よあいつ元気じゃなぁーーい! 余裕って顔してさぁぁーー! 何よ何よぉーー! 私の温もりなんていらないんじゃない!
「待て! 待ってくれ……」
痛っ、そんな強く握らなくても……
「ちょ、ちょっとナジーラ、痛いよ……」
「あ、ああ悪い……だが、待ってくれ。行かないでほしいんだ。せめて今だけは……」
というかナジーラ! ぴっ、ぴぎゃあーー! はは、は、裸でお風呂から出てきてるぅーー! み、見てないもん! 私何も見てないんだからっ!
「ちょっ、わか、分かったからナジーラ! て、てててて、手を、手をはな、してぇーー!」
「おお、すまぬ。が、離す気はない。お前がこちらに来てくれるまでは、な?」
そ、そんな、ますます力強いなってない!? 私の手首って細いからそんなに握られると恥ずかしいんだけどぉぉぉーー! んもぉーー!
「わ、分かったから! 行くよ! 行くから! で、でも服は脱がないんだからね!」
「お前という女は……マナーという言葉を知らぬのか……」
「しっ、知ってるもん! 古い言葉で礼儀作法のことだもん! だ、だからって恥ずかしいものは恥ずかしいのっ! だから絶対脱がないぃいい! で、でもナジーラが震えてるのは分かるから……あ、温めてあげてもいい気もするから、その、あれを、その、ここの、そのまま、だめなことないけど……」
ナジーラの手……力強いのは分かる……痛いほど握ってるんだもん。だけど……だから、それだけに分かってしまうよ……本当に怖かったんだね……今も震えが止まらないほどに……
あ、服のままお風呂に入るのって……
暑い日に服を着たまま海で泳ぐのと似てる……
海と違うのは、もっと温かいし、命の危険がないことかな?
「はは、ボニーよ。お前はマナーを何と心得ているのだ……」
「う、うるさいし! 文句があるなら出るし!」
「ふふ、文句などあるはずがなかろう? お前のその気持ち……確かに受け止めた。」
うひゃいっ!? なっ、ナジーラが!
わ、私に覆い被さるように抱きついてきたんだけどおぉおぉ!?
「ちょっ、ちょちょちょちょっ! なじっ、ナジーラぁ!? ななななっ、何をしてるのかなななななっ!?」
「悪い……少し黙っててくれ……」
「な、ナジーラ……」
やけに弱々しい声。なのに、私を抱きしめるその腕は力強い……なぜ?




