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第109話 謎解き2

マナ・グラーシアの街道を走る馬車の中。プエルトの商館からサグラドの別荘へ戻る途上である。同乗したエリアスの部下は、紙に書かれた見慣れぬ文字に首を傾げた。


車内では、4人の貴族が額をつきあわせて何やら推理をしている。




【秋コン出場者】


金森百合

佐伯錬

杏・シェイラ・グレイス

熊田光司(くまだこうじ)

小林陽菜(こばやしひな)

桃井さな

田代真人(たしろまひと)

守谷礼人

堀川亜美(ほりかわあみ)

山本頼(やまもとらい)




「とりあえず出場者全員…覚えてるもんだな。」


スヴェンが零した。



元音大生二人によれば、犯人は秋コン出場者の可能性が高いらしい。秋コンとは、留学したくても経済的に難しい学生への太っ腹な救済策。優勝者は留学にかかる学費援助が受けられるのだ。だが、天才ピアニスト金森百合が出るとなれば、大半の出場者は負けが確定したようなもの。百合さえ来なければ、と思っていた人間がいても不思議ではない。


「杏と陽菜、あと田代さんは犯人じゃねえ。県外の実家から家族と車で来てたろ。」


アレクサンダーが三人の名前を消した。


「ああ、それなら桃井と山本も外せる。私鉄の上り列車で来てるはずだから。」


つまり、百合たちとは反対方向から会場へ向かったということ。犯行は不可能だ。なんだかんだ言って細かいことを覚えている二人である。



◆◆◆



次元も時間軸も違う異世界―『日本』の、松風家応接室。そのテーブルにも容疑者リストがある。




【容疑者】


如月真夜

皆藤晄

佐伯錬

水島結弦

江上りさ

生田祐貴

熊田光司

守谷礼人

堀川亜美



少年が皆藤と佐伯の次に和央が名前を消したのは、如月真夜。彼を最重要容疑者と考えていた甲斐は、目を丸くした。なにせ、彼は事件当日被害者と接触し、彼女に押しつけられた鞄を漁っていた。どうしたらそういう状況になるかわからないけど。


「事件当日のM市糠町三丁目のドライブスルーの監視カメラ、見てみなよ。真夜はシロ。」


…これもハッキングしたのか。こんな年端もいかない少年に破られるとは、警備システムのセキュリティはいったいどうなっているのだろう。へっぽこ刑事は、少年が実は少女で東大とも肩を並べる日本屈指の名門大生とは知らない。


「でも、どうしてそうピンポイントにわかったの?」


少年に尋ねたのは、大人びた華やかな容姿の娘である。右目の泣き黒子が艶っぽい。


「ファンだし。ちょっとフィールドワークしたんだ。真夜のマンション行って、管理人さんから住人がよく使うタクシー会社教えてもらってさ。音大までのルート走ってもらっただけ。後は真夜のブログの情報と照らし合わせて何か所か当たりをつけた。」


さらっと簡単なことのように言う少年。


「あと、この江上りさって子も外す。階段から突き落とされて脳振盪(のうしんとう)起こした子が、即復活して事件現場へ行くとか、ありえないしょ。」


ハイ、容疑者5人。

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