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ヘタレの努力家  作者: りばーしゃ
第2章 王都〜ミーション〜
86/213

思惑は絡み合う

次回には居酒屋出れるかなー


ぬふふふふー


そしたらまた新キャラ出るぞー


ぬふふふふー


物語のキーパーソン出るぞー


ぬふふふふー




「──いやぁ、この店は素晴らしいな!本当に申し訳ない!!」




「本当よ。あの異世界人さんが居てくれた事に感謝しなさいよ」




 がしがしと頭を掻きながらゼーベックが笑うと、猫の獣人の店員がデザートのチョコレートミルクレープをテーブルへと置いていく。


 そのデザートを早速一口食べたダグはその至福の一時に酔いしれていた。




「うめぇ、うめなぁコレ」




「ほう。これは確かに美味い。…泣くなダグ。美味いのは分かったから」




「でもよぉ…こんな騒ぎ起こして普通こんなうめもの食えねぇよぉ……」




「確かにな……あの異世界人に感謝すべきか」




 デザートの美味さ故か、(ども)る事もなく、流暢(りゅうちょう)に言葉を漏らしながら涙を流すダグを(たしな)めるロスだが、全くその通りなので反論出来なかった。


 普通の店ならば即刻摘み出され、出禁が定席だろう。


 だが生憎──この店は普通では無い。


 ここは〝全種族を歓迎〟している居酒屋。


 普通ではあり得ない事を想定した実力を、店長たるバルム含む数名の店員が会得している。


 彼らが他の店に行ったのならば、十中八九出禁、そしてギルド員に連行、大会への出場権剥奪との三連撃に打ちのめされていたであろう。


 噂で美味いと聞いてこの店に来た事、カナタ達がこの店にいた事という偶然の産物により、彼等三人は事なきを得たのだ。




「しっかし情報収集ついでに大会メンバー募集もたぁね。残念だけど個々にいるほぼ全員が空いてねぇぜ?」




「こればっかりはどうしようもねぇなぁ。ここにいる連中は大体コンビで組んでっから空いてねぇのよ。コイツとおれっちみたいにな」




 既にデザートを食べ終わった熊の獣人が白いミルクを口につけて一息を着くと、補足するように斥候のような男性がお互いを指先で交互に指差した。




「そういやぁここにいる連中で大会に出るのはあそこで毛玉の魔物に餌付けしてる女二人と子供三人にぐいぐいしてる女二人がパーティーで出て──」




「異世界人にずいずいと押し入ってる獣人三人組が出るんだったかのぉ…んぐっ、うぃ〜」




 盾男とお洒落髭ドワーフの酒飲み二人がそれぞれの方を向いて酒を煽る。


 にゅんやにゅんやと魔物が女性二人が毛並みを(もてあそ)ぶ声に、によによとだらしない顔で双子と鬼人族の少年に話す女性二人と、カナタと呼ばれた異世界人の戸惑う声が聞こえて来る。




「アンタらは出たりしないのか?」




「出ませんね。いや、〝出れない〟と言った方が正しい」




「賞金には興味はありますが今回の大会は中々の猛者が来るようですから私どもの主人は観戦するようです。ま、それの警護ですね」




「なんとなく身なりで思ったが〝主人〟と来たかー」




 ロスの質問に答えるスーツ姿のエルフとカモシカの獣人がそれに応えた。


 どうやらこの大会には身分の高い人達もくる盛大な娯楽となっているようだ。




「マジかー……となると…なぁダグ。あの異世界人〝誘っちまわねぇか〟?」




「…んん〜どうだべかな。確かに身体系には見えるども大会に出てくれるかは分からんと思う……」




 んー、とフォークをミルクレープにぷすりと刺してダグはそう答えた。




「誘うなら早く行った方が良いんじゃねぇかゼーベック。あの獣人三人組に取られるかも分からんぞ。大会に出場出来る最大人数は四人でうちらと同じだからな」




「んあー!それは困る!おら早くそのデザートかっこめお前ら!!」




「そ、そんなゆっくり食わせて……」




 二人を急かすゼーベックだが、小さく切り崩したミルクレープを口に運んでロスがジト目で口を開く。




「いや既に食い終わったお前がまず行けよ」




「行ってきま」








「さて、それではそろそろ儂は失礼するよ店長殿。素晴らしい料理をありがとう」




「あらそう?またいつでもどうぞ」




 デザートを食べ終わり、その後ろで纏められた長い白髪を隠すように真っ黒な中折れ帽を被って老人はそう店長であるバルムに言った。




「おじさんもう行くの?」




 双子が鼬鼠の獣人と青肌銀髪の目隠れ女性を引き付けている隙に、老人が動いた事に気付いたルギが声をかけた。




「うむ。美味しいデザートを食べていたらすっかり約束の時間が迫って来ているのでな。また会おう少年、連れにもよろしくな」




「うん、手助けしてくれてありがとうおじさん」




「一つ──助言をしてやろう少年。〝束ねて纏え、非力と思うな〟。さらばだ〝力を継ぎし少年〟よ」




 そう言い残した老人の軽快なブーツの音が響き、店を後にした事を告げるドアに付いた鈴の音がルギの耳へと届いた。




「…?」




「ねぇねぇ。ぼく名前は?どうしてここに?……キョトン顔かわい……」




「ルギ。そこの兄ちゃんに着いて来た」




「「はぅ〜〜!」」




 自分の答えにくねっくねと悶える二人にルギは困惑しながら言葉を漏らした。




「なんなんだろこの人達……あのおじさん…何者なんだろう」




 やたらと頭に残るその老人の言葉の真意は、まだ分からない。







「よし、落ち着けアンタら。そのギラッギラした人をとりあえず落ち着かせてくれ」




「お前強いだろ。戦わないか」




「連れがすまんの〜」




「笑って無いでお前も静めろばかもん!!」



 ふんすふんすと鼻息荒くしてずいずいと押し寄せてくる猿の獣人とそれをへらへらりと笑う狐の獣人。


 そしてその猿の獣人を羽交い締めで抑えつけ、狐の獣人を(しか)る狸の獣人。




 何この戦闘狂。誰か助けてくれ。

シラタマ


「にゅ〜んーふにゅっふ〜」 




ルギ


「あの、この人達は一体…いつも通り?…えぇ……」




カナタ


「へるぷシラタマ、ルギくん──ダメだ絡まれてやがる」

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