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ヘタレの努力家  作者: りばーしゃ
第2章 王都〜ミーション〜
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甘美な一品

今回のはTwitterにて一日だけだけど募集したアンケートの結果通りのスイーツテロ枠のみでござい。


チョコならケーキワンホール行けるほどチョコ好きです。


普通の生クリームはそんなに好きではない。




「はいどうぞ。チョコレートミルクレープよ」




「おっほー♪」




 かたん、と陶器製の上品な白色をした四角い皿の軽快な音が鳴ると、ふわりと甘く、香ばしいチョコの香りが鼻腔へと運ばれる。


 断面には濃いブラウンとミルクの混じったような優しいブラウンのグラデーション。


 生クリームなら白だがこれは恐らくチョコを混ぜた生チョコだろう。


 表面には粉砂糖とココアが交互にかかり、ストライプのような色合いを見せ、その三角に切り分けられたであろう中心には、きらきらとしたオシャレな金箔が僅かに乗せられている。


 チョコ好きな俺には堪らない組み合わせ。


 言わずもがなスイーツ好きにも堪らない一品であろう。




「はい、コレ。良かったらかけて食べてみてちょうだい」




「ん?これは?」




 コト、とバルちゃんによって置かれる小さな小さなガラスの小瓶。


 中には綺麗な琥珀色に輝く液体が入っていた。


 メープルシロップかな?いやそれはあまあまで合わないような……




「お酒よお酒。ブランデーよぉ?あ、ルギくんは駄目よ?」




「それは神」




 なんとまぁブランデーか。チョコにお酒はとても合う。


 なるほど、あののんべぇ達や男共も喜んでいたのはそう言う事か。


 しかもお酒の染み渡るミルクレープと来た。


 これはさぞかしブランデーが染み渡って美味いだろう。


 ルギくんがぶー垂れてるがダメだぞあげないぞ。


 ちゃんとおじいちゃんに鬼人族の成人の年齢聞いてるからな。




「それではまず一口……んん〜」




 フォークで一口分取り分け、口へと運ぶ。


 そして広がる甘美なチョコの味わい、まろやかな生クリームとしっとりとした生地の舌触り。


 チョコという繊細な菓子が口の中で解け、生クリームのせせらぎが流れ、優しいしっとりとした生地が舌という少年を撫でる──そんなイメージが脳内へと流れた。




「うめー!」




「ふにゅー♪」




「うまーい!」




「ふふ、気に入って貰えて何よりよ」




 ひょんこひょんこと小さく弾むシラタマ、ぺかっとした満面の笑みでフォークを持つ右腕を天へ突き出すルギくん。


 シラタマはもとい、先程までぶー垂れてたルギくんも美味しいチョコレートミルクレープの味に笑みが溢れたようだ。


 同じく俺もこの甘美な味わいに笑顔にならざるを得ない。


 流石バルちゃん。お菓子の腕も一流と言う事か。




「それでは…こいつをかけて一口…!」




「あ、兄ちゃんずるい」




 きゅぽっと軽快な音を立てて小瓶に入ったブランデーをミルクレープへとかけていく。


 小瓶をあけ、てろりと艶やかな琥珀色の液体をかけると広がるブランデー特有の甘くて深い、大人の香り。


 悪いなルギくん、ここから先は大人の楽しみの時間なのだ。




「頂きまー……おほぉ……」




 ずわりと広がる香り高いブランデーの味。


 ぐっと深い木の香りに続くスパイシーで力強い味。


 だがその後に来るのはあの優しく繊細なチョコレートミルクレープ。


 小川のせせらぎで水遊びを楽しむ少年のような味覚は、いつの間にか休日をサーフボードで楽しむ大人へと。


 優しいチョコと生クリームの合わさったせせらぎは、力強く味わい深いブランデーによって幾重にも美味さの津波と合流し、胃袋へと流されていった。


 一時の甘味を食し、ふと息を吐き出せば口の中に残る官能的な余韻の時間。


 なるほど、これはあののんべぇ達も喜ぶ美味さだ。


 やはり菓子と酒の相性は言わずもがな、限られた食材へと染み込ませる事によってお互いの良さをを何倍にも引き上げている。




「ふへぇ…こいつぁたまらんち。ランチの後だけど」




「良いなー兄ちゃん。このままでも十分美味しいけどいいなー」




 指を加えながら眉毛の端をしょんもりと下げるルギくん。


 十分美味しいというのは本当らしく、お酒の上にあるミルクレープは既に半分以上は無くなっていた。


 ちなみにシラタマは完食済み。


 そしてルギくん腕の壁に()き止められながらも、まだ残っている〝魅惑の一品〟をガン見している。


 食い意地毛玉の処理に慣れたなルギくん。仕方ない。




「ならばまだお酒のかかってない所を分けてあげよう。そこで()き止めてるシラタマに食われないようにするんだぞ」




「え!兄ちゃんありがとー!」




「にゅぶぶぶぶぶ」




 俺はがっついて食べていなかった為、まだ半分以上残ってるミルクレープのまだ酒の染み込んでいない部分をフォークで切り分け、ルギくんのお皿へと移す。


 大体四分の一はあげたが喜んでくれるなら良かった。


 ずいずいと推し寄ってくるシラタマをがっしりと片手で止めながらルギくんはにこっぱと鋭い犬歯を覗かせがら笑みを浮かべてくれる。


 顔面ぐわしと押さえ込まれたシラタマはわたわたともがくが、ちゃっかりと使ったルギくんの能力の糸によって縛られているようで謎の鳴き声を上げているだけであった。


 うむ、その行動が正しい……おっとぉ──?




「そいっ」




「ふにゅ!?──ふにゅ〜〜」




「大人しく食べてるんだぞ」




「んにゅ〜」




 ぐわしと掴んだ手を緩め、フォークに刺した一口分のミルクレープをその隙間からシラタマの口へとねじ込むルギくん。


 突然の事に驚きながらも、口に広がる甘さにミルクレープを突っ込まれたのだと分かるとほにゃんと顔を嬉しそうに緩めた。


 もくもくと俺が分けたミルクレープを食べる一人がそれをさらに一匹に分け与えるという構図。


 なんだこの尊さは。優しい世界はここだったのか。




カナタ


「やさいせいかつ」




シラタマ


「にゅ?」




ルギ


「兄ちゃんさっき野菜食べたんじゃ?」

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