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ヘタレの努力家  作者: りばーしゃ
王都への道〜鬼の少年〜
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大事なのは

この展開を執筆するに当たってタイミングを合わせたかのような気がするかも知れませんが気のせいです。


俺の書く物語で少しでも元気を与えれたなーと。


あと、更新遅れてすみませぬ←

「──フン、マンティコアならこんなもんか。手応えのある奴は逃げたらしいが……まぁテメェで勘弁してやる」



 ずん、とひとつ思い音の後にヴィレットが呟く。


 その声がする方へ顔を向けると……おお、なんという事でしょう。


 四肢が様々な方向に曲がり、骨の飛び出た無残なマンティコアが地に伏し、その上にどっかりと腰を据えたヴィレットが居た。




「──で?調子は戻ったかよカナタ」




「まぁ…何とか」




 肉塊と化したマンティコアの上に腰掛けたヴィレットの声に、溢すように言葉を返した。


 今だに両足は僅かばかり震えているが、その内治るだろう……全く…情けない。


 あー、ぷるぷるしてる。すこぶるぷるぷるしてるよー。




「──情けねぇとか思ってんだろ。お前」




「ぎく」




「声に出せる余裕あるならまぁ大丈夫か。……野生において恐怖は必要不可欠な物だ。恐怖を感じにくい奴から死んでいく。恐怖は〝生きてる〟証拠だ。誇りに思え、お前は〝生きてる〟、胸を張れ」




 ずしり。その表現が一番合うだろう。


 唐突に言われたヴィレットのその言葉が胸に深く、深く響いたような気がした。


 肉塊から飛び上がり、軽快な着地音と共に俺の側へ降りて背中を叩いて口を開く。




「本当に恐怖に勝つ時ぁ、お前にガキが出来た時か、本当に助けたい奴が出来た時にでもしやがれ。おら行くぞ応援が来た」




 その言葉通り、続くように「おおーい戦士長ー」と言う声が向こうから聞こえてくる。

 

 いつもは誰かと分かる筈だが、この時ばかりはあまり良く分からなかった。


 少し霞む、手を振りながらそれに答えるヴィレットの後ろ姿がやたらとデカく見えた。




「…流石この世界に生きる先住民の言葉は重みがちげぇな……」







 人気の無い、廃墟と化した屋敷。


 かつては名のある貴族が居たが、没落して家主は消え、老朽化して廃墟と化した。


 そんな屋敷に、一つの音が木霊(こだま)した。




───ヴ────ゥン───




 空気が震えるような重低音。


 それに続いて次元が歪む、軋む、裂ける。


 靴音をその場に鳴らし、現れたのは三人の人物だった。




「お疲れ様です。ボス」




「なんて事はない。私も〝普通〟では無いからな」




 そう言い捨てながら、身体を古い一人用のソファへと預け、脚を組んだ。




「おかえりぃボス。おろ?ジャンちゃんぼっこぼこだー。ざまぁ」




 だぼだぼの白いパーカーに、紫色のハーフパンツに黒いストッキングを着た女性が奥の部屋から出て来て出迎える。


 目はその長い艶のある藍色の髪によって完全に隠され、口元の嘲笑しか分からない。


 ふわふわとした眠そうな口調とは裏腹に、全身ぼろぼろの男に掛ける言葉は酷かった。




「うるっせぇニコール。どうせまた寝てたんだろ、さっさと治せ」




「ほっほぉ〜?そんな元気があるならしなくても良いよね」




「ニコール、骨折だけ治してやれ。後はしなくていい。自業自得だ」




「あいさ〜アブドルさん」




「あ、アブドルさんッ?──ぐああ!」




 治療に(ともな)う痛みに、ジャンは思わず叫んだ。


 だが、確かに折れた所は治っていた。




「…ッつー…マジで骨折だけかよ……」




「アブドルさんは〜?」




「俺は問題無い。中々良いのを貰ったがな」




 ジャンの呟きは誰にも聞こえる事は無く、アブドルは右脇腹を摩りながらニコールにそう答えた。




「ほえ〜、アブドルさんがそんな事言うなんて珍しいねぇ〜」




「〝普通〟じゃあなかったからな。ニコール、お前等と同じ【異世界人】だった。運が良ければまた会う事もあるだろう」




「〝普通〟──がどうしたって?」




 アブドルの言葉に、言葉を返したのはニコールでは無かった。




「ひはははッ。随分と〝良い雰囲気〟の場所に住んでるじゃねぇか」




 ゴツリ。


 頑丈そうなブーツの音がその場に響いた。




「良く来たな。相変わらず〝濃い気配〟の癖に分からん奴だ」




「そいつはどーも。で?今ん所コイツ等がアンタの組織の一部かい?」




「ああ、そうだ。紹介しよう、彼が私が言っていた〝当て〟だ」




「おう、よろしくな」




 ひらひらと手を振って男は答えた。



 (はた)から見たらただの青年に見えるその人物に、ジャンは苛立ちを隠せなかった。




「ああ゛?てめぇ…何様──」




「ジャン、抑えろ。ボスの前だ。それに──お前が勝てる相手じゃない」




 食ってかかりそうなジャンをアブドルは制した。


 己の額に流れる、汗を感じながら。




「おーおーおー?中々良い〝魂〟をしてる奴がいるじゃねぇか。で?ボスや。〝コイツ〟に試しても良いか?」




 にぃ、と笑みを浮かべながら男はジャンに指を刺した。


 その返答にボスは頷いて口を開く。




「好きにしろ。ジャン、一つお前に聞こう」




「なんですか、ボス」




 アブドルの表情を見て少し緊張をしたジャンは、恐れながらもボスに言葉を返す。


 合わせるように、男がボスに口を合わせた。




「「力が欲しいか?」」




 己の身体が痺れるようなその言葉に、ジャンは決められたかのような答えを口にした。




「欲しい」




 その答えに、男は満足気で、不気味な笑みを浮かべていたのは彼等しか知らない。

今回の後書きもとい、わちゃわちゃコラムはお休み。


感想、評価、レビューお待ちしております。


簡単なのでも喜んで。

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