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ヘタレの努力家  作者: りばーしゃ
王都への道〜鬼の少年〜
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奴隷商の実力

固形石鹸のミューズでお手洗いしてやす。


液体石鹸より長く使えるし安いから助かるマン。


アレルギー症状が毎日襲ってきて辛いよー……




「ゴバッ!!」




 蹴りによって吹き飛んだ身体が家の壁に叩きつけられ、木々がぶつかり合い、飛び散る木片の重くて軽やかな音が辺りに響く。


 その衝撃音を出した主と苦悶の声の正体はもちろんクズ野郎だ。


 二枚目寄りの顔の至る所には打撲後の生々しい青紫色は内出血をしてる事が良く分かり、左目の目蓋はぼっこりと腫れ上がっている。


 ええ、至る所に鉄拳と蹴りぶち込んでやりましたとも。特にムカつく顔面に。




「十二発。とりあえずこれで勘弁しといてやる」




 ぱんぱんと手をほろって汚れを落とす仕草を二、三回。


 汚れちゃあいないけどなんとなくきちゃないから。


 薄汚れた服装も心もきちゃない奴だから結局はきちゃないね。うん。ぱっぱっぱ、と。


 すっかり忘れていた身体強化を使った俺の前にコイツは既に敵では無くなっていた。




 お、どうしたどうした!あ゛!?凡人が何だってオラオラオラ!!!



──と怒りに任せてぶん殴りのラッシュを決めたコイツは既に「おごっ、ぐぶっ、あごっ」と汚い濁音の音色を奏でる打楽器もとい駄楽器と化していた。


 全く……汚ねぇ駄楽器だ。




「さて、コイツはとりあえず縛って転がしとこう。後々ギルドだか誰だかが連行するだろ」




 近くにあった汚れたロープでぎゅぎゅっとな。


 ふっ、汚れた奴には丁度良い。




「よし、ルギくんの後を急がねばっ!!」




 こんなクズ野郎はもうほっといて急がねば!


 ルギくん今行くぞぉおおおお!!!







 身体に纏わり付く重さに膝を着く。


 その膝はごすんという重々しく普通ではあり得ない音が鳴り響いた。




「……これ…は…ッ?重力魔法…か!?」




 身体の重さが何倍にもなったような動かしにくい手を見てを奴隷商の男は久しぶりに膝を汚した。




「シラタマッ!!オレも加勢するぞっ!!ッコハ!」




 口元に両手を当て、小さく咳き込んだかと思うと鬼人族の少年こと、ルギがその手を奴隷商目掛け解き放つ。


 無数に(きらめ)く細い閃光のような物が奴隷商の身体へと纏わり付いた。




「むぅ…!?これは…糸か!!なかなか面白い能力(ちから)を持っているな少年!!だが──!!」




「にゅっ!?」




 奴隷商が取った行動にシラタマは驚愕した。


 ゆっくりと──男は立ち上がったのだ。




「おい!?シラタマ!!?確かに掛けたよな!?加減したんじゃないよな!!?」




「にゅんにゅにゅにゅ!?ふにゅにゅにゅ!!!」




 ぎりぎりと拘束した糸の悲鳴に耐えながらルギがシラタマへと叫ぶ。


 そんなばかな!?かけたもん!!とシラタマはぷるぷるぴょんこぴょんこと返答するように訴えた。


 シラタマが驚愕するのもその筈、今回奴隷商に掛けた重力魔法は様子見所ではない、体重を五倍程にする強い付与魔法だったのだ。


 これを掛けられて動けるのは今の所──カナタぐらいだろう。




「──ぐっ!なかなか強靭な糸だな。だがそれは好都合だと言う事は知っているか!!」




 引き千切る事から早々に思考を切り替え、奴隷商はその糸を(たば)ね、力を込める。


 その方向は──




「わっ──!??」




「ふにゅー!?」




──右側に弾いたシラタマの方へと糸伝いに投げ飛ばされた──!




「わー!シラタマごめーん!!ナイスもふもふクッショーン!!」




「にゅにゅにゅにゅ……」




 何のこれしきぃ…とグッジョブサインを上げるシラタマ。


 自慢のもちふわボディーによってルギの衝突ダメージは免れたようだ。




「厄介な生き物がいたものだ。まぁ、良い。こちらとしても無闇な危害を与えるつもりはないからな」




 力が抜けたせいか、拘束の緩んだ糸をぶちぶちと引き千切って行く。


 そんな男の両手には白いもやのような、薄い光りが宿る。




「ついでだ。その生き物も(さら)って行くとしよう」




 重力を操る生物と糸を操る鬼人族の少年……これならば【あの客】も満足するだろう。


 両手の光りを強め、奴隷商は彼等へと近付いて行く事にした。




「嘘だろ……オレの糸があんなに容易く……」




 自身の能力を容易く破られる事と、ずしり、ずしりと聴こえてくる重々しい足音が少年の恐怖感を増大させた。


 重々しい足音は確かにシラタマの重力魔法がかかってる証拠。


 だが既に奴隷商は慣れたのか、その歩むスピードは少し遅い程度になっていた。




「痛みは無い、【幻──】」




 奴隷商が両手の光りを強め、技を繰り出そうとしたその時だった。


 後方から聞こえる何者かが走ってくる音と共に怒声が唸る──



「──ぇええええええ!!!何しとんじゃああああ!!!!」




──瞬動を使い、蹴りをぶちかまさんとばかりに叫ぶカナタの姿が!!








 間に合うのか、助けられるのか。


 いや、〝間に合わせる〟し、〝助ける〟。


 そう決めていたなら全力を惜しみなく使おう。




 力を集中し、目の前に見えた光景に怒りを解き放つ。


 相棒と少年に手をかけんばかりの男目掛け、瞬動と共に蹴りを繰り出し叫んだ。




「てめぇえええええええ!!!何しとんじゃああああ!!!!」




カナタ


「待たせたな!!!」




シラタマ


「にゅ?にゅにゅにゅ?」




ルギ


「大丈夫大丈夫。シラタマもちふわだったから大丈夫だよ」




カナタ


「おい」

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