食欲>困惑
回覧数1万突破ありがとうございますぁすぁすぁアアアアアア!!!!
そしてまた一つ歳が増えたぁアアアアア!!
そしてこのタイミングで8年乗ってた自転車が寿命を迎えるぅ!!!
誕生日祝いはミスドを食って終わりました。かしこ←自転車買い換え
「とりあえずこれで良し…と。水はあまり飲んで無かったみたいで良かったな」
ぱちぱちと燃え上がる焚き火に良く乾いた木の枝を投げ入れながら一息着く。
椅子の代わりは勿論、岩。
白髪の男の子は水気を拭いてタオルの上に寝かせてある。
打撲の跡が少しあったが、規則正しく息をしているのを見ると大丈夫そうだ。
枝を集めて一休みついでに、シラタマがその子の胸元ですよすよ寝ているが…まぁほっとこう。
男の子が起きたらアラーム代わりになるだろう。
「…白い髪に人間じゃあ『ありえない角』がおでこに二つかー……」
素肌と同じく少し褐色の角がおでこのこめかみ付近にちょこんと二つ。
身体拭いてあげるときに触ったけど、先っぽは少し丸まってて軟骨みたいな柔らかだったかもしれぬ。
流石に軽くだけどね。ごっしごし拭く必要もないし。
それにしても……鬼の子ですかねぇ…俺が思ってた鬼のイメージは赤肌か青肌の黒髪だったんだがなぁ…
「なぐごはいねがーってか。いやまてそれはなまはげだわ」
わはは、とセルフつっこみを入れながら、再び木の枝をからんと投げ入れる。
それにしても俺と同じ【人間】に会っていない気がする。
アルは確か猿の獣人の一種だって言ってたし姉御はもとい、ヴァサーゴさんも獣人だろ?
人化が巧すぎて忘れそうになるけども。
バルちゃんは……聞いて無かったけど確実に【亜人】だろうな。
肌が不自然な白さだし…まぁ別にいいか。気にした所でメシが冷めるだけだな。うむ。
と、考え事を纏めると香ばしく、良い匂いが漂って来ていた。
「うーむ、うまそーな良い匂い。もうすぐで食えるな」
焚き火の周りにぶっ刺された、魚の油がじゅわりと滴り落ちては匂いを飛ばす。
塩をふりかけておこう。一つ一つにぱらぱらり〜と。
この塩は姉御から頂いた物である。
塩って味付けに保存と、ほんと便利な調味料だよね。
『……うわぁ───ぶふっ!』
「にゅや?」
塩をふりかけていると叫び声と共にシラタマが反応する。
おん?お目覚めかの?
「起きたかぼーず。飯でも食うかー?」
脂滴る旨そうな焼き魚を、一つずぼっと抜いてひらひらとさせる。
ひらひらさせる度にほわんと舞うのは、焼き魚の身が発する香ばしく、食欲を掻き立てる…魅惑の匂い。
ううん、なんと魅力的なかほりが漂うことか。
はよかぶりつきたいもんだ。あ、シラタマがよだれ垂らしつつこっち見てる。
『だ、誰だあんた!?うわ、コイツなんか垂らしてる!!?』
耳に聞こえる俺とは違う言葉。
ん?ああ、なるほど。なら『こっち』か。
「【ナージ語】じゃないのか。ん゛んッ…『おう、ぼーず。これで分かるか?』」
『ッ!?』
びくり。
俺の言葉の変化にその子の顔色をさらに戸惑わせた。
灰色の眼をまん丸にぱちくりとさせ、口はぽかんと間抜けに開いている。
お、ちゃんと伝わったみたいね。
『まぁまぁ、そんなにびくつかないでコイツでも食え。おうシラタマ、お前もよだれ垂らす前にこっち来て食え』
「ふにゅー♪」
ぴょいんと呆然とした子の胸元から飛び降りて、シラタマがてってけとこちらへ駆け寄ってくる。
その衝撃でよだれはぽたぽたと落ちている。きったね。
『ほれ、早く食わないとこの毛玉に全部食われるぞ。はっはっはっは』
もっしゃもっしゃと魚にかぶりつくシラタマを見ながらそう笑った。
このがっつき様、美味いという事は良く分かる。
『…あんたは一体……んん…ッ?』
戸惑う顔とは裏腹にお腹はこきゅるるると鳴き、「我飯求む」と訴えていた。
その抗えようの無い現実が恥ずかしかったようで、男の子の顔が分かりやすく紅く染まる。
ふはは、正直者の腹よのう。
『毒は無いぞー。んむ…うーん、これは美味』
一口齧ると広がる、白身に詰め込まれた程良い脂とホクホクの食感。
『毒特有』の嫌な感じも無く、泥臭いかなとは思ったがそんな事は全く無く、しつこく無い脂の豊潤な香りと旨味はとても舌を満足させる。
どうやらこの湖はとても綺麗で餌も潤沢のようだ。
『…頂きます』
うむ、腹一杯食うがよい。
顔を紅くしたままこっちに来たぼーずに焼き魚を手渡す。
何はともあれ腹ごしらえじゃよ。ふはは。
…
「起きたかぼーず。飯でも食うかー?」
起きた時に聞こえたのはそんな声だった。
何かを聞いているようだったが分からない。
めらめらと燃え盛る炎を見て恐怖を感じた俺は必然的に、叫んだ。
『だ、誰だあんた!?うわ、コイツなんか垂らしてる!!?』
叫んだは良いものの、胸元にいる毛玉の口から垂れる液体に意識が移ってしまった。
仕方がないと思う。なんかねっとりとしてたし。
「【ナージ語】じゃないのか。ん゛んッ…『おう、ぼーず。これで分かるか?』」
『ッ!?』
耳を疑った。
今この人、突然オレにも分かる言葉を使った。
分からない、どうして【喋れる】のかが分からない。
奴隷商でさえなんかの魔道具を使っていたのにこの人は……【どうして喋れる】のだろう?
恐怖感は無くなった。
そのかわりに疑問による戸惑いが思考を支配した。
『まぁまぁ、そんなにびくつかないでコイツでも食え。おうシラタマ、お前もよだれ垂らす前にこっち来て食え』
「ふにゅー♪」
男の声に名前であろう声を掛けられた毛玉が、オレの胸元から上機嫌に飛び降りてそっちへ向かって行く。
…悪い人じゃあ無さそうだ。
『…あんたは一体……んん…ッ?』
オレの疑問の言葉よりも早く反応したのは腹だった。
くそ…ッ…これは恥ずかしい…!
『毒は無いぞー。んむ…うーん、これは美味』
漂う焼き魚の香ばしくも、暴力的な香りには本能は勝てなかったようだ。
あれは肉食の魚の魔物…一度だけあの牙狼族の兄貴に食わせて貰った記憶がある。
とても美味かったから良く覚えてる。
…ダメだ。飯のタイミングで逃げ出したこの腹はもう限界だ。
『…頂きます』
意地を張って餓死するなんてゴメンだ。
オレには待ってる人が居るんだ。
獣の如く魚に喰らいつくオレを見ながら、その人は満足そうに笑っていた顔は…とても温かった。
作者
「次回名前が出ると言ったな?あれは嘘だ」
???
「作者テメェコラァアアアアアアア!!!」
カナタ
「まーそう言う事もあるだろう。あ、シラタマ。これ焼けたぞ」
シラタマ
「ふにゅー♪」




