会得
次回ィ!!次の章へぇぇええ!!!
皆さま良いお年をぉ!!!!
にゃああああ!!←新幹線の中で執筆
…
うんめぇコレ。これもバルちゃんが?
残念ながら違うわよー?作ったのはランちゃんよー
どうも初めまして…恐れながら作らせて頂きました…
リザードマンなのかー。うわ肌つやっつや触ってもいい?
へ?えええ?
カナタちゃんナチュラルにセクハラしないの。ランちゃんは女の子よ?
…ごめんなさい。悪気は無いんです。
いえいえ!別にそんな!びっくりしただけで!
…はぁーん…?カナタちゃんコッチも食べていいわよ?ランちゃんが作った角煮。
あざーす。──うんまっ!これうんまっ!!あ、待てシラタマ揺らすな。
良かったわねランちゃん美味しいだってよ〜?ところであたしにはそういうのないのかしら?
バルちゃんの見た目はいう所ないからなー。所でお店の名前おせーて?ヴァサーゴさんの修行終わり次第王都向かうからさー
…やるわねカナタちゃん……素で言ってるわ…アタシのお店の名前はねー──
…
「というのがもう三週間前か」
「いきなりどうしたカナタ」
風貌の荒い、鮮やかな紫色の髪を持つ、隻眼の男が俺の不意の呟きに答えた。
丸太のようなごんぶとの腕に寄る拳打が俺の顔面へと迫り来る。
「ほっ。気にするな。ちょっとバルちゃんの飯を思い出しただけだ」
突き出される拳を左手で受け流し、そのまま右足を男のこめかみ目掛けて繰り出す。
今、俺は模擬戦の真っ最中である。
この山賊の頭みたいな男は誰だって?
はっはっは、何を言う『人化したヴィレット』に決まってるではないか。
「よっ。まぁ、アイツ飯『だけは』美味いからな。思い出すのは分かるぜ」
俺の蹴りを左腕で止め、お返しだと言わんばかりに右腕の肘鉄が腹部目掛けて放たれる。
ぐるり───俺の視界が反転。
蹴りによる身体の回転をそのままに、ヴィレットの肘鉄のへとふわりと右手を軸に宙へと浮いて躱す。
「『だけは』っておめーそんな事言う癖に俺の分まで喰おうとするじゃねぇか。──よっと」
身体が浮いてるうちに身を翻し、その勢いで左足の踵をヴィレットの側頭部へと叩きつける──が。
「あっぶね。ぬうん!!」
「おー」
身を逸らしてヴィレットはそれを躱す。
そして行き場の無くなった俺の背面に潜り込み、投げ飛ばされた。
おお、高い高い。良い天気だなー。
などと呑気ない事を考えながら宙へと放り出された身体を捻り、関節という関節で衝撃を分散して地面へと柔らかく降りる。
などと言ってはみたが最終的な格好はヤンキー座り、
もというんちんぐスタイルである。
降りれりゃー良いのよ、降りれりゃ。
こんな事を考えながらやれるとはコイツとの模擬戦も慣れたものである。
「ッちぃ…相変わらずオメェのその身体どうなってやがる?そのクソ重テェ身体で良くその身のこなしがで出来る」
悪態を吐きながらも呆れたようにヴィレットが零す。
ブーメランって知ってっか?お前にも言えるぞ?
「慣れと経験。人化覚えたんならその内お前も出来るだろーよ」
ヴァサーゴさんによる人化の修行とは『気』を操る綿密なる繊細さとそれを維持するという力を得る事だと言うのを教えてもらっていた。
簡単な物を一つあげるとすれば座禅を組んだ上で身体にある物を付ける。
『気』を通わないと取れてしまう小さな特殊な石で身体の調整にも使われる物らしい。
それを半裸になった上半身の至る所に付けて人化を促す薬効があるお香が燃え尽きるまで行う。
細かい事が大の苦手で鼻の効く牙狼族のヴィレットにとってはなるほど、逃げ出したくなるわけだ。
まぁ、その苦行とも取れる過酷な修行の数々を耐えてこの男は『人化』を会得したのだ。
「最初からその姿のオメェと違っていつもと使い勝手が違うんだよこっちは。…ったく姉貴は良くこんな感じに慣れてるな」
眉間に皺を寄せ、手を握ったり開いたりしている所をみると大分慣れないらしい。
そりゃそうか。俺もこっちの世界に来て身体が変わったけど獣人とか龍人とかに分類される『亜人』になった訳じゃないからな。
そう考えると姉御やっぱ凄いんじゃないか?
ヴァサーゴさんは分かるけど姉御は普段からあの姿で且つ能力も使いこなしてる訳だろ?うん、凄いわ。
あ、頭の中で高笑いしてる姉御が浮かぶ。
「どうだヴィレット。人化を維持してみて」
「もどかしいったらねぇぜ。ずっと全身に気を張ってる訳だからな。まぁ、確かに短い距離なら『縮地』が出来るようにはなったがよ」
腕を組みながら模擬戦を見ていたヴァサーゴさんにヴィレットは小難しい顔で答えた。
そう、ヴィレットは人化を取得した事によってついに『縮地』が出来るようになっていた。
本人が言った通り大体数メートル程の短い距離だが元々『瞬動』しか出来なかった訳だから素晴らしい進歩である。
「はっはっは。もっと早くから覚えていればお前なら今頃極めていた筈だぞ。カナタ殿なぞ毎日修行をやっていたからもう縮地を覚えてしまってるではないか」
と、ヴァサーゴさんが言う通り姉御との身の削れる修行を毎日行っていた俺は『縮地』を会得する事が出来ていた。
実際に削れてたのは地面だけで俺の身体には痣一つ無かった訳だがそこは気にしない。
お陰で畑が出来る程に地面が耕されたぜ!やったね!
「それはそうだけどよ…慣れねぇなぁ…この身体はよぉ…」
「はっはっは。頑張れ。どうだカナタ殿そろそろ王都へ向かうか?」
ぎりぎりと拳を握りしめるヴィレットを一笑してヴァサーゴさんが俺へと問いかける。
おお、遂に来たか。
「…うーん、そうですねぇ…気の扱いにも慣れたしそろそろバルちゃんとの約束もありますし向かっても良いかなーと」
なんかあったらいざと言う時に逃げ切れるだろう『縮地』を覚え、狩りにも慣れた。
生々しい臓物にも何回もゲボゲボしながら慣れるのは辛かったなぁ…アレが一番辛かったのではと思うくらいだ。
そもそもこの場所に留まった理由はもう達成している。
ヴァインくんを始め村の子ども達と離れるのは名残り惜しいがそんな事は言ってはいられない。
これは俺が幸せになる為の道だ。生きていりゃあいつか会えるからな。
「うむ、ならば渡す物がある。来なさい」
おや、餞別の品だろうか?
まぁ、ヴァサーゴさんからだから何も心配してないけど。
「おう、カナタ。我からもあるからな…なんだその顔はぶっ飛ばすぞ」
はっ、いかん。つい顔に出ていたか。
カナタ
「そんなに酷い顔してた?」
ヴィレット
「吐き疲れた後みてぇなツラしてたぞ」