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ヘタレの努力家  作者: りばーしゃ
2つの【出会い】
41/213

修行…開始

総回覧数が4000を突破しました。

皆様ありがとうございます。


これからも楽しみながら頑張りまする。



ぼちぼちアレ書かねばな……




「おらぁあああ!!」




 拳に、脚に渾身の力を込めて拳打、蹴りを放つ。


 しかしそれらは最大限の力を発揮しながらも容易く受け止められてしまっていた。




 俺は今、ヴァサーゴさんに組手をしてもらっている。


 実力を測ってもらう為だ。


 さっきから思いっきり打ち込んではいるんだが軽く受け止められてしまっている。なじぇ?




「うむうむ、もっと打ち込んでこい。全身が発火する如くな」




 涼しげな顔でヴァサーゴさんはそう言ってくる。


 数多の拳を、蹴りを残らず受け止めているがその足場はピクリとも動いていない。


 おにょれこのままでは終わらんぞ。




「うぉおおおおおおおああああっ!!!」







「うむうむ、良い気迫だったぞ。しばし休んでおれ」




 ダメですた。結局全て受け止められてやんの。


 ちくせう───いかん、呼吸がしんどい。




「ぶへぁ…はぁ…はばぁ……!」




 心臓の音が全身で感じる。どっこんどっこんどっこんなー。


 全力で動いたのなぞいつぶりだろうか。


 かれこれ数年は無かった気がする…まぁ、前の世界の事だけど。


 身体を思いっきり動かしたいなーとか思いながら仕事をしていたけれどもここまで全力で動く日が来ようとは思わなかった。


 いや、それ以前に死ぬとは思わんかったけど。


 そんな考えがぐるぐるしていると不意に足音が聞こえて来た。


 ちらりと確認したいが今の俺にはちょい厳し───




「ちべてっ」




 ぜーはーぜーはーしながら呼吸を整えている俺に冷たい感触がおでこを襲った。


 これは…濡れタオル?




「お疲れさん。そいつで顔拭きな、サッパリするよ」




 この最早聞き慣れたハスキーボイスは…




「…ぜぇ、ふぅ…姉御?あざっす…ほへぁ…きもぢー」




 おでこの濡れタオルを手に取って顔面をごしごし。


 ひんやりとした心地良い感触のなんと素晴らしい事か。




「ガハハハ!あの程度の組手でそのザマかカナタよ!」




 そう豪快に俺を嘲笑うのはピンと片手逆立ち中のヴィレットだった。


 何をしているのか?それは魔力コントロールをしながらのトレーニングである。


 片腕に集中しながらかれこれ30分以上はしている。




「よし行けシラタマ重量1.5倍にしてやれ」




「ふにゅー」




「何?…ぬごぁ!?これは……キツイ……!!」




 ピンと伸びた脚の先端にぴょんこぴょんこよじ登るシラタマによる重力加算。


 余裕を見せていた顔に焦りの表情が灯る。


 ふはは、ざまぁ。




「なっはっは!良い修行になるじゃないか!ほれ、飲み物だよカナタ」




「あざっす姉御」



 放り投げられた竹筒の水筒を受け取り栓をきゅっぽんと抜いて喉へと流し込む。


 キンキンに冷えた極上の液体。




 っ───かぁっ、うめぇ。




 吐き出す息と共に鼻腔へと残る爽やかな木苺のような香りがまた美味い。


 姉御から渡された果実水を堪能しながら休憩しているとヴィレットが「ぐぇえ」とカエルの潰れたような声を出しながらダウンしていた。


 背中に乗りながらシラタマが勝利のポーズをしている。良くやった。


 そんなこんなをしているとヴァサーゴさんが何か古ぼけた物を持って戻って来ていた。




「待たせたなカナタ殿。少し探すのに手間取ってしまった」




 ぽん、と投げられたそれを受け取る。


 古い木人形のようだ。


 大きさはそんなに無い…フィギュアくらい?

 木にしては少しだけ弾力がある。



「これは何ですか?見る限り人形のようですが……」




「それは気を受けて動く人形でな。師匠から頂いた物だ」




 ほーん?そんな木があるのね。


 見た感じは木人を手乗りフィギュアサイズにしたような物にしか見えないけど。




「あー、懐かしいの持って来たね親父。ちょっと貸してごらん」




「うむ、これなら気の練習にはちょうど良いからな。少し見せてやりなさい」




 古ぼけた木人形を姉御に手渡す。


 なんじゃろなんじゃろ。何が始まるのじゃい?




「行くよー…そうれっ」




 姉御のその掛け声に俺は驚愕した。


 掌の上に───『立った』のだ。




「は?」




 見事に直立している。


 さっきまでくにゃんくにゃんの人形だったと言うのに。




「ほい」




 トンッ───と木人形は掌から頭上へと飛び上がる。


 綺麗な放物線を描きながら『それ』は慣性のクッションを使い、姉御の頭の上に片手逆立ちをしてみせた。




「ほっ、ほっ、よっ、はっ」




 姉御の掛け声に合わせてそれは様々なポーズをしてみせた。


 まるで───『魂が入っているかのように』。




「とまぁ、こんな感じでコイツに気を送らせて動かす玩具だよ。最初は立たせるのが精一杯だろうが慣れりゃあこんな芸当も出来るさ」




 カラカラと笑いながら話す姉御の頭の上では木人形が「おら来いよぉ!このぐらいやってみろやぁ!」とでも言ってるかのように挑発していた。


 え、マジでそこまで出来るもんなの?やだ惚れる。




「けっ、只の子供のあやし道具だろ」




 いつの間にか復活していたヴィレットが胡座をかきながらごちた。


 そんなお前はどこまで出来るんだ。




「聞かなくていいよカナタ。あいつは立たせるのが関の山だったから」




「ぷっ」




 おっといかん。吹いてしまった。


 子供の頃は散々あやされていたろうに。




「うるせぇ!もっと実践的な事ならできらぁ!!」




 吠えるヴィレットだがそんな事を聞いた後では覇気なぞ感じる筈も無い。哀れなり。





「ふはは、カナタ殿の目標はそれを操り、落とさぬように修行をしてもらう」




 中々きびちー条件ですな。つまりは姉御状態寸前まで頑張らないと行けないわけだ。




「カナタ殿には既に『縮地』に必要な筋力はあるのでな。魔力の修行と平行して気の修行もするといい。良い修行になるぞ」




 ほう?という事はアレが出来ればヴィレットを超えれると?


 やるしかねぇなこれは。燃えて来たぜ。




「ヴィレット、お前は指一本で逆立ちだ。目標は半日」




「半日ィ!?ふざけんなよ!?」




「片手では随分と余裕だったではないか。それが出来たら視界を塞ぎながらやれ」




「なんっ……ちきしょう…やるよ!やってやるよ!!!」




 図星突かれた挙句にきつーい内容を告げられたヴィレットは目を白黒させてヤケクソ気味に叫んだ。


 ぬはは、こっちも負けてたまるか。

 

カナタ


「シラタマや、ご苦労であった。褒めて遣わす」なでくりなでくり




シラタマ


「ふにゅにゅにゅ」もっふんもっふん




ヴィレット


「コイツにゃあ流石に負けられねぇ…後で酒飲むか」




ヴァネッサ&ヴァサーゴ


「「レト(ヴィレット)は禁酒だな」」

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