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ヘタレの努力家  作者: りばーしゃ
第1章 未知と遺産
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毛玉と…?

皆さまは体調はいかがでしょうか。

俺は花粉で瀕死です←アレルギー




「ほれ、まだあるぞ。食うか?」




 ポケットからキノコを取り出しながら毛玉の方へと近づき、屈む。


「ふにゅー♪」と、嬉しそうに鳴きながら毛玉は俺からそれを受け取った。


 どうやら敵意は無いみたいだな。ポケットにキノコをストックしておいて良かった。ナイス俺。


 毛玉にキノコをいくつか与えてもまだストックはある。


 さて、ここから外に出られるだろうかと考えていると、もふん、もふんと右足に毛玉がすり寄っていた。




「ふにゅ〜♪」




「グハァッ!!!!」




 懐かれたぁ!!俺のハートに致命的なダメージィ!!何この毛玉可愛い!




「…俺にここまでダメージを与えるとは……おらぁ!まだキノコあっぞ!」




 気付いたら腕に抱えながらキノコを与えていた。


 おそるべし毛玉である。




……




「にゅっ、にゅー♪」




 いつのまにか毛玉は俺の頭の上に乗っかっていた。


 キノコをたらふく食べてとてもご機嫌な様子である。




「頭にもふもふの毛玉……悪くない…むしろ至福である……さて、先に進むか。毛玉よ、お前はこの先から来たのか?」




 頭の上の至福に静かに打ち震えつつ、毛玉にそう尋ねる。


 もしもこの毛玉が外から来たのなら外に出られる。




「ふにゅにゅー、にゅー」




 俺の頭を手のような物でぺぺんと叩き、前方を指した。

どうやらあっちから来たらしい。




「あっちか。出口かは分からんが行ってみるべな」




 手掛かりがない今、行動あるのみ。いざ行かん。




……




 しばらく歩くと壁や床の質感が変わって来ていた。


 今までまさに洞窟、といった質感だったのに対し、あたかも人の手が加えられたようなものになっているのだ。




「もうすぐ出られる雰囲気じゃあないなぁ……なぁお前が来た所はもうすぐなのか?」




 外には続いて無さそうな雰囲気に残念そうにしながら毛玉に尋ねてみる。


 その際、手持ちの光源ともなってるキノコの束から一本を取り、未だにあたまの上に鎮座してる毛玉に与えながら。


 なお、キノコは歩いてる最中にある程度もぎもぎしておいた。こいつのメシとして。




「んにゅにゅ。んにゅー」




「可愛いかよ。…冗談はさておき、もうすぐっぽいな」




 もっきゅもっきゅと頭の上で響く咀嚼音と鳴き声にそう和む。言葉は分からんが何となく「もうすぐー」とそう言った気がした。


 そろそろ俺も何か食べたい。いざとなったらこのキノコ食うけど。


 毛玉の口に運ぶキノコを見ながらふと、ある事に気付く。




「そういや名前がないのも不便だな。いつまでも毛玉って言う訳にもいかんだろーし」




「 ふにゅにゅ?」




 名前?と聞くかのように毛玉は頭の上でふよんと動いた。




「そ、お前の名前。さてどーすっかなー……」




 白い毛玉……もふもふ……ふむ。妖怪にはケセランパサランや毛有毛現けうけげんっつーのもいるけど……こいつはスライムみたいな軟体だろ?はてさてどーしたものか……




「ふにゅっ!にゅにゅにゅっ!」




 歩きながら考えているとぺんぺん、と毛玉が不意に頭を叩く。


 意識を前方にやればどうだろう、なーんと扉である。




「なんの変哲も無い扉…んな訳ねぇな。お前はこっから来たのか」




「ふにゅ!」




 うん!と、言わんばかりに毛玉が頭上でふよんと揺れる。 うーむ、癒し。


 毛玉との戯れは楽しいがひとまず置いといて、目線を前方の扉へと向けて近づく。




「…ふーむ」




 顎に手をやりながら訝しげな目でそれを見る。


 触れずに見てみたが、素材は鉄製ではないような気がする。




「見た目は普通……でも、『ありえねぇ』よな」




「ありえねぇ」と言ったのは普通、鉄製の扉なら錆びやら苔やら着く筈だからだ。


 ここは洞窟、湿気は有り、その条件下にある。


 しかしこの扉にはそれらは全く着いて居らず、至って新品のように俺の目の前に鎮座していた。




「ふにゅにゅー」




 難しい顔をする俺に対して毛玉が頭上でぽいん、と小さく跳ねた。


 もそりと毛とこいつ本体の柔らかさが心地いい。良いぞ、もっとやれ。




「そだな。とりあえず入るかね」




 早くと急かす鳴き声。一応ノックをして扉を開けよう。この毛玉の飼い主がいるやもしれぬ。


 こんこんこん。 うむ、返事は無し。どれどれぱっかー。




「お邪魔しゃーっす」




 友人の家にお邪魔するかのように中へ入る。


 予想通り鍵などは掛かっていなかった。だって毛玉が外に出てるし。


 中の第一印象は研究室。


 しかし、所々に古めかしい本棚があり、至る所に本が乱雑に積み上げられていてまるで古書店のような雰囲気も見受けられた。


 扉近くの机にはカルテのような物に、黒い液体の入ったカップ。


 あたかも先程まで人が居たような形勢に俺は少し安堵した。




 文明は結構栄えてるらしいな。言葉が通じれば助かるんだがなー。


 どれどれ、このカルテっぽいのを少し拝見。


 机の上にあるカルテらしき物をひょいと手にして驚いた。




「……全く読めん」




 そこに書いてあるのは日本語ともアラビア語とも見えない文字の羅列だった。


 辛うじて分かるのはグラフっぽい物だけ。なんじゃこら。




「……本も読めん物ばっかりだな。言語通じるかコレ?レッツらボディランゲージ?」




「ふにゅ?」




 俺の疑問の言葉に毛玉も答えた。可愛い。


 そんな事をやっていると、背後の方から気配と共にドアの開くような物音が聞こえた。

???


「…至福である」




毛玉


「ふにゅー」←落ち着くらしい

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