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ヘタレの努力家  作者: りばーしゃ
第2章 王都〜ミーション〜
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お騒がせの三人、再び




「うーっす」




「おう、来たか!待ってたぜ」




 噴水近くにあるベンチで、赤青の姿が印象的な一人の男かそれに応答した。


 宿を出た俺達はバルちゃんの居酒屋で出会った例のお騒がせ三人組──ゼーベック達と合流する事にした。


 ギルド員でも無い、大会出場者で連絡のすぐ取れる人達と言えばこの人達ぐらいしか居なかったのもあるが、大会の事のやり取りもしたかったので好都合。


 連絡して買い物をしたいんだがついでに良いかと聞いてみると快く二つ返事で了承してくれたのである。




「悪いね突然連絡しちまって」




「良いって良いって。こっちも店を物色するつもりだったんだ。ついでだ、改めてお互いの自己紹介といこう。ゼーベックだ、ぼーず達もよろしくな」




「ルギです。この白いもふもふはシラタマ」




「にゅ!」




 頭に乗ってるシラタマをひょいとルギくんが持ち上げると、「よっ」と言わんばかりにおててを挙げた。




「ロスと申します。店ではごコイツがとんだご迷惑を」




「ダグだよぉ。よろしくなぁ〜」




「改めて、カナタだ。よろしく頼む」




 さらっさらの藍色の長髪をした細身のイケメンがロスでのほんとした重戦車みたいな人がダグか。なるほど覚えた。


 身長はダグさんが俺と同じぐらい、ロスさんとゼーベックが頭半分くらいなのでかなり威圧感が出るチームとなってしまった。


 ほうらルギくんとシラタマの小ささが映えてめんこいのぅ。


 まぁ、威圧感と言っても俺もダグさんも平和な顔してるからそんなものカケラも無いんだろうがな!




「改めてお前でけぇなぁ。しかもその筋肉なんなんだよ服で分かりにくいけどとんでもねぇじゃねぇか」




「ダグと並ぶとなかなかの威圧感が……あるんだろうなぁ普通は……」




「ねぇなぁこの優男ズ」




「普通はとはなんだ普通はとは。なんだ優男ズっておら」




「そうだそーだぁ!」




 ロスさんの言葉にダグさんと共に意義あり!あるだろう滲み出る威圧感が!!




「…シラタマ、無いよね。威圧感は」




「ふにゅん」




 ぽそりと呟くルギくんと頷くシラタマ。


 これ。君達聞こえておるぞ。




「とりあえず行くとするか。オレ達は武器屋と魔道具屋を見てみるつもりだがお前等は何を見るんだ?」




「服と保存の効く食料がメインかな。後はそっちの行く先に任せるよ。……なにぶん方向音痴だからな」 




「あいよ。……おめぇ方向音痴っつってもそのベッセルに地図着いてんじゃねぇのか?最新だろそれ」




「……はっ…!そうかその心配は無くなったのか……」




「…兄ちゃん」




「にゅ…」




 そこのショタと毛玉、ジト目をやめたまえ。







 様々な人々や出店で賑わう真っ直ぐな道が続く広めの道、ここは大通りの一つ。


 賑わうとは言っても通りにくい程に人が多かったり、出店に長蛇の烈が出来ている訳ではない。


 まぁ賑わってるね、程度だ。たまに脇道に酔い潰れた人がいるぐらいには平和だ。大方、夜に飲み過ぎたのだろう。




「そういえばゼーベック達の能力ってなんなんだ?店じゃあ身体系を探してたみたいだけど」




 歩きながらふと気になったその事を口にする。


 バルちゃんの店でトラブルを起こしたあの時、身体系の能力であろう三毛猫のウェイトレスの獣人にちょっかいをかけていた。なぜ身体系だったのだろうか?




「ん?オレか?俺は放出系だ。属性は【熱属性】、どうだ!すげぇだろ」




「くっそレアじゃん消し飛べ」




「おお゛ん!?」




「兄ちゃん出てる出てる。心の声出てる」




 いかん、つい素で言ってしまった。ドヤ顔うざかったからしょうがないね。うんうん。


 いやしかし放出系と来たか。それに……【熱属性】だと?あれかな、ほかほかすんのかな。




「ロスさんとダグさんは?」




「僕は精神系だ。属性は【鎮静属性】、僕等もゼーベックと同じく呼び捨てで構わない」




「オラは付与系だよ。属性は【増幅属性】」




 まてまて、良く分からんが名称だけ効くとなんか凄いのでは?


 精神系に合うのは初めてだけど…【鎮静属性】?痛くなくなるのか?


 そんで付与系の【増幅属性】ってもう強いのでは。




「俺…要る?聞いた感じもう強い気がするしバランス良いと思うんだけど」




「要らなきゃ探してねぇーっての。オレの能力は直接攻撃に向いてねぇんだよ。身体系と違って放出系は至って普通の身体だからな」




「僕の能力で幾ら痛みを鎮静したとしても限度がありますしね」




「オラの能力も二人の能力を幾ら増幅しても身体系にはかなわねぇからなぁ。突っ込んできたらひとたまりもねぇよ」




「ああ、なるほど。重要な基本的ポストがいないのか」




 合点がいった。ゼーベック達がある程度身体を鍛えたとて至近距離で本職の身体系の一撃を食らったらひとたまりも無い。


 つまりは彼等をカバー、そして自分達の能力を最大限に繋げる為に身体系の能力者を探していたのだと。


 特にロスさ…ロスやダグの能力は身体系の能力が居ればより強力になるだろうな。




「それだけじゃねぇ。身体系がいねぇって事は様子を見る事が出来ねぇって事だ。ダグはそこまで早く動ける訳でもねぇしどっちかと言えば守りの方が得意だからな」




「僕もどちらと言えば支援の方ですし……まぁこのバカが支配者クラスまで成れば別なんですけど」




「おうコラそれを言ったらおしめぇだろが。目指しはせど簡単に言うんじゃねぇ。そう簡単に英雄クラスにぽんぽん成れたらこの世界は破滅してらぁ」




 支配者クラス……つまりはこの国の王、ハウィさんレベルの様な実力者か。


 ゼーベックの言う通り、英雄クラス──バルロさんのような人達にぽんぽんなれるならそりゃー確かにこの世界は破滅してるだろうな。




「ゼーベックは英雄を目指してるのか?」




「まぁ、一応な。オレの目標は英雄の一人【氷炎】だ。いずれオレもその高みに行ってやる」




「【氷炎】ってのは【稲妻】のかつての相棒で一回目の聖戦の中心的人物だよぉ。ゼーベックはその英雄に憧れてんだぁ〜」




「赤を青の衣装をトレードマークにした、炎の英雄。そしてギルドの中でも精鋭が集められた【イレイザーズ】と呼ばれる特別なギルドのエースさ。ゼーベックの服装も武器もその【氷炎】をオマージュしてたりするんだ」




 拳を掌で包むようにばちん、と打ち合わせるゼーベックの言葉を捕捉するように二人はそう付け加えた。


 このゼーベックのド派手な格好はその英雄のオマージュだったのか。


 それにしても……あのバルロさんのかつての相棒か。うーむ、英雄とはド派手なのが好きなのか?




「お、武器屋みっけ。入ろうぜー」




 そして女好きなのだろうか。バルロさんはかつてそうだったっぽいし。


 ともかく人生初めての武器屋へと突撃する事にしよう。



カナタ


「お、美味そうな屋台みっけ。後で寄ろう」




シラタマ


「にゅ…ふにゅ!ふにゅにゅ!」




ルギ


「兄ちゃんあっちの方が美味しそうだよ!」

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