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黒の誓書【資料集】  作者: 狐さん
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無銘刀使いの冒険記

「こんにちわ!」


 なんだ? なぜか森永系の箱に書かれているキューピットが挨拶してきたんだが⋯。


「⋯⋯こんにちわ」


「HEY! もっと気分盛り上げていこうYO!」


 DJ風に1人勝手に盛り上がるキューピット。


 ダメだこいつ⋯早くもノリについていけない。


「まぁ落ち着けよブラザー。それよりも俺は今の状況がよくわからないんだが?」


「そりゃないぜブラザー。現状の説明してないんだから当たり前だYO!」


 あ、ダメだ。


「アダダダダダダダ⋯!!」


 無意識に頭を潰しそうになったわ。


「いや! 現在進行形だから! 痛いから! 泣くから! 今離したら僕ハッピー! そして君もハッピー!」


「まだいうか⋯」


「イタタ。まだ痛いよ⋯。ノリの悪い兄さんだなぁ」


「いいから現状説明しろよ」


「はいはい。ちょっとまってね」


 書類を捲る。


「え〜っと、んー? あれ?」


 何回も確かめたりしてるが何もなかったらしい。


「君⋯情報ないや? どうやってここに来たん?」


「それを聞いてんだよ」


「完全な迷い人かなぁ⋯。名前言える?」


「なまえ⋯? なまえか⋯。(トウ)だけは覚えてるな」


「名字は覚えてないっと。ま、なんでもいいし、無銘(むめい)でいっか」


「あぁ、どうでもいい。これから俺どうなるんだ?」


「ん〜、まぁ空きはあるから、君にとっての異世界か元の世界かはわからないけど、そこにいってもらうよ」


「わかった。もしかして、なにかやれみたいな事はあるのか?」


「ないよ。そういうのはもう送り込んだからね。君はただ好きなように生きてくれたらいいよ」


「わかった」


「生前の能力に言語機能は一応つけておくね。スキル付与などは迷い人だからできないんだよ」


「構わない」


「ん〜ただ、本当は駄目なんだけど⋯モンスターもでるから一応武器だけは用意してあげようかな。何がいい? 剣? 槍? 弓?」


「ふむ⋯。そうだな。刀とかでも大丈夫か? それは持っていた気がする」


「オッケー。凄い付加がかかった刀は世界にもあるから、僕があげれるのは君が持っていた生前の刀だけだよ。ただ、不壊属性はつけてあげるし、アイテム収納でいつでも出せるようにしてあげる」


「そうか、ありがとう」


「いえいえ、迷い人を送るのも僕達の仕事だからね! まぁ、新しい人生たのしんでよ!」


 そういって光の柱に運ばれていく。


「にしても、ここに迷い込むのもすごいなぁ。何百年いたけど初めてだよ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 地面に足がつく。


 立ち上がろうとすると怒声が辺り一面に響きわたる。


 霧が晴れるように、景色が見えた瞬間に、剣を振られていた。


 しかも前後で。


「おお?」


 両方の手首を持つと、片足で地面を蹴るように【震脚】する。


 大の大人2人が宙を舞い、背中から地面に激突する。


「ふむ」


 周りを確認すると、どうやら村と村で戦をしているらしい。


 少し考えたが、頭を軽く掻き、この場所から離れる事にした。


 避けてではなく、堂々と正面からである。


 なので、襲ってくる敵は、全て投げ飛ばして進んでいく。


「それ以上動くな! 貴様!!」


 どうやら、集団を率いる太ったボスみたいなのが出てきた。


「お前がこれ以上動くと、この娘を殺すぞ!!」


 なるほど、これは娘を取り返す戦だったのか。


「俺は無関係だ。ただ俺に向かってきたからいなして投げただけだ。大人しくしてくれるなら何もしねぇよ」


「ほ⋯ほんとだな。なら早く行け!! 今回は見逃してやる!!」


「あぁ⋯」


 通り間際に、アイテム収納から刀を一瞬だしてシャランという音だけを響かした。


 ふむ⋯だれも、気づかないんだな。


「あ〜⋯」


「なんだ? まだ何かあるのか!!」


 太った男がこちらを振り向く。


「⋯いや、あんたすげぇな。首が180度動くなんて」


「ほぇ?」


 下を向こうとすると、そのまま首が落ちる。


「あれ? 俺様の身体? え? え?」


 現状理解できないまま男は絶命した。


 斬られた傷口はまだ血はでていない。


 傷口はプツプツと赤い粒が出てくる間に、状況飲み込めていない娘を救出し目を隠しながら、来た道を元に戻っていくところで血が噴水のように噴き出した。


 男達はその光景をただ止まってみていた。


 勿論、襲ってくるやつはもういない。


 それどころか道をあけてくれる。


 もう一つのボスまで来ると、娘を渡す。


(なんつーか。やはりこういう時は助けるのが男子(おのこ)だろ?)


 生前の記憶はないが、ただそう思っただけの行動だった。



 


 


 




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