8話 作戦
注射を打ってから五分が経った、やっと目が覚めた。
「うう」
私たちはその間、話し合いをした。
真彩の声に気づいて私は駆け寄る。
「まーやん!」
「えへへ」
笑いながら自分で体を起こした。
「真彩、まだゆっくりしとけ」
花岡が体を支えるともう元気になったのか飛び跳ねる、その様子をみんなが見て、喜んだ。
「私は不死鳥なのさ!」
私は真彩に飛びついた。
「まーやん! ごめんね! ごめんね!」
泣き噦る私の頭を優しく撫でる、その手つきはお母さんに似ていた。
「私こそごめんね! みんなに心配かけて、でももう大丈夫!」
花岡が立ち上がり話を始めた。
「じゃあ真彩も大丈夫そうだし、移動するか」
みんなが立ち上がる、すると花岡が真彩に一言。
「俺らは決心ついたが、お前はどうする?」
一度悩んだ様子を見せたがすぐに答えた。
「私は大丈夫なのさ」
安心した様子で話を進める。
「わかった、なら今から近くのショッピングモールに向かう」
家の近くにショッピングモールがある、そこにみんなで突入すると言うことだ。
案の定、反対意見は出た。
「待て翔太、だが、そこは人が多いだろ? この中で一人いなくなるかもしれないぞ?」
敵が多いと危険度も高い、だが花岡は自慢げに言う。
「俺たちなら大丈夫だ!」
学校でもみんなを引っ張り中心となる生徒、ゲームの世界でもそれは変わってないと思い、感心していると真彩がちょっかいをかけてきた。
「ゆあたん、翔太のことが」
私は慌てて否定したがその話が他の人にも聞こえていて、マアルとザキは花岡に嫉妬の目を向けた。
「とりあえず向かうぞ、俺が先頭、真彩と甘城は真ん中で、最後尾はマアル、じゃあいくぞ」
私たちは家を出て厳重警戒しながら進んでいく。
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「ここから何分で着くんだ?」
ザキが横に来て話を始めた。
「うーん、この距離なら二十分はかかるかな?」
真彩は歩くのが嫌いなのか駄々をこねる。
「ええええ、私は歩きたくないのさ!」
「ならここで置いて行こうか?」
私は真彩にちょっかいをかけた。
顔を赤くして反論する。
「置いていかないで!」
その様子を変な目で見つめるザキ。
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歩いて十五分が経っただろうか、とうとうショッピングモールの頭が見えた。
「あそこだな」
花岡が指を指すと真彩が喜びを爆発させる。
「やった! やっとだああ」
すると花岡が足を止めて音を聞く。
「どうしたの?」
私がそう問いかけると向かいにある家に指をさした。
「敵だ、5人いる」
みんながナイフを取り出す、私はナイフを持つ手がとても震えている。
「作戦だが何かいい案あるか?」
すると案を思いついた真彩が作戦を伝える。
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作戦会議
「何かいい案があるのか?」
「ええ、だれかこの壁よじ登れるひといる?」
ゆっくりとマアルが手をあげる。
「ならこの作戦できる」
そういうと真彩はナイフを扉に刺すように指示する。
「ナイフをそこから突き刺すと、一人は確実にやれる、その叫び声により敵が降りてくるだろうから、壁から二階に上がったマアルが奇襲をかける」
「なるほど、まさか二階からくるとは思わないよな、その間俺らは下で囮か」
「ええ」
ザキが前に出てきて準備をする。
「お前らは後ろに俺らで囮になる」
ザキからそんな言葉が出てくるなんて思わなかった。
「わかった、じゃあ作戦を始めましょう」
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そしてその作戦を実行する、花岡や扉にナイフを突き刺す。
〈グサ〉
それと同時に叫び声が。
「ぐあああああ」
外からでも聞こえるくらいの音を立てて階段を降りている。
「大丈夫か!」
「くそ、敵か! どこからだ!」
その間にマアルが二階へよじ登る。
登り終えると窓から合図を出す。
「よし、行くぞ!」
そして扉を開けると敵が四人下に集まっていた。
「くそ! やれ! 俺らが生き残るぞ!」
私と真彩は一番後ろにザキと花岡がナイフを持ち敵と睨み合う。