7話 汚れる
扉が開くとそこから一番近かったらマアルが口を押さえて動きを封じる。
「離せ」
下から仲間の声が聞こえる。
「おーいどうした? 聞こえてねえのか?」
マアルは私たちに殺すように促す、だけど私と真彩は動けずその場で震えているだけ。
すると花岡がナイフを出し敵にナイフを向ける。
「わかった」
返事がなく心配になったのか仲間が上に上がってくる。
「どうした?」
どんどん音が近くなっている、まだ目の前の敵を倒すことができない。
「早くしろ! その間に仲間が!」
少し怒った様子で深呼吸する。
「わかってる!」
階段を登り終わりそうだ。
敵は涙を流している、そりゃそうだ、最初にあんなことがあり死ぬとどうなるかわからない状況で今、その立場に侵されていると思えば必然と涙が出る。
「早くしろ! そこまで来てる」
目を瞑り敵の首にナイフを近づける。
「おーい、どうしたんだ......!」
仲間が部屋に入ると同時にとどめを刺した。
「嘘だろ! てか敵が五人だと!」
「やばいよ! 逃げなきゃ!」
「んなことわかってる! だけどこいつを殺されて黙って逃げるわけにはいかねえ!」
もう一人がナイフを手にし襲いかかって来た。
「甘城! 避けろ!」
そう叫ばれたが恐怖で動けなかった、すると横から誰かがぶつかって来た。
「まーやん!」
私は無事だった、が私を庇った真彩が首から血を流している。
「くっそ! マアル行くぞ!」
ザキとマアルがナイフを持ち立ち向かう。
「あっははははは、やり損ねたか、まあいいおそらく出血多量で死ぬだろう、清々しい気分だぜえ!」
「伊吹くん!」
仲間が殺されておかしくなった仲間を止める。
「ああ? なんだ? 文句でもあんのか?」
「いえ、ないよ」
「なら黙ってろ、殺すぞ?」
我を忘れている、悲しみと恐怖でいっぱいになった人はこうなるんだと私は思った。
「まーやん! まーやん!」
「おいおい、大丈夫か!」
「大、丈夫、なの、さ」
再び敵が襲いかかってくる。
「ザキ頼んだぞ!」
マアルが敵を抑えナイフを手放させようとする。
「お前を先に殺そうか?」
(なんていうパワーだ)
マアルが一人を抑えている時ザキはもう一人を攻撃する。
「女の子かちょっと申し訳ないが俺らも生きたいんだ、だからごめんな」
ナイフを彼女に向けて刺そうとする。
が目の前で動きが止まる。
「殺せるわけねえよな! やっぱり」
「めんどくせえな! まあいいや! 先にあいつから倒すか」
マアルとの戦闘をやめてザキの方に走り出した。
「ザキ! 危ない!」
その声と同時に振り返り避ける。
「死ねええええ」
〈ぐしゃ〉
「ザキいい」
すると女性の声が聞こえた。
「あっああ、伊吹くんごめんね? そしてさよう、なら」
お腹から血がドバドバと出ている。
「俺って、俺ってやつは!」
その後ろからマアルがナイフを伊吹の胸に向けて後ろから刺す。
「あっは、はは、なんだ、これ? 血か? と言うことは、俺は、死ぬのか?」
そう言い彼女と重なるように倒れてキルマークがついた。
「はあ、はあ、危なかったぜありがとうマアル」
マアルはその死体を見て悲しんでるようだった。
「俺は汚れてしまったんだな」
俺はそのことには何も言わずに肩を叩き真彩の方へ近づく。
「まーやん! まーやん!」
「私は、大丈、夫」
意識を失った。
「真彩!」
ザキが近づいて来た。
「ま、ま、真彩は?」
その姿はとても醜かった。
「まだ大丈夫だ! キルマークが出ていない! 薬さえあれば助かる可能性が!」
私はピンと来た、リアルと一緒ならば救急箱が棚にあるはずだと。
「私、救急箱持ってくる!」
私は急いで下に行こうとすると花岡が止めた。
「待て! 相手はまだ三人しか顔を出していないあと二人いるはずだ」
そんなことを考えていると真彩が助からない、と思い花岡を無視し下に行く。
「くそ! 俺も行く、ザキこいつを頼んだ!」
それから後を追う。
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「救急箱、は確かここに」
救急箱を置いている棚に手を伸ばし探す。
「うう台がないと届かない、でも椅子などは壊されているし」
そう悩んでいる時後ろから声が聞こえた。
「おい!」
ナイフを持ちながらこちらに近づいて来た。
「きゃ!」
「俺だ俺花岡だ」
顔を見ると安心し再び棚に手を伸ばす。
「届かない!」
すると変わるように言われて横にずれた。
「どけ、どこにあるんだ」
そう言われ私は救急箱がある場所を言った。
「その上の右奥」
「あっこれか?」
そして取り出し中身を確認すると何やら注射器が入っている。
「こんなもの私入れた覚えが」
「運営が入れたんだろ、とりあえず早く行くぞ」
急いで上に戻る、階段を登り終えるとまだマアルが立っていた。
「......」
部屋に入る際花岡が肩を叩き小声で何かを言った。
「!」
中に入るとザキが真彩を支えている。
「何やら注射器が入っていた」
「それを打てばいいんだな?」
「おそらく」
真彩にその注射器を打ち込む。
するとすぐに効果が出た、なんと傷口がみるみる塞がっていったのだ。
「なんだこれ、すごい」
「これで助かるんだよな?」
「お願い!」
私はそう願うしかなかった。