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第86話【超大型ドラゴン戦】

 それにしてもデカイ。

 いままでは遠目でしかこの超大型ドラゴンを見ていなかった。


 間近で見ればこんなに。

 もはや壁だ。

 大きいと思っていた第二城壁さえ小さく感じる。


 こんな文字通り超大型のドラゴンを相手に、俺たち人間サイズの攻撃が通用するとは思えない。


 だけど今は、魔法大砲の一撃によって奴の頭部は(えぐ)れている。

 赤い血を流し、脳ミソが露出しているのだ。


 あそこを狙って攻撃すれば、撃退どころか討伐も可能だろう。


 脳さえ破壊すれば、奴の息の根を止められる!

 この期を逃す手はない!


 俺たちは前進を続け、超大型ドラゴンに右斜めの背後から肉薄する。

 奴の尻尾は大きく、当たればそれだけで重傷を負うだろう。


 まっすぐ背後を狙うのは危険だ。


「全騎! 回り込んで奴の頭部を狙う! 先生は弓で狙撃。俺たちは単発魔法で──」


 言い終える前に超大型ドラゴンの頭部が空高く浮上した。

 奴は四つん這いの姿勢から二足歩行へと移行し、街へ進行を開始したのだ。


「た、立ちましたわ!?」

「やっぱり、そう簡単にはいかないわね」


 ローエさんとフランベール先生がそんな声を上げる。

 弱点である頭部を守るためか、奴は姿勢を高くしてきた。


 四つん這いの時が三十メートルほどだった。

 だが二足歩行で立ち上がった今、超大型ドラゴンの大きさはもはや七十メートル以上。

 

 高すぎる。

 頭部が手の届かない遥か上空にいる。

 これではいくら先生の弓でも攻撃が届かない。

 曲射で狙わせるのも無理があるだろう。

 敵もジッしているわけではないのだから。


 くそ。

 どうにも都合よくいかないな。


「隊長! どうする!」


 カティアさんの問い。

 答えは決まっている。

 こんな巨大なドラゴンを相手に一人一人の攻撃なんて無意味だ。


「転倒させて弱点の頭部を下ろさせる! 奴の右足に同時攻撃! 今持てる最大パワーの攻撃を叩き込んでやれ!」


「了解だ!」

「了解よ!」

「パワーなら得意分野ですわ!」


 俺たちは横一列に並走し、合わせて加速する。

 超大型ドラゴンの歩調とタイミングを見て合わせ、全員が武器を展開。


 街へと一歩踏み出す超大型ドラゴンの大脚が、大地を踏んだ。

 刹那、俺たちは加速させていた足をさらに加速させ、一気に肉薄する。


 全員が武器を握り締め、渾身の力を溜める!


「うおおおおっ!」

「はああああっ!」

「こんのおおっ!」

「アイスアロー・ショット!」


 解き放たれた全力の攻撃。


(ドラゴン)斬り】が、

 バスターランサーの爆破が、

 マグナムハンマーの爆砕が、

 氷矢の散弾が、

 超大型ドラゴンの大脚に叩き込まれた!


 重なった衝撃は超大型ドラゴンを見事によろめかせた。

 結果、ついにはその巨体を大地に転倒させることに成功。


 痛みを感じたのか、超大型ドラゴンは雄叫びを上げながら崩れる。


 肝心の頭部は長い首と共に第二城壁に落下。

 その二十メートルの壁を破壊しながら地面に激突する。

 俺たちの目前には巨大な背が落ちてくる形になった。


「よし! 奴に張りつけ!」


 俺は号令を掛けてからそのむき出しの背に飛び乗った。

 しかし次の瞬間には、もう超大型ドラゴンは態勢を立て直し起き上がってきた。


 驚くほど早い復帰に、カティアさんたちが敵の背に乗り遅れてしまう。


「こいつ! もう起きて!」


 カティアさんが驚愕する中、俺は超大型ドラゴンが態勢を起こしたせいで落ちそうになっていた。

 足場が斜めになり、転げ落ちそうになる。


「うわっ! とっ!」


 その背は鋭利な鱗が多数あり、掴まるところはたくさんあった。

 近くの出っ張った鱗を掴んで、斜めになっていく地面に対応する。


「くそ! 起き上がるのが早いんだよ!」


 ドラゴンには届かないであろう愚痴を俺は吐いた。


「隊長!」

「ゼクード!」


 下から聞こえてくる部下たちの声に「大丈夫だ! このまま頭部を目指す!」と大声で返す。


 足場の甲殻はザラついている。

 掴んでいるこの甲殻も同じで滑りやすい。

 そのくせ圧倒的な重厚さを感じさせ、並の攻撃では通用しないことを暗に知らしめてくる。


 現に先ほどの四人同時攻撃でも、大した傷はつけられなかった。

 やはり望みは頭部の脳の破壊だ。

 このまま背中から首まで一気に駆けて抜けて、頭部を目指す!


 思い至って走ろうとするも、超大型ドラゴンが二足歩行の態勢に戻りきり、俺の足場は立ってすらいられない急斜面と化した。


「ぐっ!」


 慌てて俺はロングブレードを甲殻と甲殻の隙間に突き刺し、落とされないようにした。


 たがその突き刺した痛みを感じたらしく、超大型ドラゴンはいきなり前進をやめてその場で吠えて暴れ始めた。

 背中の異物を払い落とさんと身体をくねらせ振り回す。


「うおわっ! 暴れんなこのやろう!」


「た、隊長!」

「おい大丈夫か!」


 振り回される俺を見かねて慌てるローエさんとカティアさん。

 だが暴れるその巨体は彼女たちをまるで寄せ付けない。

 しかもその暴れる動作によって振り回される尻尾が周辺の城壁を破壊していく。


 もちろん騎乗している俺なんて遠心力で全身が吹き飛ばされそうだ。


 やばい……っ!

 振り回されて走るどころじゃない。

 ロングブレードから手を離したら、そのままぶっ飛んでいく。


 どうすれば……っ!


 ドスッ!


 何か鈍い音がしたと思うと、超大型ドラゴンが悲鳴のような雄叫びを上げて顔を天へと(あお)ぐ。


 なんだ!?

 どうしたんだ急に!?


 見ればドラゴンの右目から血が吹き出していた。

 何かが突き刺さったみたいだ。


 助かった。

 おかげで暴れまくっていた超大型ドラゴンの動きが鈍った。

 これなら!


「ゼクードくん急いで! 傷が治り始めてるわ!」


 その声はフランベール先生だった。

 どうやら先ほどのは先生による援護射撃だったようだ。

 いつの間にか半壊した第二城壁へと登り、超大型ドラゴンの目を狙撃してくれたらしい。


「了解!」


 俺は先生にそう返し、背中から首へと走り抜けていく。

 そして先ほどの先生の言葉で思い出した。

 この超大型ドラゴンには再生能力があることを。


 しかもまだそんなに経ってないのに治り始めているとは。

 驚異的な再生力だ。

 頭部の傷がふさがれば、こちらに勝機はない。


 急げ!


 長い首を駆け抜ける俺を無視して、右目をやられた超大型ドラゴンは第二城壁にいるフランベール先生めがけて前足を薙ぎ払ってきた。


「くっ!」


 後ろへ飛んでそれを避けるも、それによって生じた突風がフランベール先生を襲った。


 その突風の力は凄まじく、巻き込まれたフランベール先生は身体ごと吹き飛ばされた。

 そのまま地に足が着かずに二十メートルもある第二城壁から落ちそうになる。


「きゃああっ!」

「先生!」


 叫んで現れたのはカティアさんだった。

 いつの間に城壁の上に?


 カティアは落下寸前だったフランベール先生の手を掴み、間一髪のところで引き寄せ救出した。


 良かったと安堵する一方で、ドラゴンの攻撃はまだフランベールに向けられていた。

 超大型ドラゴンは大口から隕石のような火球を発射!


 着弾地点にはカティアさんとフランベール先生──それからもう一人が割り込む。


「やらせませんわよ!【エアフォース】!」


 風の魔法を発動したローエさんが立ちはだかる。

 マグナムハンマーに緑のオーラが漂い始めた。

 風力を付与(ふよ)する魔法だ。


 同時にローエさんは力を溜め、最大のフルスイングを迫り来る火球に合わせて振り抜いた。


「お返ししますわ!」


 武器に付与された風力により、火球を起爆させずに弾き返す。

 腹部に着弾した火球は大爆発を起こし、超大型ドラゴンの巨体を激震させ怯ませた。

 乗ってる俺も同じく。


「今ですわ隊長! 急いで!」


「おう!」


 頼れる部下たちの支援により俺はドラゴンの首を前進することができた。


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