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第54話【ローエの恩返し】★

「リーネさん。その話、詳しく!」


「た、隊長! そういうのはやめてほしいですわ!」


「えーだって気になるんですもの。リーネさん詳しく!」


「実は──」


「ちょ、ちょっとリーネ! やめて! なに!? いったい何を言うつもりなんですの!?」


「まぁまぁお姉様。これはゼクードさんにちゃんと伝えておいた方が絶対に良いですよ」


「え?」


 ローエさんが怪訝な顔をした。

 リーネさんは構わず俺に視線を向ける。


「ゼクードさん。お姉様は言ってました。自分が今こうして笑っていられるのは隊長のおかげだって」


「!」


「え、俺の?」


「はい。もしあのときフランベールさんが死んでいたら、自分はもう笑えなかったと、そう言ってました」


 言われた俺はローエさんを見た。

 目が合ったローエさんは頬を赤くして視線を逸らす。

 もちろんフランベール先生の視線も。


「そして私もそう思います。自分が助かっても、そのために誰かが犠牲になってたら、こんな風には喋れませんでした。だから、お姉様の分も含めて、もう一度感謝を御伝えします。ゼクードさん……本当に、本当にありがとうございました」


 リーネさんは深く頭を下げた。

 

 そうか。

 そうだよな。

 フランベール先生が死んでたら、俺だけじゃなくみんな不幸になってたんだ。


 そう思うと、改めて間に合って良かったと思う。

 誰一人として欠けなくて本当に良かった。


「このご恩は必ず御返し致します」


「いえリーネさん。その御言葉だけで十分ですよ。それに恩返しならローエさんがしてくれるみたいですし、ね?」


 チラッとローエさんを見ながら言うと、ローエさんは当然と言わんばかりの笑顔を見せてくれた。


「もちろんですわ隊長。楽しみにしていてほしいですわね」


 笑顔のままウインクしてきたローエさん。

 死ぬほど可愛い……。

 これは期待してもいいのかな?


 どんな恩返しをしてくれるのだろう。

 ……案外とドアノブの修理だったりして。

 まさかね?


※


「見てくださいな隊長! ドアノブを新調(しんちょう)いたしましたわ!」


「……」


 それは俺の自宅前でのこと。

 恩返しが『ドアノブ修理』という俺の予想がまさかの的中だった。


 あぁ、凄いピカピカなドアノブだ。

 自分で直すって言ったのに……あ、違う、大工さんに頼もうと思ってたのに。

 

「良かったな隊長」

「良かったねゼクードくん」


 カティアさんとフランベール先生が言ってきた。

 二人もこの恩返しが意外だったのか、ちょっと苦笑気味。


「というか、なんでドアノブ壊れてたの?」


 何も知らないフランベール先生が聞くとローエさんがドキリと身体を震わせた。

 しかしカティアさんが。


「実は今朝、隊長の家に泥棒が入ってたんです。そいつがドアノブを破壊したんですよ」


「え!? そうなのゼクードくん?」


「えっとぉ~……そうですね。はい」


 本当はローエさんなんだけどね。壊したの。


「何か盗られてなかった? 大丈夫?」


「大丈夫でしたよ。カティアさんとローエさんが捕まえてくれてたみたいで被害なしです」


 自宅内は荒らされてたらしいが、カティアさんとローエさんが綺麗にしてくれてもいた。

 ありがたやありがたや。


「なら良かったわ」


「それで今日はどうする隊長? まだ疲れてるんじゃないのか?」


 カティアさんに言われて、俺は素直に頷いた。


「そうですね。ぶっちゃけまだ眠気残ってるんで、今日はもう一回寝たいです」


「それでしたら今日はもう解散ですわね」


「うん。じゃあわたしも今日はゆっくり休もうかな」


※


 部下のみんながそれぞれ帰路につくのを見送ってから、俺は新品のドアノブに手を掛けて自宅に入った。

 回しやすい。鍵も掛けやすい。

 やはり新品はイイナー(棒)。


 内心ショックを受けている自分がいた。

 お金持ちのローエさんならもっといいお礼をしてくれると勝手に思ってたからだ。


 俺は装備を外して私服になり、ベッドに横たわった。

 とりあえず寝よう。


 こんこんこん……


 ん?

 ノック?

 誰だ?


「隊長……ローエですわ」


 あれ、ローエさん?

 帰ったんじゃ。


「はいはい。今開けますよ~」


 俺は鍵を開けてそっと扉を開く。

 するとそこにはいつものローエさんが立っていた。

 なぜかモジモジして顔を赤くしているが。


「ローエさん。どうしたんですか?」


「あの、カティアさん達はいません?」


「え? ええ。もう帰りましたよ」


「よかった……お邪魔してもよろしいですか?」


「あ、はい。いいですけど」


 どしたんだろローエさん?

 

「お邪魔しますわ」と言ってローエさんは中へ入ってきた。

 玄関を閉めると、ローエさんはその扉の鍵を閉めた。

 まるで誰も入ってこられないようにしたようだ。


「先程はすみません隊長。でもわたくし、こんなドアノブの修理だけで恩返しが出来たとは思ってませんわ」


「え?」と俺はローエさんを見ると、彼女はさらに顔を赤くして俯(うつむ)いた。


「その、いろいろ考えたんですわよ? でも隊長が喜びそうなものって、他に分からなくて、何を贈ればいいのか、本当に分からなかったんですわ」


「あ、それは、なんか、すみません」


「い、いえ! 責めてるわけじゃありませんわ! ただその、隊長は身体を張ってリーネや先生を救ってくれたのだから、わたくしもそれ相応に身体を張らねばと思いましたの」


 え、それってつまり……。


「で、ですから隊長! 今日の恩返しは『わたくし自身』ですわ!」


 とんでもない大胆発言だった。

 しかもローエさんは顔面を真っ赤にして恥じらい、全身を緊張でガタガタと震わせている。


 汗もすごい。

 よっぽど自分の発言に恥じらいを感じているようで、彼女の真っ赤な顔から湯気(ゆげ)さえ上がっている。

 凄い光景だ。


「わた、わ、わたくしで良ければ、好きにして構いませんわよ? きょ、今日だけ!」


 だけど、恥じらいながらも必死に恩返しに尽くそうとするローエさんは美しく、また素敵な人間だとも感じた。


「え、と。じゃあローエさん」


「は、はい! なんでしょう!」


「眠いんで、また膝枕してくれませんか?」


「え!?」


「ローエさんの膝枕、めっちゃ気持ち良かったんで」


「──……そ、それでいいんですの?」


「良いですよ。お願いしまーす」


 甘えるような口調で言ってみると、当のローエさんはどこかホッとしたように胸を撫で下ろした。


「わかりましたわ隊長。よろこんで」




※西脇るい様から、ついに三人目の水着!

カティアさんのイラストを頂きました!


挿絵(By みてみん)


カティア(く、こんな布切れ……男の目の肥やしになるだけじゃないか)


ゼクード「うおおお!カティアさん素敵です!素敵ですよおおお!笑ってください!そしたらもっと綺麗ですから!」


カティア「……こうか?」


ニコッ


ゼクード「いい!いいですよカティアさん!その顔!そのポーズ!素晴らしい!」


カティア(……まぁ、隊長(こいつ)ならいいか)


※


挿絵(By みてみん)


また描いて頂きました!

ついに三人揃っての水着!

カティアさん水着のデザインけっこうガチですよね!

ゼクードに選んでもらったのかな?

爆発しろ。


とにかく西脇るい様!

素晴らしいイラストを本当にありがとうございました!

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