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第52話【S級騎士の敷居】★

「え? わたし達じゃなくてゼクードくんが呼ばれてるだけなの?」


 それは街中を移動している最中の会話で、フランベール先生が驚いたときだった。

 そして頷いて答えたのは俺でなく隣のカティアさん。


「そうなんです。ただうちの隊長は国王さまに怒られるのがどうしても嫌みたいで」


「そんな子供みたいに言わんでくださいよ」と俺。


「15才は子供だろう」


「ム? カティアさんだってまだ17才だから子供じゃないですか」


「お前よりは大人だ」


「あ~【(ドラゴン)突き】の件。どうしよっかな~」


「な! おいちょっと待て! おまえ私に【しっかり付いてこい】って言っただろう! 今さら無下にするのはダメだぞ!」


 冗談に決まってるのにカティアさんったら。

 可愛いなぁ。


「【(ドラゴン)突き】ってなんですの?」


 やはり気になったらしいローエさんが聞いてきた。


「ああ、いまカティアさんに教えてる【(ドラゴン)斬り】の突き型ですね。今後はローエさんとフランベール先生にもこの【(ドラゴン)剣技】を指導していきますから覚悟してくださいね?」


 少し脅しのつもりで言ったのだが。


「あら! それは嬉しいですわ!」


 っとむしろ喜んできた。

 考えてもみれば当然の反応か。


「わたくし達も隊長のように強くなれますのね!」


「そうです。強くなってもらいます。みんながS級ドラゴンに対抗できるようになれば、今後の狩りが絶対に楽になるはずです」


「そうだね。これさえ習得すればS級ドラゴン相手でもゼクードくん任せにならなくて済むんだ。がんばらなくっちゃ!」


「そうですわね! がんばりましょう先生!」


「うん!」


 ローエさんとフランベール先生が本当に嬉しそうに笑い合う。

 

 そうだ。

 この二人は少し前に黒いS級ドラゴンに太刀打ちできず、悔しい思いをした二人だった。

 強くなれることを喜び合うのはむしろ当然か。


 みんなのヤル気も十分だし、部隊の強化は案外とすぐに上手くいきそうだ。



【エルガンディ王国】の城に着いた俺たちは【謁見の間】へ赴いた。

 国王さまが玉座で待っていた。

 俺たちは王の御前でひざまずく。


「おはようございます国王さま。【ドラゴンキラー隊】隊長ゼクード・フォルス。以下3名参りました」


「うむ」


 国王さまが腰を上げ、俺の後ろで跪くカティア・ローエ・フランベールを一瞥して疑問気な顔をする。


「……なぜ部下まで連れてきたのかは知らんが。ゼクードよ。二体目のS級ドラゴンの討伐。誠にご苦労であった」


 あ、やっぱり怒ってる様子はない。

 やったぜ。


「身に余る御言葉です」


「うむ。だが、今回のような無断の出立は二度とするな」


 やっぱり怒ってた。

 仕方ないか。


「はい。申し訳ありません国王さま」


「今回は運が良かったと思え。もしお前の留守中にS級ドラゴンがここを襲撃していたらどうなっていたか」


 フランベール先生は助かっても【エルガンディ王国】は壊滅して、大勢の人間が死んでいただろう。

 考えただけでもゾッとする。

 運が良かったと言う国王さまの御言葉は本当にそうなのだ。


「……本当に、申し訳ありません」


 それしか言いようがなかった。

 頭をしっかりと下げ、今後は自覚を持って慎重な行動を心掛けようと決意する。


 すると国王さまがフゥと大きく一息ついてきた。


「いや、すまんなゼクード。……お前も部下の事で頭がいっぱいだったのだろう。本当は、お前がいなければ立ち()かない我々こそ反省せねばならんのだが……」


 その国王さまの御言葉は、周囲の人間たちの息をグッと詰まらせた。

 もちろん……俺の背後にいるカティアさんたちも。


「昔はフォレッドに頼りきりだった。だから今回こそはそうならないよう努めたが、結局はお前の強さを頼りにしてしまっている。本当にすまない」


「陛下。一国の王が頭を下げてはなりませんぞ」


「わかっている」


 そんな大臣と国王さまのやりとりを聞きながら、俺は思った。

 フォレッド──親父が頼りきりにされながらも【エルガンディ王国】のために最後まで戦った理由。

 それは、親友である国王さまのためもあったのかもしれない。


 たぶん、なんとなくそんな気がするのだ。

 この国王さまのためなら、さすがの俺でも戦っていいと思えるほどだし。


「それでだなゼクード。お前は誰もが認める『国家功労者』だ。事が落ちつき次第、様々な報酬を用意する。身分・土地・資金と全てを約束しよう」


「そ、そんなにですか!?」


 あ、これならフランベール先生やカティアさんやローエさんを嫁にしても大丈夫なんじゃ?


「うむ。当然だ。お前の父の恩賞もあるのだからな」


 親父の恩賞?

 そうなんだ……てっきりその恩賞って騎士学校の費用が俺だけ無料になってたからソレだと思ってた。


 あと月一(つきいち)で国から生活費が支給されるのもソレだと思ってた。

 あ、いや、あれは孤児手当てだったかな?

 婆ちゃんが死んでから貰えるようになったし。


「ありがたき幸せ。陛下のお心遣いに感謝致します」


 知ってる敬語をフル活用して失礼のないようにしっかり答えた。

 

「今すぐ用意してやれんのが心苦しいがすまない。お前にやろうと考えていた土地もあの青いS級ドラゴンの攻撃で穴だらけになっているんだ。もう少し待ってくれ」


「そんなの後回しにしてください。国の復興が最優先ですよ国王さま」


 またS級ドラゴンが来て、せっかく貰った土地が穴だらけになっても嫌だし。


「そう言ってくれると助かる。下がってよいぞ」


「はっ!」


 俺が立ち上がるとカティアさんたちも習って立ち上がってきた。

 揃って踵を返し【謁見の間】を去ろうとする。


「あ、待てゼクード」


「はい?」


 国王さまに呼び止められ、俺は振り返る。


「お前の持つ【(ドラゴン)斬り】なのだが、他の騎士たちにも伝授はできんか?」


「できないことはないと思いますけど、かなり時間を要しますよ」


「どれくらい掛かる?」


「早くて一年かと」


「そんなにもか?」


「はい。俺の部下であるカティア・ローエ・フランベールほどの技量と身体能力があるならまだ短縮できますが、A級クラスの騎士ではまずそこまで持っていくのが大変です。父の【(ドラゴン)剣技】は高い武器の技量と高い身体能力から引き出せる鋭い【気】によって成り立つ技なので」


「そうか……。騎士の養成。早くても一年。……それだけの期間、奴等が待っていてくれるなんてあるわけないか」


 国王さまが横目で大臣を見やりながら呟くと、大臣は小さく頷いた。

 暗くなる二人を前に、俺はさらに口を開く。


「ですから国王さま。これから俺は部下の三人にこの【気】を引き出す鍛練を開始するつもりです」


「ほう?」


「彼女たちが【気】を引き出せればS級ドラゴンの堅い鱗を貫通させることができるようになると思います」


「彼女たちならすぐに完成させられるということか?」


「はい。カティアさんたちはもとから身体能力が高いので【気】を引き出すのもそれほど困難ではないはずです」


「うむ。ならば頼む。S級ドラゴンに対抗できる戦力は一人でも多い方がいい」


「おっしゃる通りです」


「……カティア・ルージ。ローエ・マクシア。フランベール・フラム」


「はっ!」と名を呼ばれた三人が姿勢を正す。


「国のためにも、ゼクードの負担を減らすためにも、どうか頑張ってくれ」


「はい!」


 女騎士の三人は鋭くやる気に満ちた返事をした。

 それで国王さまは安堵したような顔になる。


「呼び止めてすまなかった。さぁ、下がってよいぞ」


「失礼致します」


 俺はそう言って【謁見の間】を今度こそ去った。

 しかし去り際にこんな会話が聴こえた。


「今後の騎士たちの養成には【気】を引き出す前提の鍛練を積ませる必要があるな」

「そうですな。あとS級騎士になるための最低条件にするのも手かと」


 うおぅ、なんかS級騎士になるための壁がめっちゃ高くなってしまった!


 ……でもまぁ、今後の事を考えたら当然か。


またもや西脇るい様からイラストを頂きました!


挿絵(By みてみん)

フランベール「これ水着って言う水浴び専用のものらしいんだけど、どうかなゼクードくん?」


ゼクード(尊い……)「さ、最高です先生……(鼻血)」



胸も下もタプタプな【蒼騎士(ブルーナイト)】のフランベール先生です!

美しいですね。やはり先生は水色が似合う。

なにげに際どい布の面積がやばいですね!


西脇るい様!

二度ものご厚意を感謝します!


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