化け物の生まれた夜
とても遅くなってすみません。また楽しんでいただけると嬉しいです。
目を覚ますと、暗闇に立っていた。初めて見る場所なのに、どこか知っているような気がして、ふと呟いた。
「此処はどこだろう?」
「さあ、俺も知らねーよ。」
返事が返ってくると思ってなかったので、とても驚いた。後ろを振り向くと、血のような色の髪と、同じ色の瞳の青年がいた。
「よう。漸く会えたな!」
「君は…だれなんだ?」
「それすらも俺は知らねーんだよ。てかそれよりも、急いでお前に聞きたいことがあるんだよ。」
「は?」
急に聞きたいことがあると言われて、驚いてしまう。
「お前は力が欲しいか?大切な者を守れる力が。」
「何を言ってるんだ?」
思わず聞き返す。
「いいからさっさと答えろ!いるのか?いらねえのか?」
「いや、だから…」
「早くしねーと、花咲が死ぬぞ。」
花咲が死ぬと聞いて、色々なことが整理されて、頭の中がすっきりしてくる。
「その力があれば、花咲を助けられるのか?」
「ああ。」
「僕の大切な者を守れるのか?」
「そう言っただろ。」
大切な者を守れる。それだけで、他のどうでもいいことはなくなった。
「なら…、僕は、その力が必要だ。」
その答えを聞いて、青年は顔を歪めて笑った。
「そんじゃ、交代だ!」
また意識が途切れていく。最後まで、青年は笑ったままだった。
花咲玲は、死を覚悟していた。武器もなく、動けない上に、仲間が来るまでに時間がかかる。この状況では、助かることなどないと思っていた。それでも、司だけは助けようとしていた。彼も重症で動けないが、自分が食われている間に仲間が来て、助けてくれるだろうと。
しかし、彼女にも予想のできないことが起きた。動けない筈の司が、ゆらりと立ち上がったからだ。右目は血の色に染まり、ニヤリと笑っている。花咲は、寒気がして体が動かないことに気づいた。
「おい、化け物。そいつから離れろ。」
いつもとはまるで違う口調で言うと、ゆっくりとこっちへ向かってくる。感染者も、おかしいと感じて振り向く。振り向いた時には、拳が目の前にあった。反応することもできずに吹っ飛ぶ。
「グギャァ…」
感染者が呻き声をあげる。それを聞き、司はさらに笑う。感染者に近づき、頭を鷲掴みにして、一言呟いた。
「食わせろ。」
後に聞こえてきたのは、肉を貪り、骨を噛み砕く音だけだった。
司は食らい続けた。その光景を、上から見られているとも知らずに。