第二章
ようやく本編。ようやく?
第二章 大戦の開幕と反撃
さて――演習から一週間が経ち、作戦が決行される日が来た。
「コード・アレグロを開始します。」
奇しくもギアの誰もが望まない、対人戦だった。
「アヴァランチよりヴァイアラン。敵部隊接近を確認」
「ヴァイアラン、了解。フェイズワン、開始」
「了解」
「OK」
まずは、俺とディーヴァが、加速。
「て、敵襲!」
ギアが勝手に翻訳する。
気づいたか――だが、もう間合いだ。逃れるすべなど――
「はあぁっ!」
――皆無。一刀両断。血の花が咲く。独特の感触に顔をしかめ、胸が締め付けられる。
「くそ、司令部、応答しろ、アルファワンだ! 敵の部隊が――あああああぁぁっ!」
ディーヴァが部隊長らしきパワードスーツ兵を排除する。
その他の兵士たちは全力で走り去る。いい判断だ。だが。
ザシュンッ!
ヴァイアランの正確無比な弾丸は脳天を貫く。血が宙を舞う。それはそれが血でさえなければ一つの芸術のように感じられた。
――その後、わずか五分で敵を制圧した。
「ヴァイアランより、マスター。フェイズワン終了」
「こちらマスター、了解。フェイズツーへ移行してください」
「了解した」
移動を開始する。前から、俺、ヴァイアラン、ディーヴァと並ぶ。
そして、それは見えてきた。瓦礫の白と血の赤が混在する戦場にただ一つあるどす黒い染み。それは――戦車。口径の大きいレールガンを主砲にし、どっしりと構えるそれのプレッシャーはすごい。
重そうな雰囲気とは真逆。以外にも俊敏に砲塔が、動く。
「散開ッ!」
ヴァイアランの怒号で、動く。
虚空を弾丸が貫く。そして、ビリッという音が遅れて響く。
「ディーヴァ、ここはお前の戦場だ。ここを制圧しろ」
「了解」
「アヴァランチ、行くぞ。本部を叩く」
「わかった」
背後からくる衝撃を感じながらも、進撃する。
そして夕日を受けながらもそれを見つけた。
「アヴァランチ、ここから狙撃する。突撃しろ」
言われるがままに、急加速。のしかかるGなど気にしない。
ギアの加速性能を何とか制御し、中隊の中に突っ込む。
「何が起きた!」
「あいつです、あれが例の――」
「総員、かかれ! 狙撃手は味方にまかせておけ」
「了解!」
多数の刃、銃口。だが、それも脅しになればいいほうだ。
弾丸が吐き出されるコンマ一秒前に、銃口を叩き斬る。そのまま押し倒し、次の動きにつなげる。
ふと、円陣を組むようにしているのに気づく。――囲まれたか。だが――
ギアの機動力の前でそんなも
ワイヤーが放たれる。そして、迸る電流。意識が白く染まる。だが。普段通りに体は反応してくれた。
ワイヤーを切り、さらに拘束用だろうアンカーをもまとめて突貫。
驚いたように目を見開いている。そのまま返す刀で、一機。そしてナイフを投げ――合計三機減らす。
「何をしている、かかれ!」
くそ。まだ来るのかよ、どんな考えをしている。
感情に刃を任せる。放たれる銃弾は無視して加速。多少被弾はするが、影響はない。
ライフルと、腰にあるダガーを吹き飛ばす。さらに、関節部を破壊し、戦闘力を奪う。
「くそっ、撤退しろ!」
「アヴァランチ、こちらは終わった。そちらは?」
ディーヴァから通信。
「今終わった――ヴァイアランもか」
「グッジョブ、アヴァランチ」
そして通信は切れる。
改めて、周りを見る。赤く、大きな月。黒く汚れた空。そこには、昔見えていた星々の影もない。視線を下ろす。そこには多数の死体と、瓦礫。そして何より――燃え盛る死体。とても言葉では形容しがたい、しいて言うなら、地獄。
あの死体の中には市民がいた、ということを考えると心が痛む。
「アヴァランチ、片付いたぞ」
「了解。ディーヴァも終わったようだ」
「そうか、なら――フェイズスリーに入るぞ」
「OK」
爆風が聞こえたが、特に異常はない。
赤を背に加速して去る、その光景は。どこか美しく、また儚いものだった。
正直、バトルシーン多量ですので(書き溜めているのは)、どうしようかなと。