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レクイエム・オブ・ギアーズ 第一部 最後の戦争  作者: 舞原涼
第四章 失ったもの、その代償に
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コード・リピートワン(2)

「おいッ! しっかりしろディーヴァ。お前はまだ――」

意識が一瞬戻る。あの彼が、俺の顔をのぞき込む。全く。どんだけ仲間思いなんだか。まあ確かに、まだ死なないさ。でもよ――俺はこの作戦で死ぬ運命にあった。というより、そのために出撃した。この戦いの後――パンドラが出現するという可能性があるから――らしいが。

「dyeva system auto sleep mode」

システムを自主凍結し、俺は、眠る――

なつかしい、あいつら。もう死んだであろう彼らは、俺を見て、なんて言うだろうな――? いやまだ死んでないか。まあ、死んだも同然だがな――さようなら世界。さようなら、お前ら。俺は――


必死に叫んだ。

喉から血が出ても叫び続ける。

だが、彼は戻ってこない。体が急激に冷える。力を失い、重くなる。

――彼は、死んだ。

「てめえらあああッッッッッ!」

絶叫、そして突貫。奴らの武装をはぎ取る。そして――

「avalanch system auto personal limit over open」

解析。装甲が再形成される。

――機体に武装が追加される。サブアームではなく、多数の重火器が。

それは、ディーヴァの物と同じ。目の前の敵を睨む。視界が、歪む。

――こいつらが、憎い。戦いを生み、そして犠牲には目も向けず。ただ、陣営がどうのとかそういうので抑えることができないどす黒い感情。それが、俺を蝕む。

視界がぶれ、きらりと光る液体が空を舞う。

「――死ね。このくそ外道どもがああっ!」

刀を乱暴に振るい、装甲を割る。一機を戦闘不能にし、それを蹴り飛ばし、加速。

「ひいっ――!」

悲鳴を漏らす敵に向かって、突進。重火器が火を噴く。

さらに周りの特攻用ポッドを蹴り、破壊しつつも突貫。今度はタイミングをずらし、奴の間合いから一度引き――全砲門開放。

一瞬、明るすぎて何も見えなくなる。だが、視界が開けた後には、ギアが四機いた。

装甲を通常時に戻し、彼のもとへ。

傷ついた装甲に触れる。血がべっとりとつく。彼の青い顔。それは、この世の暖かみを感じさせず。俺の頭の中が真っ白に染まる。

またか。また俺は人を失うのか。この前は力がなかった、そういえばよかった。今回は? 俺に守れるだけの力はあったはずだ。なのになぜ――俺は、彼を、失った?


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