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高校進学後も真冬の成長はとどまることを知らず、魔術の腕は周囲を驚かすほどのものになっていた。
そしてここでも学年トップの実力をもって卒業したのだ。
しかし問題があるのはその後だった。
皐月真冬の行方が分からなくなってしまったのだ。
それは幼い冬夜には壮大な事件だった。
両親が海外にいるため姉と二人暮らしだった冬夜は、唯一いつでも会える家族を失ってしまったのだ。
相当なショックを受けたのか、彼はしばらくは塞ぎ込んでしまったくらいである。
その事件から1月後に更に問題が積み重なる。それは冬夜に真冬から連絡が届いたのだ。
ようやく落ち着きを通り戻していた冬夜であったが、これには驚きを隠せずまともに会話すらできないほどだった。
その後は定期的に真冬から連絡が来るようになったが、どんなに調べようとも姉の居場所は特定できなかった。
いつからか冬夜は彼女の居場所を探ることを諦めていた。
――――
「まぁそんな重大なことじゃないだろ」
「私にとっては上司からの信頼にかかわる重大なことなんですけどねぇ……」
神崎は額に手を当ててやれやれといった感じの素振りを見せる。
冬夜が気にしていたのはもちろん真冬のことである。
元々突拍子もない事をしてきた姉だ。
急に転校しろと言っても困るし不思議でもあるがどこか納得してしまう。
「なんか話がかみ合ってない気がするんだけど」
「おや?そうでしたか。いやー私にはまったくわからなかったです」
「一気にお前のことが信用できなくなったよ」
疲れていく凍夜とは対照的になぜか神崎はどんどんイキイキしていく。