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「最近の若い人は怖いですね。怒ったかと思うと急に落ち着いたり忙しいですね」
「余計なお世話だ!」
これ以上この話を引っ張るのは無意味だと判断した冬夜は話を元に戻す。
それに聞きたいことは山ほどあるのだ。
今は少しでも多くのことを知りたい。
「それで、俺に魔術学園に来てくれって話だったか?」
「はい。一応確認なんですが来てくれますよね?」
神崎の自信がどこからそんなに湧いてくるのかわからない。
言い方としては既にそうなることが決まっているとでも言っているほどだ。
「いや、その聞き方はおかしいだろ!俺がまるで断らないとでも言いたげじゃないか」
「当然でしょう。あなたを学園に連れてくるように頼んだのはあなたの姉ですからね」
「ちょ、ちょっと待ってくれ姉さんはそこにいるのか!?」
営業スマイルと言わんばかりの笑顔で伝える神崎に冬夜は声を上げて反応する。
「生憎学園にはいませんね。手紙で送られてきただけらしいので。
そもそもその手紙を受け取ったのが学園長で、私はただ君を連れてくるように言われただけなので詳しいことはすいませんわからないです。」
「い、いやこっちこそ声をあげてすまなかった」
冬夜は大きく深呼吸をすると今起こったことをゆっくり整理し始めた。
――――
まず皐月冬夜の姉。皐月真冬について考える。
彼女は中学に入るか入らないかの時に魔術の才能が開花し、普通の学校には行かず魔術学園に進学した。
今思うとそれがすべての始まりだったのかもしれない。
中学に入り他者との差が出てくることにより、あることがわかった。
彼女はいわゆる天才と呼ばれる部類だったのだ。
その後も魔術の腕は上がり続け、気が付けば学年でもトップレベルの実力で中学を卒業。
その後聖鳴学園に進学したのだ。