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「この魔術の範囲と呼べるものはですねとても簡単なんですよ。皐月君は死んだ人をよみがえらせることはできますか?」
「そんなの無理だな。と言うかしちゃいけないと思うが」
「その通りです。じゃあ詳しく説明していくますが授業風になってしまいますが、ちょっと我慢してくださいね。そこそこ長くなりますので――――」
そこから神崎の説明が始まった。
魔術というのは、人間が行える事に限られるとのことだ。例えば、死者の復活や時間を止めたり進めたりなど。他にもワープなど今後実現できそうにないものは全て魔術とは呼ばれないようだ。
その不可能な域まで達した魔術は魔法と呼ばれ、これを使える人間は数えるほどしかいない。
そして魔術を使う人を魔術師。魔法を使う者をそのまま魔法使いと言う。
「ではここまでは大丈夫ですか?」
「えーと用は魔術ってのは人ができることで、魔法はできないこと。だけど魔法を使えるすごい奴がいるってこと?」
それで結構ですと言うと神崎は再び説明を始める。
魔術師は古風な人が多い。というか魔術を崇拝――一種の宗教のようにとらえてる人もおり、その人たちは現代の技術を嫌っている。
また、対照的に現代の技術を取り入れていこうという人たちもいる。
そしてこの人たちは互いに互いを嫌いあっているため常に争いが絶えない。
それゆえ、この学園もこの風潮に考慮し、第1学部・第2学部のように完全に隔離しているのだ。
「ということなんですねー」
「だから学部が分かれてたのか」
「すー……すー……」
二人が真面目に話している間に気が付いたら陽菜は冬夜の隣で寝ていた。
起こすと騒がれるのが目に見えているので、冬夜はそのまま寝ていてもらうことにする。