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ピピピピピピピピ――――
早く起きろと言わんばかりにうるさく鳴り続ける目覚まし時計をベッドに寝たまま少年、皐月 冬夜は止めた。
時計はいつも起きる時間とは違う時間を指している。
今日からはこれが通常の時間となるのだろう。
「なんだ、もう朝なのか」
けだるそうにしながらも彼はおきあがりカーテンを開けて日の光を浴びる。
まだ外は春の陽気とは言い難いが、最近はだいぶ暖かくなってきた。
ほんのり温かい日差しを浴び、寝ぼけ半分だった彼も目を覚ます。
「家から出たくなくなるくらいとてもいい天気だな。まぁ新生活の始まりには悪くない天気だけどね」
そう言いつつ用意を進め、あとは着替えるだけというところまできた。
まだ袋から出したばかりの制服を手に取る。
「今日からこの制服か……まさかあの姉さんと同じ制服を着る羽目になるとは思わなかったな」
手にした制服は去年まで着ていた制服とは違う。
今まで着ていたものはクローゼットにかけてある。
3年使う予定だったそれは、1年でお役ごめんとなってしまう。
今日からは新しい学校へ通うことになるのだ。
「やっぱりあそこは気持ち悪いというか怖いというか。なんで制服のサイズピッタリなんだよ……」
学校には入学を決めた旨しか伝えておらず、生年月日をはじめとした個人情報すらちゃんとは伝えていないのだ。
制服のサイズなんてもってのほかである。
「ま、そんな細かいこと気にしても 仕方ないだろ。それじゃあ行きますか」
制服であるブレザーの袖に手を通すと少年は目的の場所へ向かうべく家を後にした。
そもそもなぜこのようなことになったかというと話は1,2週間前までさかのぼる。
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