案件 幽霊②
俺は田辺君と女性二人を座らせると話し始めた。
「それで、あそこで何があったんですか?」
「ひったくりです」
「ひったくりなら警察に……」
「その前に相手に蹴りを入れなきゃ気がすみません!」
「……」
どうしてこう強気な人間ばかりが来るんだ。
「とにかく聞いてください!あ、私、石川洋子と言います。それで、こちらが内藤千恵です。実はひったくりに合ったのは千恵ちゃんで、幽霊のように驚かされたんです」
「「幽霊!?」」
俺と田辺君の声が重なった。
「はい。あの道を歩いていたら、人魂のようなものが飛んできて、驚いたところに後ろから紙袋をひったくられたんです。人魂のように見えたのは、棒に何かを燃やしていたらしいんです。それで、ひったくられた紙袋には金目のものが入ってなかったので、その場に捨てて逃げて行きました」
「じゃあ、盗まれたものはなかったんですね」
「それはそうなんですが……」
「でも!千恵ちゃんの弟が作ってくれた粘土細工の人形が割れてたんです!千恵ちゃんの弟は病院に入院していて、せっかく作ってくれたのに……」
「洋子ちゃん……」
「河田さん!犯人を捕まえましょう!」
「……田辺君、君ねえ……」
でも、その犯人を捕まえれば、田辺君の依頼もこなせるということか。
「わかりました。なんとかしましょう」
「「「ありがとうございます」」」
さて、細工をするか。
「あ、田辺君、手伝って」
「えっ?俺勉強が……」
「本当の幽霊じゃないってわかったんだから、いいじゃないか。それに君も犯人を捕まえようって言ったでしょ」
「まあ、そうですが……」
「私!私、手伝います!」
「ああ、石川さん、お願いします。ひったくられる役って出来ます?」
「やります!」
「じゃあ、あとは……」
ピンポーン
「はい」
「河田さん、満の面倒見てくれて、ありがとー。助かったわ。みー君、帰るわよ」
「うん」
「あのう、浜本さん」
「またお願いするわねー」
「いや、浜本さん、満君を借りていいですか?」
「えー、どういうこと?」
「明日の夜一時間でいいんで」
「また預かってくれるんなら、いいわよー」
「……まあ、あと一日なら……」
「決まりね♪みー君、明日はお兄さんのところにお泊まりね」
「えっ?一時間でいいですから!」
「やーねー、冗談よ」
浜本さん、冗談に聞こえませんよ。