案件 紅葉①
トゥルルルル
「はい。便利屋KAWATAです」
『あの……失礼ですが、おいくつですか?』
「はい?私の年齢ですか?何かご依頼と関係あるんですか?」
『はい。実は二十代の男性がいいんです。出来れば素敵な人が……』
「あの、ここは私一人なんですが……一応二十代ではありますが、素敵かどうかはその方の主観によるものかと……よろしければ、事務所にお越しください」
『わかりました。これから伺ってもよろしいですか?』
「どうぞ。お待ちしています。あ、恐れ入りますがお名前を伺ってもよろしいですか?」
『あ、はい。木村です』
なんなんだろう。素敵な二十代とは……。俺がそれに当てはまるとは思えないな。あまりにも小汚ない訳ではないが、素敵な人とは言われたことはない。今回の依頼は無理だろうな。
ピンポーン
来たか。
「はい」
「あの、木村です」
「中へどうぞ」
木村と名乗った女性は、俺のことを眺め回した。なんとも言えない気分だ。品定めされているのだろう。可愛らしい感じだが、その目線には閉口する。
「とりあえず、座りませんか?」
俺は彼女を促して、お茶を出す。
どうせ今回の依頼はダメだろう。早々に引き取ってもらおう。
「それで、私をご覧になっていかがです?」
「はい!お願いしたいと思います」
え?どういうことだ?俺がお眼鏡にかなったということか?
「あの、ご依頼の内容は何でしょう?」
「はい。紅葉を見に行きたいんです」
「それで一緒にということでしょうか?」
「はい、バスツアーなんですが、一人では参加しづらくて……」
なるほど。そういうことか。それにしても、「素敵な二十代」はどうなったんだ?
「それで、私が同行してもいいと判断されたんですか?」
「はい。失礼ですが、私の好みではありませんが、あなたなら大丈夫だと思いました」
どういう意味だろう。俺も君は好みじゃないぞ。こんなんで一緒に行っても楽しめるのか?断りたい……。
「好みではないなら、別の方にお願いしたらいかがですか?」
「いえ、あの、時間がないんです。明日なんです」
また急ぎの仕事か!?
「いや、しかし……そんな急には……」
「……ダメですか?」
うっ、泣き落としか?
「ダメという訳ではありませんが……知らない人と一緒で楽しめますか?」
「私は紅葉を見られればいいので」
あー、そうかい。それなら仕事と割り切って引き受けるか。
「わかりました。引き受けます」
「本当ですか!?よろしくお願いします!」




