表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なんでも屋  作者: 奈月ねこ
19/26

案件 捜索②

 その猫の名前は「うめ」と言った。俺は猫の名前を呼びながら、探し始めた。


「梅、エサだぞ」


 俺は近所の生け垣や茂みの中、公園の中などを歩いて探した。しかし、見当たらない。仕方がない。聞き込みをするか。俺は道行く人へ聞くことにした。犬の散歩中などのいかにも近所に住んでいそうな人へ聞いて行く。


「すみません、この辺りで、ピンクの首輪をした三毛猫を見ませんでしたか?」


 俺は猫の写真を見せながら聞いていく。しかし、誰も知らないようだ。

 これはかなりの重労働だな。俺が公園にまたやって来た時だった。


「あれ?河田さん?」

「石川さん、どうしたの?」

「河田さんのところへ行く途中だったんですよ。それなのに、外で会えるなんて……これはもう運命ですね!」


 ……何の?


「悪いけど、俺は忙しいから……」

「手伝いますよ」


 ……確かに人手は欲しい。どうするか……。


「河田さん、どうですか?」

「山岸さん、警察へは?」

「はい。今届けてきました。あの、その方は……?」

「ああ、彼女は……」

「河田さんの助手です!」


 俺の言葉に被せるように、石川さんは言い切った。ああ、またか。また石川さんのペースに……。


「では、一緒に探して頂けるんですか?」

「?もちろんです」


「河田さん、何を探すんですか?」


 石川さんが小声で聞いてきた。


「猫だよ」


 こうして結局、石川さんも猫探しに加わることになった。

 だんだんと陽が沈んでいく。


「今日はこれくらいにして、明日また探しましょうか」


 俺の提案に首を振ったのが、山岸さんだ。


「いえ、猫は夜行性ですし、夜の方が活動するかもしれません。あっ、そうだ!猫の首輪に蛍光のネームプレートが着いています。それが光るかも!」

「わかりました。もう少し探してみます。山岸さんは家に帰って、少し休んだ方がいいですよ。顔色が悪いですし」

「……わかりました。河田さん、どうぞよろしくお願いします」


 山岸さんは俺に深々と頭を下げて、帰って行った。


「河田さん、猫の写真を見せてください」

「ああ、これだよ。でも、夜になるし、石川さんは帰った方が……」


 あ、でも、石川さんは滅茶苦茶強いんだった。


「私なら大丈夫ですよ」


 そうだろうね。


「じゃあ、お願いするよ。網は俺が使うから、君はこのキャリーバッグとエサを持っていって。それと、名前は『梅』だから。後、見つけたら携帯電話に連絡してください」

「えっ、携帯電話の番号を教えてもらえるんですか!?」


 しまった!そう言えば携帯電話の番号は教えてなかった。

 石川さんは、目を輝かせて聞いてきた。背に腹は変えられない。俺は石川さんと携帯電話番号を教え合った。そして、これからまた猫の捜索開始だ。


「俺は道路の向こう側を探すから、石川さんはこちら側を探して」

「はい!」


 それから猫の捜索活動が始まった。猫がいそうな茂みを探すが、中々見当たらない。と思った時、俺の携帯電話が震えた。


「はい」

『河田さん!見つけました!』

「えっ?今どこ?」

『北公園です』

「今から行くから、そこで待ってて」

『わかりました』


 本当に見つかったならいいが、違っていたら……とりあえず、北公園へ行ってみよう。


 俺が公園に着いた時、、ベンチに座った石川さんがいた。横にはキャリーバッグが置かれている。


「石川さん、猫は?」

「この中です」


 石川さんはキャリーバッグを指さす。もう捕まえたっていうことか?


「間違いないの?」

「たぶん……」


 いや、たぶんって……。野良猫かもしれないじゃないか。


「野良猫じゃないの?」」

「いえ、飼い猫だと思います」

「どうして?」

「キャリーバッグに自分から入ってきたんですよ」


 なるほど。しかし、公園が暗いために、猫の判別がつかない。山岸さんに見てもらうしかないな。

 俺と石川さんは、猫一匹を連れて山岸さんの家に行った。


「山岸さん、確認して欲しいのですが」

「梅!」

「みゃー」


 山岸さんの声に応えるように、猫が鳴いた。


「うちの梅です!ありがとうございます!」


 山岸さんは泣きながら、「梅、梅」と繰り返していた。


「なんてお礼を言ったら良いか……」

「いえ、仕事ですから」

「それでも、すぐに見つけてくださって、ありがとうございました」


 俺は山岸さんから報酬を受け取り、家に帰った。そして、当然の如く石川さんが着いてきた。


「石川さん、今回はありがとう。助かったよ」

「いえ、私って動物に好かれるみたいで、野良猫とか寄ってくるんですよね。それが良かったみたいです」


 へへっと笑いながら、舌をだす。しかし、そうなると、石川さんがいなかったら見つけ出すのは難しかったかもしれない。

 石川さんをバイトとして雇うか……いやいや、簡単に決めてはいけない。そんなことを考えながら、俺は石川さんとお茶を飲んだのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ