案件 捜索①
ピンポーン
「はい」
「あの、急ぎで……!」
「はい?とりあえず、中へどうぞ」
二十代後半だろうか。息を切らした女性は、おずおずと家の中へ入ってきた。
俺はお茶を出しながら聞いた。
「今日はどのようなご依頼でしょうか」
「あの、猫を探してもらいたいんです!」
「猫……ですか?」
「はい、昨日の夜、私が家に帰って扉を開けたら、扉の隙間から外へ出て行ってしまったんです。追いかけたんですが、見失ってしまって……」
その女性は今にも泣きそうに訴えてきた。
「お願いです!あの子は外に出たことがないんです!きっと今頃怖がっていると思います!」
猫か……結構厄介だな。一時間単価で報酬をもらってるしな……。
「あの、探すことは可能かと思います。でも、失礼ですが、お金の件なのですが、一時間五千円となってまして、見つからなかった場合でもお支払い頂くことになります。それでもよろしければ、探させて頂きますが……」
「お金のことは構いません!見つけてください!」
あー……。やっぱり厄介かも。
「見つからない場合はどうします?」
「お願いします!見つけて……ください……」
とうとう女性は泣き出してしまった。仕方がない。
「わかりました。猫を捕まえる網と、誘き寄せるエサも実費で頂きますがよろしいですか?」
「はい!あ、ごはんは家にありますので持ってきます」
「わかりました。網を買ったら、お宅へ伺ってもよろしいですか?猫の写真や、家の周りを見せて頂きたいのですが」
「はい。じゃあ住所を……。あ、私、山岸と申します」
「わかりました。では、まずはご自宅でお待ちください」
「……わかりました」
とりあえず俺は、山岸さんを帰らせ、網を買いにホームセンターへ行った。そのまま山岸さん宅へと向かう。
ピンポーン
「はい!」
ガチャ
「河田です。網を買ってきました。後は猫の特徴や名前、好きなもの、行きそうなところなどを教えてもらえますか?」
「はい!とりあえず、中へどうぞ」
「ありがとうございます」
「これが猫の写真です」
中々堂々たる猫だな。写真の中の猫は、ふんぞり返っているように見えた。
「三毛猫なんですね」
「はい、家から出たことがないので、どこへ行くかも見当がつきません」
「……そうですか。じゃあ家の周りから探しましょうか。ところで、警察へは届けましたか?」
「警察?」
「ええ、遺失物ということで届けておけば、見つかった時に知らせてくれますよ」
「わかりました。行ってきます!」
「それでは、早速、探させて頂きますね」
「お願いします!」
またもや山岸さんは泣きそうになりながら、俺に訴えてきた。これはなんとしても捕まえなければ、報酬は払ってもらえないかもしれない……。とにかく猫の行きそうな所を探してみるか。




