案件 用心棒②
俺は道場に案内された。そこでは子供たちが元気良く空手の稽古をしていた。
「あ!洋子お姉ちゃん」
子供の一人が石川さんに気付き、近寄ってきた。すると子供たちが一斉に石川さんを取り囲む。
「みんな元気?また一緒に稽古しようね」
「「「うん!」」」
どうやら石川さんも稽古に加わるようだ。
「石川さん、以前、少林寺拳法を習ってるって言ってなかった?」
「ええ、少林寺拳法も習ってましたけど、空手は子供の頃からやってるんです」
「……そうなんだ」
道理で強いわけだよ。
それから石川さんも子供たちの指導に加わり、稽古が行われた。
「今日はこれまで!」
「「「ありがとうございました!」」」
石川さんのおじいさんの掛け声と共に、その日の稽古は終わった。そして夕食後、子供たちとは別の部屋に案内された。
「河田さんはこの部屋を使ってください」
「ああ、ありがとう」
さて、夜の見回りでもするか。一応報酬をもらう以上は仕事をしなければなるまい。とりあえず、庭を見回った。それにしても広い家だな。高級住宅街だしな。庭が広いからか、とても静かな夜だ。特に何の問題も無さそうなので、俺は部屋へ戻り、就寝した。
翌日も子供たちの稽古が道場で続く。二泊三日の合宿とのことだ。子供たちも稽古に励み、石川さんも指導に熱心だった。
そして、二泊三日の合宿が終了するとき、点呼が取られた。石川さんが子供たちの人数を数えていく。
「いち、にい、さん……あれ?おかしいな」
「石川さん、どうしたの?」
「人数が合わないんですよ。一人多いなあ」
「えっ」
「いち、にい、さん……うーん、やっぱり一人多い。全員知ってる顔なんだけどな」
それって……怪奇現象!?
「まあ、こんな夕暮れにはたまにあることだしな」
石川さんのおじいさんは、事も無げに言う。
「そうね、まあ、たまにあるよね」
石川さんも同意する。
そんなことが日常茶飯事なのか!?
「河田君、またおいで」
石川さんのおじいさんは、そう言ってくれた。しかし、もう二度と来ないぞ!




