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なんでも屋  作者: 奈月ねこ
12/26

案件 一人息子②

 掃除の当日、延長しても大丈夫なように早めの時間帯にしてもらった。とはいえ昼の十二時たが。

 依頼主である母親は来ないらしい。自分がいると本人が掃除をさせないだろうと言うのだ。大学生になっても反抗期か?まあ、仕方がない。産業廃棄物の業者には連絡したし、あとは、石川さんが来るのを待つだけだ。と思ったら、石川さんが走って待ち合わせ場所へやって来た。


「河田さん!お待たせしてすみません!」

「いや、待ち合わせの時間より前だから大丈夫だよ」

「河田さん、優しい……」


 何故そうなる?とにかく今日は仕事に専念しよう。


「石川さん、行こうか」

「はい!」


 最寄り駅から約十分程度で、依頼のアパートに到着した。


 ピンポーン


『はい』

「便利屋KAWATAです」


 ガチャ


「どうぞ。母がすみません」

「いえ、ご心配なだけでしょう」


 意外と好青年だな。


「私は河田で、こちらは助手の石川です」

「石川です。今日はよろしくお願いします」

「は、はい、こちらこそよろしくお願いします」


 ん?女性が苦手なのかな。石川さんは黙っていれば、結構可愛いからな。黙っていれば……。


「ではまず部屋を見せてもらってもよろしいですか?」

「あ、はい、どうぞ」


 俺たちが中へ入ると、床に物が散乱していた。確かに床が見えない状態だな。しかし、ごみ屋敷というほどでもないかな。整理整頓すれば、大分スペースは空くはずだ。だが、物が多い。


「とりあえず、いるものといらないものを分別しましょう」

「……はい」


 何が多いって服だな。脱ぎ散らかした服が散乱している。


「石川さん、そことそこの服を持ってきて」

「はい」


 石川さんが両手いっぱいに服を持ってきた。


「石川さん、とりあえず、いらないものはごみ袋につめてください。それが終わったら、いるものを畳んでください」

「わかりました」


「では、黒木さん、服の選別をしましょう」

「あの……どれも大事なんですが……」

「黒木さん、脱ぎ散らかしたままということは、着てないということです。収納にも限界がありますから、収納できる分に減らしましょう」

「……わかりました」


 それから、一枚一枚服の選別を行った。


「これは?」


 との俺の問いに、黒木君は悩みながらも選別していった。なんとか服は半数になった。いらないものはごみ袋に入れて、いるものはクローゼットとタンスにしまっていく。すると、タンスは半分くらいが空だった。本当に片付け下手なんだな。

 石川さんは……意外にもてきぱきと服を畳んでしまっていく。結構手際がいいな。

 あとは、本当のごみだな。


「黒木さん、キッチンにある食べ掛けのものは捨てていいですか?あと、散乱しているコンビニの袋とか」

「はい、お願いします」


 俺は、ごみ袋を片手に、次々と片付けていった。大分床が見えるようになってきた。あと少しだな。


「本類はどうしますか?」

「えーと、漫画の雑誌は捨ててください。それ以外の本は必要です」

「わかりました。石川さん、そっち終わったら、ここに雑誌を積んでいくから、紐で縛ってください」

「はい!」


 石川さんは生き生きとしてるな。もしかしたら、この仕事に向いてるかも。

 さて、俺は、本棚を整理するか。


「ここに本を入れてもいいですか?」

「はい」


 所在なさげだな、黒木君。


 こうして順調に片付けは進んでいった。そして、産業廃棄物の業者が到着した。


「失礼します。河田さん、これ全部ですか?」

「はい、お願いします」


 結局九十リットルのごみ袋が八袋に雑誌がかなり出た。産業廃棄物の業者は喜んで帰っていった。

 あとは、掃除だな。俺は、軽く掃除機をかけて、終了だ。時間は一時間オーバーして、五時間かかったが、「床が見えるように」という依頼は果たせたと思う。


「黒木さん、これで終わりですが、いかがですか?」

「助かりました!ありがとうございます!」

「喜んでいただけて嬉しいです。お母さんも心配してましたよ」

「……わかってるんです。でも、その、この年になって母に掃除してもらうのには抵抗があって……」


 なるほど、そういうことか。


「今の状態をキープ出来れば、いつお母さんが来ても大丈夫ですよ」

「そうですね。頑張ります」


 やれやれ、結構力仕事だったな。



「石川さん、お疲れさま。大変だっただろう?」

「いえ、楽しかったです!」

「それなら良かったけど」

「またバイトさせてください!」


 うーん、今回の働きぶりは良かったからなあ。


「……また何かあったらお願いするよ」

「やったー!河田さん、私を受け入れてくれるんですね!」


 えっ?どこからそんな発想が?


「仕事だから!」

「それでもいいです!」


 やれやれ、やっぱり石川さん以外のバイトを探すか……。


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